映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(EXIT THROUGH THE GIFT SHOP)」
正体不明のアーティスト、バンクシー(banksy)が手掛けたドキュメンタリー風の映画です。平日にもかかわらず8割がた席が埋まっていました。
なぜかバンクシーの活動を追ったドキュメンタリー映画だと勘違いしている人が多かったようですが、実際は、個人的なビデオ作品を撮っていたティエリー・グエッタ(Thierry Guetta)が、グラフィティーアーティストのMBW(Mr.Brainwash)として成功していく過程を記録した作品です。
英国ブリストル(Bristol)出身のバンクシー。街の壁に風刺の利いたグラフィティを残したり、有名美術館にこっそり自作を展示したり、ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンのわきにグァンタナモの囚人の人形を置いたり、といった活動で知られるアーティストです。
本名はおろか、素顔も公開しておらず、その謎めいた部分も含めて注目を集めている人ですが(正体暴露はこちら)、作品は知人のギャラリーで販売されていますし、サザビーズのオークションにもかかっているようです。ためしに英国のebayで検索してみたら、結構な点数がヒットしました。
バンクシーの作品は、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)等が大金をはたいて購入しているとのことで、この映画にもブラッド・ピット(Brad Pitt)やジュード・ロウ(Jude Law)といった“セレブ”がちらほら登場します。ちょっとわかりにくかったのですが、リムジンに乗り込む人はおそらくOasisのギャラガー兄弟のどちらか。
映画そのものは非常にシンプルです。フランス出身でL.A.で古着屋を営んでいたティエリー・グエッタが、従兄弟のグラフィティーアーティスト、インベーダー(Invader)の活動を知り、アーティストたちのビデオ映像を録り始めます。
その繋がりでバンクシーと出会い、謎の覆面作家だった彼の活動を映画化しますが、バンクシー曰く「彼は単なるビデオおたくで、映画監督ではなかった」(その映画のトレーラーはこちら)。かわりにバンクシーが、アーティストとして活動を始めたティエリー・グエッタを映像化することになったという建前。
建前というのは、ティエリー・グエッタの成功譚があまりにもうまく行き過ぎだから。明らかにバンクシーが仕掛けているわけですが、実際にティエリー・グエッタはMBWとして認知され、現在も活動しているわけで、どこまでがバンクシーの仕組んだ“創作”で、どこからが自然な“社会現象”なのかわかりません。
「もの事の本質は隠されていることが多いがメディアは表面しか見ない」とフライヤーに記されている通り、アートや社会の“本質”を観客が感じとる映画であり、また観客の戸惑いや混乱を含め、この映画を公開すること自体が社会を巻き込んだ作品なのだと思います。
そう考えると、カウンターカルチャーを「対抗文化」としたり妙に素人っぽい字幕も、実は、映画の語りを聞かず、字幕だけ見て知ったかぶりをする人を揶揄するための仕掛けなのかも知れません。
NYタイムスのレビューでは、prank(いたずら)とdocumentary(ドキュメンタリー)を組み合わせた“prankumentary”という言葉で説明されていましたが、いずれにしても一筋縄ではいかない映画です。観賞後に誰かと語り合いたくなることは間違いありません。
公式サイト
イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(EXIT THROUGH THE GIFT SHOP)
[仕入れ担当]
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27日のこと、映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」を鑑賞しました。
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