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2011年9月29日 (木)

映画「The Last Circus(Balada triste de trompeta)」

Triste0 これもラテンビート映画祭の上映作品です。

去年のヴェネチア国際映画祭で審査委員長のタランティーノ監督に絶賛されて、銀獅子賞(監督賞)を獲っていますが、確かにタランティーノ好みかも知れません。ちなみにこのときの金獅子賞(作品賞)は「サムウェア(Somewhere)」でしたから、ずいぶん毛色の違う作品が並んだものです。

ということで、この作品、映画でしか表現できないことを片っ端から盛り込んだという感じの壮絶なラブストーリーというかロマンティックなブラックコメディというか、とにかくハチャメチャな映画です。

間違いなくカルト的な人気を集めると思いますが、かなりクセの強い作品ですので、好き嫌いが分かれそうです。個人的には非常に面白かったので、公開されたら、ディテールを確かめに改めて観てみたいと思っています。

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さまざまな要素が盛り込まれた映画ながらストーリーはいたってシンプル。三角関係に陥った男2人の争いが泥沼化していくお話です。

人気ピエロだった父親に憧れてピエロになったハビエル。悲壮感ただよう泣き虫ピエロ(Sad Clown:Payaso Triste)としてサーカス団に職を得ます。

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一緒にステージに立つスターピエロ(Happy Clown:Payaso Tonto)のセルジオは、交際相手であるブランコ乗り、ナタリアに暴力を振るうDV男。

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美しいナタリアに一目ぼれしたハビエルは、次第に彼女と親しくなり、狂気の三角関係に展開していきます。

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幕開けは、ハビエルの父親が働くサーカス団が人民戦線に徴用され、ピエロの衣装のまま戦闘に加わった父親が反乱軍(フランコ側)の兵士を切りまくるシーン。

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いきなり狂気的な世界が展開しますが、これはスペイン内戦がもっとも激化した1937年のこと。ピカソのゲルニカもこの年の空爆を題材にしたものと言われています。

その後、反乱軍の勝利で父親も捕えられ、そこから始まるフランコ独裁の歴史が、罪人の息子として育つハビエルの人生に影を落とすわけです。

そして成長したハビエルがサーカス団に入団するのが1973年。

映画の中で自動車の爆破シーンが出てきますが、これは、フランコの後継者と目されていたブランコ首相がETAに暗殺されたときの映像で("Operación Ogro"で検索すると事件を題材にした映画が見つかります)、この2年後にフランコが死去し、独裁体制が終焉を迎えます。

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つまり、1937年の狂気で始まり、1973年の狂気で終わる物語ということで、フランコ政権の時代性を下敷きにしながら、一途な愛に生きる、悲しいピエロを描いていくわけです。

そういう視点で観ていくと、いろいろとディテールが気になるわけですが、あまり深く考えず、映画の勢いに身を委ねるだけで十分に楽しめると思います。

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スペイン語の原題は、トランペットの悲しいバラードという意味で、映画の中で使われている曲、Balada de la trompeta に由来しているようです。途中、ピエロの衣装で歌う映像が流れますが、調べてみたら、Raphaelという人気歌手が出演した1970年の映画「Sin un adiós」(さよならも言わずに、という意味)の1シーンだそうで、このムード歌謡のような裏ぶれた Balada de la trompeta が、破滅的な物語に切なさを添えていて、なかなかいい感じでした。

The Last CircusBalada triste de trompetafacebook

[仕入れ担当]

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