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2016年3月 7日 (月)

映画「クーパー家の晩餐会(Love the Coopers)」

00 なぜこの時期に公開?と思わなくもありませんが、リラックスして楽しめるクリスマス映画です。クリスマスに家族が集まり、それぞれが抱える問題が吹き出してくるというお話。デプレシャン監督の「クリスマス・ストーリー」は一貫して不条理な展開でしたが、本作は若干辛口な部分があるとはいえ、最終的には気持ち良くハッピーエンディングを迎えます。どちらかというと「8月の家族たち」に似た雰囲気です。

物語の舞台は米国東部の郊外。ロケ地はペンシルベニア州ミルベールだそうですが、どこにでもありそうな住宅街の一軒家です。映画の始まりは、クーパー家の主婦シャーロットが別々に暮らす家族にクリスマスの招待状を送るシーン。原題に使われている“Love, the Coopers”はその結辞で、ホリデーシーズンの始まりを告げると同時に、この物語の本質をひと言で表現する上手な幕開けです。製作過程では違う題だったようですので、公開に向けて練られた題なのでしょう。

監督は、知的障碍のある父とその娘をショーン・ペンとダコタ・ファニングの共演で描いた「アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン(Jessie Nelson)。それ以降は「31年目の夫婦げんか」「Dearダニー」といった作品のプロデュースに専念していたようで、十数年ぶりの監督作だそうです。この経歴でもおわかりのように、家族にフォーカスした物語を温かな視線で描くところが持ち味のこの監督。今回はこれまでと異質な群像劇ですが、立ち位置は同じです。

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ダイアン・キートン(Diane Keaton)演じるシャーロットと、ジョン・グッドマン(John Goodman)演じる夫のサムは40年連れ添った夫婦。ハンクとエレノアという成人した子どもがいますが、その他に幼いときに亡くなった娘がいたようです。

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定年を迎えたら夫婦でアフリカ旅行に行くことを楽しみにしていたサムでしたが、あえなくシャーロットに却下され、家を出ていくと宣言します。しかしシャーロットから、家族が集まるクリスマスが終わるまで離婚の話をしないように約束させられます。ジョン・グッドマンは「アーティスト」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「アルゴ」「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」「ミケランジェロ・プロジェクト」などで印象に残る脇役を演じていましたが、本作では主役的な位置づけです。

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エド・ヘルムズ(Ed Helms)演じる長男のハンクは、デパートのカメラマンの仕事を失って求職中。せっせと面接に通い続けていますが、なかなか良い返事は貰えません。離婚したばかりの元妻アンジーにも、チャーリー、ボー、マディソンという3人の子どもたちにも失業したことを隠していますので、クリスマスには自転車をプレゼントすると約束してしまい、それまでに何とか仕事を見つけようと焦るばかりです。

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その妹のエレノアを演じるのは「サード・パーソン」のオリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)。18歳のときに書いた脚本で劇作家デビューしたものの泣かず飛ばずで、独身のまま不倫を続けています。

完璧主義の母シャーロットに会うと思うと気が重く、時間つぶしに入った空港のバーで出会ったのは、目的地の空港が雪で封鎖され足止めされているという米軍兵士のジョー・ベイリー。共和党支持者で信仰が篤く、家族も代々軍人というジョーはエレノアとは相容れない要素ばかりですが、なぜか気が合い、恋人として連れて帰ろうと思い立ちます。ちなみに映画「素晴らしき哉、人生!」の主人公はジョージ・ベイリー。こちらもある種のクリスマスストーリーでしたね。そのジョーを演じたジェイク・レイシー(Jake Lacy)は「キャロル」でルーニー・マーラーのボーイフレンド役だった人です。

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シャーロットの妹のエマも独身女性。子どもの頃から完璧主義の姉と比較されて傷ついてきた彼女、姉にクリスマスプレゼントを贈るのが癪なあまり、ブローチを万引きして逮捕されてしまいます。連行する警官に対し、自分は精神科医だといって会話を続け、どうにか警官の心の底のつかえを解放することに成功。いつも通り遅刻ですが、どうにかクーパー家に晩餐にたどり着きます。彼女を演じたのは「レスラー」「リライフ」のマリサ・トメイ(Marisa Tomei)、今回も今ひとつ幸せになれない女性をリアルに演じています。

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そしてシャーロットとエマの父親バッキーを演じたのは「50歳の恋愛白書」「アルゴ」のアラン・アーキン(Alan Arkin)。教師を退職して以来5年ほど、あまり味の良くないダイナーに通っているのですが、お目当てはウェイトレスのルビー。お気に入りの映画のDVDを貸し、彼女と感想を語り合うことを生き甲斐にしています。それと同時に、ちょっと不安定なルビーを正しい方向に導いてあげたいとも思っています。

そんな折、ルビーが他の客と交わした会話で彼女が店を辞めることを知り、自分には何も知らせてくれなかったことに傷ついて暴言を吐いてしまいます。年齢の差を超えた淡い関係は取り戻せるのか、と観客の興味を駆り立てる相手のルビーを演じたのは「レ・ミゼラブル」のアマンダ・セイフライド(Amanda Seyfried)。

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このようにそれぞれに隠し事があり、問題を抱えた家族が集まって、クリスマスのディナーを共にします。ときには閉じていた蓋が半分開いてしまい、心の奥底に秘めていたモノが噴き出したりしますが、やはり家族ということで、ちょっとした事件をきっかけに良い方向に回り始める映画です。

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この他、「ネブラスカ」のジューン・スキッブ(June Squibb)が演じたフィッシー叔母さんと、クーパー家の愛犬ラグスのコンビが物語に抑揚をつけ、また芸達者な出演者たちによる楽器の演奏が華を添えます。

登場人物が多いので、人物像の説明だけになってしまいましたが、群像劇の割にはシンプルなストーリーだと思います。クリスマス前後にご自宅で観るのもよし、インフライトムービーで暇つぶしに観るのもよし、いずれにしても気軽に楽しめる作品です。こういう作品を見慣れていない方は、公式サイトの人物相関図*にお目通しになってからご覧になるとわかりやすいと思います。

クーパー家の晩餐会Love the Coopers

[仕入れ担当]

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