映画「ブラック・スワン(Black Swan)」
ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)のアカデミー主演女優賞で大きな話題になりました。バレエ「白鳥の湖」のホワイト・スワン(オデット)とブラック・スワン(オディール)の一人二役をモチーフにした、ダーレン・アロノフスキー(Darren Aronofsky)監督のサイコスリラーです。
人生のすべてをバレエに捧げて暮らすニナは、元バレリーナの母親と2人暮らし。母親はニナを妊娠したことで自分が果たせなかった夢を娘に託し、ニナはその期待に応えようと懸命にバレエに打ち込んでいます。
ニナの所属するバレエ団が、プリマ・バレリーナのベスを引退させ、次回公演「白鳥の湖」で新たなプリマを選ぶことになります。ニナも候補に挙げられますが、監督のトマは、ライバルであるヴェロニカを選ぶつもりだと宣言。生真面目なニナは、ホワイト・スワンには適役だが官能的なブラック・スワンは踊れないというのです。
結局、トマはニナの意外な一面を知り、彼女をプリマに抜擢しますが、ブラック・スワンの魔性が表現できるように彼女自身の成熟を求めます。練習に練習を重ね、精神的に追い込まれていくニナ。彼女の代役として妖艶なリリーが選ばれたことも気になります。果たしてニナはブラック・スワンを踊れるのか、というのが映画のストーリー。
ここまで読んでおわかりのように、少女漫画にありそうな設定です。真面目な主人公と子離れできない母親。競争が熾烈な一流バレエ団が舞台。女たらしの監督と、いじわるなヴェロニカやセクシーなリリーといったライバルたち。
ダーレン・アロノフスキー監督は「レクイエム・フォー・ドリーム(Requiem for a Dream)」で一部のシーンを使うため、日本のアニメ「パーフェクト・ブルー」のリメイク権を59,000ドルで買っていますが、日本のコミックも研究しているのかも知れません。
話が逸れましたが、もちろんこの映画の見どころはナタリー・ポートマンの演技。舞踏シーンのボディダブルが話題になったようですが、重要なのは身体の動きより表情です。焦燥感の高まりから次第に不安定になっていき、ついには自らの内的世界が現実を超えてしまうところまで、迫真の演技が続きます。
そして彼女の真面目そうなキャラクター。可愛らしさと上品さが、今回の役どころでは存分に活かされています。アカデミー助演女優賞にノミネートされた「クローサー」では“脱がないストリッパー”と揶揄されていましたが、その後、スキンヘッドになってみたり、「ブーリン家の姉妹」でコスプレしてみたりと、チャレンジし続けた甲斐があったということでしょうか。
トマ役のヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel)も、リリー役のミラ・クニス(Mila Kunis)も適役だったと思いますが、個人的に印象に残ったのが、引退するプリマ・バレリーナ、ベスを演じたウィノナ・ライダー(Winona Ryder)。
「50歳の恋愛白書」でもそうでしたが、“壊れてる女”の役をやらせたら彼女の右に出る女優はいないのではないでしょうか。当初、このベス役はパーカー・ポージー(Parker Posey)が想定されていたそうですが、ウィノナ・ライダーで正解です。
サイコスリラーですので、神経を逆なでするような映像や、観ていて身体がこわ張ってしまうようなシーンもありますが、間違いなく傑作ですし、ナタリー・ポートマンのマスターピースになる映画だと思います。おすすめです。
公式サイト
ブラック・スワン(Black Swan)
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