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2010年8月16日 (月)

映画「瞳の奥の秘密(El Secreto de Sus Ojos)」

Ojos1 始まった瞬間に「これは当たりかも」と予感させる映画があります。この「瞳の奥の秘密」はまさしくそういう映画です。旧い大きな駅、黒革のトランク、走りだす汽車、そこに重なるピアノのテーマ曲。最初からぐっと引き込まれ、エンドロールまで気持ちが逸れることはありません。個人的には、間違いなく今年のベスト5に入る映画です。

時は1999年、舞台はアルゼンチンのブエノスアイレス。刑事裁判所を退官したベンハミンが、25年前(1974年)に担当した殺人事件のことを小説に書こうと思い立ち、数十年ぶりに、当時の上司で今は検事に昇進した女性、イレーネに会いに行きます。その事件後、ベンハミンは、イレーネに対する想いを抱えたまま別の街に異動になるのですが、それが冒頭の駅のシーン。
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その殺人事件というのは、女性教師が暴行されて殺されるという痛ましい事件で、一度は別の部署が犯人をでっちあげて処理してしまいますが、ベンハミンは被害者のアルバムを見ているうちに別に犯人がいると確信してその男を追います。ところが強引な捜査が仇となり、トラブルを避けたい判事と判事補のイレーネは捜査を打ち切ってしまいます。
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その1年後、ベンハミンは偶然、被害者の夫に出くわします。夫は、いつか容疑者が通過するのではないかと、毎日、駅で待ち伏せしていたのです。夫の強い思いに心を打たれたベンハミンはイレーネに捜査再開を頼み込み、部下でアル中のパブロの協力で真犯人を見つけ出し・・・というのが過去のストーリー。それが現在のストーリーに繋がって絶妙な展開をみせます。
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物語の面白さもこの映画の魅力ですので詳しくは書けませんが、はっきり言えるのは、中だるみなく、最後まで堪能させてくれる映画だということ。非常によく練られた脚本で、たとえば予告編にも登場する「Los ojos hablan(瞳は語る)」のいう台詞ですが、いくつかシーンで瞳が語るだけでなく、オチの部分では口で語らせなかったり、細かい部分まで神経が行き届いている感じです。

さらに言えば、事件当時の1974年はフアン・ペロン大統領が死去した年で、その後、未亡人のイサベル・ペロン大統領からクーデターで政権を奪取したビデラ将軍が、国家再編成プロセス(Proceso de Reorganización Nacional)と呼ばれる市民弾圧を開始します。映画の中で「ゲリラを捕まえるため・・・」というシーンが出てきますが、こういう時代背景が巧みに織り込まれている映画でもあります。

ちなみに脚本と監督はアルゼンチン人のファン・ホセ・カンパネラ(Juan José Campanella)で、この映画で第82回アカデミー賞の最優秀外国語映画賞と、2010年ゴヤ賞のスペイン語外国映画賞を受賞しています。主演の二人はよく知りませんが、パブロ役のギレルモ・フランチェラ(Guillermo Francella)は「ルドandクルシ」で、なかなか味のある演技をしていました。

公式サイト
瞳の奥の秘密El Secreto de Sus Ojos

[仕入れ担当]

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