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2016年1月 4日 (月)

映画「禁じられた歌声(Timbuktu)」

00 2014年のカンヌ映画祭コンペティション部門で注目を集め、2015年のセザール賞で作品賞、監督賞、脚本賞など7部門に輝いた作品です。監督はモーリタニア出身のアブデラマン・シサコ(Abderrahmane Sissako)。日本での公開作はありませんが、カンヌ映画祭はじめ欧州で高い評価を受けている監督の1人です。

映画の舞台はマリの古都、ティンブクトゥ。500年ほど前までサハラ砂漠の交易都市として栄えたものの、その後は衰退を続け、現在ではアフリカの多くの村と同じように貧困にさいなまれる集落でしかありません。

そんな村に、黒旗を翻してイスラム過激派がやってきます。いわゆるジハーディストです。ティンブクトゥの住民であるトゥアレグ族もイスラム教徒ですが、サラフィー主義を掲げるジハーディストたちにとって、歌や踊りの文化を持つトゥアレグ族は一種の異教徒。シャリア(イスラム法)に反するということで、彼らの自由を制限し始めます。

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音楽もサッカーも禁止。飲酒や姦淫はもちろん、喫煙さえも禁止です。武力で司法権を掌握し、勝手に裁判を行っていますが、深くイスラムを理解しているわけではありません。

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地元のイマーム(イスラム教の導師)の苦言も意に介せず、独自の解釈でシャリアを運用しては増長していくばかりです。

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集落から少し離れた場所で暮らすキダンは牛飼いで演奏家。妻のサティマ、娘のトヤと砂漠に張ったテントに住んでいます。トヤと仲良しの少年イサンは、牛飼いだった父親が戦死して孤児になり、今はキダンの手伝いをして牛飼い修行中。GPSと名付けた牛を特に可愛がっていて、仔牛を産んだらイサンにあげようとキダンは考えています。

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ある日、放牧中にGPSが群れから離れて川に入り、漁師アマドゥが仕掛けた網を壊してしまいます。怒ったアマドゥは木槍を投げてGPSを殺し、イサンから話を聞いたキダンは拳銃を懐に川に赴き、小突き合いの最中の暴発でアマドゥを殺してしまいます。

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罪を犯したキダンを裁くのは、もちろんジハーディストたち。妻のサティマは、ときおりテントを訪ねてきていたジハーディストの1人に頼み込みますが、彼は密かにサティマに好意を抱いていますので、死刑になりそうなキダンを救おうとはしません。

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キダンが囚われている日干し煉瓦の建物の外では、人前で歌った女性がむち打ちにされ、自由恋愛のカップルが石打ちで処刑されています。広場で遊ぶ少年たちも、実際のサッカーボールは使えませんので、空想の球でドリブルし、シュートしています。もう誰も歌うことはありません。

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集落で自由なのは唯ひとり、カラフルな衣装を着た狂女だけ。彼女は平然とジハーディストの車に立ちはだかり、自分の世界を生き続けます。

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アブデラマン・シサコ監督いわく、2012年にマリ北部アゲルホクで行われた石打ち刑に触発されて本作を撮ったそうですが、この狂女だけはモデルがいるとのこと。狂気が支配する世界では、まともなのは狂女だけという皮肉なのでしょうか。彼女の存在感が映画に深みを与えています。

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ポスターなどではパリの事件に絡めて宣伝されていますが、実のところそれほど政治的ではなく、暴力シーンもあまり登場しない静かな映画です。砂漠の美しい映像に浸りながら、静けさの奥に潜む狂気と暴力をじわっと感じ、エンディングが意味するものを噛みしめるべき作品だと思います。

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公式サイト
禁じられた歌声Timbuktu

[仕入れ担当]

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