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2016年5月 9日 (月)

映画「グランドフィナーレ(Youth)」

00 先月も「今年は洋画の当たり年かも」と書きましたが、これまた映画好きなら見逃せない1本です。今年のカンヌ映画祭コンペティション部門でも高く評価されていた作品。結局、パルムドールは「ディーパンの闘い」でしたが、政治的な意味合いを考えなければ、本作が獲っても良かったのではないかと思います。

監督はイタリアのパオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino)。これまで「イル・ディーヴォ」「きっと ここが帰る場所」「グレート・ビューティー」と日本公開作はすべて観てきましたが、どれもルカ・ビガッツィ(Luca Bigazzi)の美しくインパクトある映像を駆使して、掴みどころのないストーリーをセンス良く紡いでいく作品でした。

本作も物語性が強い作品とはいえませんが、他に比べて展開がシンプルで、気軽に楽しめる作りになっていると思います。ちなみに「きっと ここが帰る場所」以来、2作目の英語作品です。

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テーマはずばり“老い”。原題をYouthとしたあたりに、この監督らしさが光ります。
そして冴え渡った映像。生まれもったセンスなのでしょうか。感性と技術がしっかりとかみ合い、スクリーンに映し出されるあらゆる情景が心に響いてきます。あまりにも素晴らしくて言葉を失うほどです。

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主人公は往年の名曲“シンプル・ソング”で知られる音楽家フレッド。愛娘であり秘書でもあるレナを伴い、幼なじみの映画監督ミックとスイスのリゾートに滞在しています。フレッドとミックは共に人生のピークを過ぎ、肉体の衰えを嘆き合っているとはいえ、自分自身への期待感や身の処し方はそれぞれ異なります。

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フレッドは娘から「無気力(apathy)に陥っている」と非難されながらも、何か行動を起こしたいとは思ってません。女王陛下の前で指揮して欲しいと、英国王室の特使から依頼されても、けんもほろろに追い返す始末。対するミックは、昔なじみの名女優ブレンダを主役に新作を撮ろうと、若いスタッフを集めて企画を練っています。

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そんな二人の関心事といえば、食堂で見かける欧州人の寡黙な老夫婦が、このまま互いにコミュニケーションを持たずに終えるのかということ。いつも一緒にテーブルに着くのですが、終始一貫、ひと言も会話することなく食事を終えて引き上げていく不思議な人たちです。

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その他、ロボット映画で人気の若手俳優のジミーや、南米の有名サッカー選手、後で到着するミスユニバース、フレッドの掛かり付けのマッサージ師など、リゾート内のさまざまな人々がそれぞれ個性を発揮してフレッドたちの滞在に興を添えます。

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レナはミックの息子ジュリアンと結婚しているのですが、ある日、その関係に終止符が打たれることになります。その理由は、ジュリアンがポップシンガーのパロマ・フェイス(Paloma Faith)の肉体に溺れてしまったから。フレッドはレナを慰め、ミックはジュリアンに翻意を迫りますが、その過程で自らのこれまでの行状を客観視させられることになります。

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そして次第に登場人物たちの背景や人生観が明らかになっていき、それぞれの内面に変化が現れる様子を、スイスの美しい自然を交えながら描いていきます。ロケ地は、外まわりがホテル シャッツアルプ(Berghotel Schatzalp)、SPAなどはワルドハウス フリムス(Waldhaus Flims Mountain Resort & Spa)だそう。どちらも素敵なホテルですね。それをルカ・ビガッツィが撮るわけですから、どのシーンも魅力的なはずです。

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その他、フレッドが水没していくヴェネツィアのサン・マルコ広場、ヴァイオリニストのヴィクトリア・ムローヴァ(Viktoria Mullova)やソプラノ歌手のスミ・ジョー(Sumi Jo)が登場するコンサートシーン(ロケ地はWimbledon Concert Hall)なども見どころでしょう。

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主役のフレッド・バリンジャーを演じたのは「インターステラー」「キングスマン」に出ていたマイケル・ケイン(Michael Caine)。ミックを演じたのは、最近「ムーンライズ・キングダム」「グランド・ブダペスト・ホテル」などウェス・アンダーソン作品でよく見るようになったハーヴェイ・カイテル(Harvey Keitel)。娘のレナは「ロブスター」のレイチェル・ワイズ(Rachel Weisz)が演じています。

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映画俳優のジミーを演じたのは、このところ存在感を増してきている「ラブ&マーシー」のポール・ダノ(Paul Dano)。ロボット映画で演じた"Mr. Q"というキャラクターが染みついてしまい、そこから脱皮しようともがいている俳優という役どころがいいですね。役作りのロールモデルはシャイア・ラブーフあたりでしょうか。

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そして、往年の名女優という役どころのブレンダを演じたのはジェーン・フォンダ(Jane Fonda)。登場するシーンはほんの僅かですが、さすがに強烈な印象を残していきます。

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ということで、非常に心地良い映画です。何度でも観たくなります。老いの中の達観と執着、成熟した部分と未熟な部分を描いていくという点で、先々週にご紹介した「さざなみ」と相通じる、大人向けの映画です。ある程度の年齢の方でしたら、きっと琴線に触れる部分があると思います。

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公式サイト
グランドフィナーレYouth

[仕入れ担当]

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