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2016年2月 8日 (月)

映画「ドリーム ホーム 99%を操る男たち(99 Homes)」

00 フロリダ州オーランドを舞台に、ローン返済が滞って家を差し押さえられた主人公が、その相手方の不動産業者に取り込まれていってしまう姿を描くサスペンス作品です。こういう内容ですから、それほど期待せずに観に行ったのですが、作りがしっかりしていて、思いがけず面白い映画でした。

来月には、サブプライム・モーゲージの破綻を見越してCDSで儲けた人々を題材にした「マネー・ショート」が、クリスチャン・ベールやライアン・ゴズリングといった豪華キャストで封切られることですし、その前に逆側、サブプライムな庶民の側から観ておくのも悪くない選択だと思います。

映画の始まりは、不動産業者のリック・カーバーが、保安官と一緒に差し押さえ物件を訪ねるシーン。結局、住民が自殺してしまうのですが、リックはその家の前で携帯電話を取りだし、次の物件の相談を始めてしまうような非情な男です。

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その後、彼から家を差し押さえられてしまうのが、大工のデニス・ナッシュ。一人息子を抱えたシングルファーザーで、美容師だった実母と3人で暮らしているのですが、不況で思うように仕事が入らず、久々の現場も柱を組んだ時点で作業中止になって工賃を貰えず仕舞い。ローンの返済が滞っていて、裁判所で窮状を訴えるものの、当然、受け入れられません。

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映画の中では詳しく語られませんが、彼が住んでいるのは親が買った家のようですので、きっと生活費をホームエクイティ・ローンで賄ったのでしょう。リック・カーバーが来て、この家は銀行が差し押さえたので今すぐ出て行くようにと通告します。

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仕方なく家を出てモーテルに移るのですが、そこで大切な商売道具である電動サンダーがなくなっていることに気付きます。家財道具を運び出したリックの手下が盗んだに違いない。そう思ったデニスは、リックの事務所に直談判に行きます。

そこから成り行きで、リックの差し押さえ物件に同行したデニス。これまた成り行きで、荒らされた物件の後始末を250ドルで請け負います。たった250ドルですが、それを見た母親と息子がモーテルの狭い部屋で大喜びする様子を見ていると、これまでがいかに大変だったかわかるというものでしょう。

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対するリック。お金になれば汚れ仕事も厭わないデニスの根性を見込み、それまで雇っていた作業員を辞めさせて、デニスに現場作業を任せます。当初は、工事関係だけでしたが、次第にリックの片腕として不動産の差し押さえや転売に関与していくことになります。つまり、差し押さえられる側から、差し押さえる側に転向するわけです。

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この映画の良いところは、基本的な立ち位置が庶民の側にあること。今は上質なジャケットを着て滞納者を追い出しているリックも、父親は屋根葺き職人だったという庶民の出身です。町の不動産屋だった彼が目ざとく見つけたのが、滞納物件に暮らす人々を追い出し、金融業者の上前をはねる商いだったのです。

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ですからリックが語る“America was built by bailing out winners. By rigging a nation of the winners, for the winners, by the winners.”(米国は勝者を救うように出来ている。勝者の勝者による勝者のためのイカサマの国だ)というセリフに、デニスが納得するあたりにも真実味があります。

ちなみにこの勝者というのは、上記「マネー・ショート」の脇役たち。損失を国に肩代わりさせ、自分たちは退職金を受け取って逃げた投資銀行の幹部たちに他なりません。さらに言えば、本作のリックもデニスも庶民だからか、最終的に勝利を掴むことはできないのです。

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主人公のデニス・ナッシュを演じたのが「わたしを離さないで」のアンドリュー・ガーフィールド(Andrew Garfield)。しばらく見ないうちに味のある役者さんになってました。家族を思う誠実さが、非道な仕事に深入りさせてしまうという役どころをリアルに演じていました。

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不動産業者のリック・カーバーを演じたのは「レボリューショナリー・ロード」のマイケル・シャノン(Michael Shannon)。「マイ・ファニー・レディ」にも警官役でカメオ出演していましたね。金銭欲に囚われた成り上がりならではの雰囲気を、絶妙なバランスで醸し出していました。

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そしてデニスの母親リンを演じたのが、「ザ・マスター」以来よく見かけるようになったローラ・ダーン(Laura Dern)。「きっと、星のせいじゃない。」「わたしに会うまでの1600キロ」に続き、貧しくも懸命に生きる庶民的な母親を演じていました。以前も書きましたが、あの張り付いたような笑顔が、薄幸な感じで良いのでしょうね。

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ということで、初めて観たラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)監督の作品は、意外に当たりでした。次作が公開されたらきっと観に行くと思います。

公式サイト
ドリーム ホーム 99%を操る男たち99 Homes

[仕入れ担当]

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