映画「さすらいの女神たち(Tournée)」
「キングス&クイーン(Rois et Reine)」「潜水服は蝶の夢を見る(Le scaphandre et le papillo)」のマチュー・アマルリック(Mathieu Amalric)が監督、主演したフランス映画です。
タイトル内の「女神」は「ディーバ」と読ませますが、出演者は米国から来たニュー・バーレスクの一座。彼らの巡業を追った、英語タイトル「On Tour」そのもののロードムービーです。
バーレスクとは、お色気を前面に出したユーモラスなショーのこと。ニュー・バーレスクというのは、劇中の言葉を借りると「女性の視点で作る女性のためのショー」だそう。
この映画に出演しているのは、実際にキャバレー・ニューバーレスク(Cabaret New Burlesque)で活躍中のダンサーたちで、またショーの観客たちも、エキストラではなく一般客だということで、劇中のショーはステージそのものでのです。
ルアーブルからナントを経由してサント・ナザレやラ・ロシェル(Île-d'Aixにも行きます)といった地方都市で公演し、トゥーロンに向かう一行。本当はパリ公演が控えているはずなのですが、マチュー・アマルリック演じるプロデューサの過去が災いして、沿岸部を転々とするはめになります。劇中ではそれが原因で不和が生じたりしますが、おかげでフランスの風光明媚な港町を舞台にした美しいロードムービーに仕上がっています。
映画のストーリーは在るようで無いようなもの。というか、過去に仕事や家庭のトラブルを抱えたプロデューサーと、それぞれ物語を抱えていそうな個性豊かなダンサーたちが係り合うことで、登場人物たちの人生が透けて見えてくるといった趣向の映画です。ですから、小さなエピソードがそれぞれ重なり合って、一つの世界を描き出す感じ。フランス映画がお好きな方なら、おわかりになる感覚だと思います。
また、工夫のあるカメラワークや、巧みなシーンの切り取り方も、アルノー・デプレシャン(Arnaud Desplechin)映画の常連であるマチュー・アマルリックらしいところ。この映画でカンヌ国際映画祭の監督賞を獲得していますから、監督としても力のある人なのだと思いますが、それでもやっぱり、人生のほろ苦さを感じさせてくれる役者としての方が存在感があるような気もしました。
ニュー・バーレスクのコミカルなショーを楽しみつつ、フランス映画らしい展開を味わう映画だと思います。
[仕入れ担当 ]
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