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2012年4月 9日 (月)

映画「ルート・アイリッシュ(Route Irish)」

前回に引き続き、これまた男性向けっぽいかも知れませんが、ケン・ローチ(Ken Loach)らしい硬派な映画です。

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これまでもスペイン内戦を扱った「大地と自由」、アイルランド独立を扱った「麦の穂をゆらす風」で、戦争に内在する矛盾やそれに振り回される末端の兵士の姿を通じて、戦争の恐ろしさを描いてきたケン・ローチ監督。

この「ルート・アイリッシュ」は、一兵士の戦死の謎にせまっていくサスペンス映画ですが、その背景として、大義の下に闘っているはずのイラク戦争の薄汚さ、とりまく人々の醜悪な姿を批判的に描いていきます。

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映画のタイトルになっているルート・アイリッシュとは、バグダッド空港と米軍管理下にあるグリーンゾーンを結ぶ約12キロの道路のこと。テロが頻発し、世界一危険な道と言われているそうです。米軍が使っている通称らしく、ちょっと検索しただけで、Roadside Bombの映像が出てきます。

そんな危険な道で、幼なじみのフランキーを失ったファーガス。現在はリバプールに戻っているファーガスですが、以前はフランキーと同じように、民間兵としてイラクで働いていました。

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フランキーは亡くなった日に、ファーガスの電話にメッセージを遺していました。それを気にしていたファーガスのもとに、フランキーの遺品としてイラク人の携帯電話が届けられ、そこに遺されていたビデオをきっかけに、フランキーの死の疑惑を解明していくというのが概ねのストーリーです。

ここまでお読みになれば、おわかりかも知れませんが、ポイントは戦地に派遣される民間兵を雇用している警備会社。元軍属等を高額な報酬で釣り、警備員としてイラクに派遣している企業のことです。

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政府から仕事を請け負いますので一種の政商ですし、状況が不安定になるほど儲かるという意味で、兵器商人と同じ死の商人です。あまり表面化しませんが、軍事予算の削減と共に、この手の企業が急成長しており、そこに雇われるコントラクター(傭兵)も増えているとのこと。

どんな大義があっても、戦争は、しょせん戦争でしかありませんが、こういった「戦争ビジネス」で巨額のお金が動くようになると、通常の戦争には登場しない、欲に取り憑かれた人々が跳梁跋扈し始めます。また、彼らに雇われてお金のためだけに戦場に赴く兵士たちには、軍人としてのプライドも保証もありませんので、規律にも問題が生じますし、精神的に疲弊していきます。

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もちろん、商売としての戦争に巻き込まれる戦闘地域の住民も被害者です。派遣されてきた民間兵も、戦闘地域の住民も、共にリスクを負い、搾取される側にいながら、互いに憎悪し合い、恐怖心を抱いているのです。そういった矛盾を背景に、サスペンス仕立てのストーリーが展開していきます。

カンヌ映画祭で好評だった他、ヨーロッパ各国で公開されているこの映画、なぜか米国では未公開。ケンローチも「アメリカ人の兵士こそが最大の犠牲者であるかのような描き方をしたアメリカ映画にはうんざりしている」と言っていますが、数年前にアカデミー賞を獲った隔靴掻痒な映画ではなく、この「ルート・アイリッシュ」のような現実を直視した映画こそ、多くの米国人に観て欲しいものです。

公式サイト
ルート・アイリッシュ

[仕入れ担当]

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