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2014年10月20日 (月)

ラテンビート映画祭「スガラムルディの魔女(Las brujas de Zugarramurdi)」

0 今年のラテンビート映画祭では、アレックス・デ・ラ・イグレシア(Álex de la Iglesia)監督を特集していて、1995年のデビュー2作目「ビースト 獣の日」から最新ドキュメンタリーの「メッシ」まで、この監督の作品が何本も上映されているのですが、本作は劇映画としては最新作ということになると思います。

一昨年の「As luck would have it」、その前年の「The Last Circus(後の邦題:気狂いピエロの決闘)」と、日本での一般公開に恵まれなかったイグレシア監督でしたが、本作は既に松竹系での公開が決まっていて、同時に「As luck would have it」も「刺さった男」という邦題で上映されるようです。

良くいえば先が読めない、悪くいえばハチャメチャな作風がこの監督の持ち味ですので、あまり一般ウケはしないと思いますが、どちらも映画館の大スクリーンでこそ真価を発揮する作品ですので、スラップスティックな映画がお好きな方には是非とも映画館に足を運んで欲しいと思います。

さて、この「スガラムルディの魔女」ですが、冒頭、監督お得意の写真のコラージュを使ったタイトルバックに英国のサッチャー元首相やドイツのメルケル首相の写真が使われていて、それが映画の伏線になっています。つまりテーマは強い女性。

Alex_y_carolina

上映前に、イグレシア監督と、監督のパートナーであり、メインキャストでもある女優のカロリーナ・バング(Carolina Bang)による舞台挨拶(上の写真)があり、監督が「男がいかに愚か(tonto)か、女がいかに悪い(mala)か」を描いた映画だと力説していましたが、まさにその通り。エンディングに近づくにつれて、どんどん女性に対する畏怖が高まっていく感じです。

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物語は、マドリード中心部(ソルからマヨール広場のあたり)でストリートパフォーマンスをしていた一団が、キリスト像や緑色の兵士やスポンジ・ボブの扮装のまま、銃を携えて傍らの貴金属店に強盗に入るシーンで幕開け。

店には客から買い取ったゴールドの指輪がごっそりあり、それを奪ったキリスト像とその息子、緑色の兵士は、通りかかったタクシーに無理矢理乗り込んで逃走します。

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キリスト像の男の名はホセ、その息子はセルジオ、兵士はアントニオ。このカーチェイスもそれなりに見せ場なのですが、それより面白いのが、彼らの会話。

特に、結婚が破綻し、息子を連れて強盗に入ったリーダー格のホセは、いかに女性と暮らすことが大変か延々と語り、妻のシルビアからの電話に対する受け答えを含めて最初から飛ばしまくります。そして、それに共感したタクシー運転手のマヌエルを加えた4人の逃避行が始まるわけです。

とりあえずフランスに逃げようと、どんどん北上するのですが、国境の近くのバーに立ち寄ったあたりから奇妙な展開になっていきます。この村の名前がスガラムルディ。魔女狩りが行われていたという伝説がある村です。

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バーの老婆の娘だという中年女性グラシーと出会い、彼女を屋敷まで送り届けることになるのですが、屋敷の前で見たグラシーの娘エバの色香に迷わされ、一行はこの不気味な屋敷に入ってしまいます。

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もちろんグラシーもエバも、老婆マリーズも魔女。この母子3世代の魔女たちは、セルジオを生け贄にしてある儀式を行おうと企んでいたのですが、この後、強盗を追ってきた警察と、ホセの妻のシルビアを交えたハチャメチャなストーリーが拡がっていきます。

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ちなみにスガラムルディ(Zugarramurdi)というのはナバーラ州に実在する村で、イグレシア監督いわく、スペインではエルサレムのようなイメージで捉えられている場所だそう。この映画の撮影も、実際にスガラムルディの近くの屋敷と洞窟を使って行われたということです。

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グラシーを演じたカルメン・マウラ(Carmen Maura)は、最近では「屋根裏部屋のマリアたち」で主人公のメイド仲間を演じていたベテラン女優ですが、エバを演じたカロリーナ・バングによると、彼女のルーツはスガラムルディ界隈で今でも親族が住んでいるそうです。

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また、主役のホセを演じたウーゴ・シルバ(Hugo Silva)は、「アイム・ソー・エキサイテッド!」の副操縦士役でしたが、同作でオカマのスチュワードだったカルロス・アレセス(Carlos Areces)が本作では魔女の仲間として女装で出ています。ちなみにカルロス・アレセスは「気狂いピエロの決闘」の主役で、カロリーナ・バング演じるナタリアに横恋慕する役だった人。

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それから、テーマ曲"Zugarramurdin Akelarrea"を歌っているフェルミン・ムグルサ(Fermin Muguruza)はバスク出身の有名歌手で、活動家としても広く知られている人です。エンドロールで歌詞に字幕が付きますので、それを読めば、どういう活動家かおわかりになると思います。ついでながらAkelarreaというのは、バスクの言葉で魔法使いの集会のこと。

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そしてもうひとつ付け加えれば、最後に巨大な魔女が出てきますが、これはイグレシア監督がゴジラ対モスラの映画が好きで、それにインスパイアされたものだそうです。

そんな感じで、一見、ハチャメチャですが、いろいろと含みのある作品ですので、勢いに任せて楽しんだ後、じっくり振り返るとまた新たな発見があると思います。

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公式サイト
スガラムルディの魔女Las brujas de Zugarramurdi

[仕入れ担当]

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