映画「隠された日記(Mères et filles)」
「しあわせの雨傘(Potiche)」の前にもう1本、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)の映画がありました。これも女性映画というか、母娘3代にわたる「女性の自立」をテーマにした映画です。ジュリー・ロペス=クルヴァル(Julie Lopes-Curval)という若手監督の作品ですが、非常にフランス映画らしい映画です。
物語は、自立してカナダで暮らしているオドレイが、フランスの父母の元に帰省してくるところから始まります。カトリーヌ・ドヌーヴ演じる母のマルティーヌは、地元で信頼されている医師であり、オドレイ同様に自立した女性ですが、それ故に母娘は衝突しがち。再会の瞬間から、ぎくしゃくした感じがつきまといます。
オドレイは仕事に集中するため、今は空き家になっている祖父の家に移り、50年前に失踪したと聞かされていた祖母ルイーズの日記を見つけます。そこには料理のレシピと共に、妻が外で働くことを許さない夫との価値観の相違、子どもたちへの深い愛情が綴られており、オドレイは、なぜルイーズが家族の元を去って行ったのか興味を持ち始めます。
実はオドレイは妊娠3ヶ月目で、その相手と家族を持ったり、今のキャリアを捨てたりすることはできないと、思い悩みながら帰省したのでした。オドレイは、祖母の日記に記された自立心との葛藤、娘のマルティーヌを自立できる女性に育てたいという思いを読み、自らの将来や母との関係について改めて見つめ直していきます。
若干、サスペンス仕立ての映画ですので、詳しいストーリーは書けませんが、祖母の秘密に近づくにつれ、母マルティーヌの苦悩や娘に対する思いも少しずつ明されていき、オドレイの「キャリアか出産か」という悩みとクロスオーバーしていきます。女優たちの演技力もあるのでしょうが、さまざまなものが次第に解きほぐされていく展開がうまいと思いました。
また、舞台となるアルカション(Arcachon)の風景がいいです。この美しい海岸のおかげで、母と娘の諍いが必要以上にジメジメせずに描かれているのだと思います。ちなみにアルカションはボルドーにほど近い大西洋岸、もう少し南下するとバスクという場所にあるビーチリゾートです。
新年には「愛する人(Mother and Child)」も封切られますが、母と娘というテーマだと、父子の物語より人生の機微に触れる映画になるような気がします。やはり女性の社会的な位置づけや母性などが複雑だからでしょうか。いずれにしても最後まで飽きさせない映画です。
公式サイト
隠された日記 〜母たち、娘たち〜(Mères et filles)
[仕入れ担当]
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