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2016年7月25日 (月)

映画「シング・ストリート 未来へのうた(Sing Street)」

00 前作「はじまりのうた」のときも、とってもいい映画です、とブログの冒頭で書きましたが、こちらもとってもいい映画です。ジョン・カーニー(John Carney)監督の最新作。

典型的なボーイ・ミーツ・ガールの物語が展開する超シンプルな恋愛映画ですが、そのストレートなところがすごく心地良くて、ニコニコしながら映画館を後にできると思います。

デートムービーに最適!と書きたいところですが、時代設定が1985年で、バンド活動を始める高校生が主人公というこの映画、80年代ロックがてんこ盛りですのでターゲット年齢はやや高めでしょうか。

あの時代を懐かしく感じる人なら隅々まで堪能できますが、使われている曲や言及されているミュージシャンに馴染みのない若い人だとピンとこないかも知れません。

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映画の舞台はアイルランドのダブリン。国の経済危機の煽りを受け、家計費を節約するため、主人公のコナーが地元の公立高校 Synge Street CBS に転校させられます。気乗りしないまま登校してみると、不良のバリーから踊って見せろとイジメられ、高圧的な校長からは、黒い靴以外は禁止なので、茶色の靴を脱いで校内では裸足でいるように命じられる始末。バックに流れるクラッシュの“I fought the law”の歌詞が笑いを誘います。

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しかし、そんなことにはめげず、バリーの件で仲良くなったダレンと歩いていて見かけた美少女に声をかけるコナー。彼女がモデルをしていると聞いて、自分たちのバンドのプロモーションビデオに出ないかと持ちかけます。もちろんそれは単なるきっかけ作り。たまたまその前日、兄貴とデュラン・デュランの“Rio”のPVを見て感銘を受けたというだけで、ビデオどころかバンドも口から出まかせですので、急遽バンドを組むことになります。

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ダレンの紹介で音楽おたくのイーモンを訪ねたコナーは、これまた兄貴から受け売りでジョン・テイラーについて語って意気投合。マネージャーに就任したダレンのアイデアで、黒人がいる方がカッコいいと、ンギグを誘い、ラリーとギャリーを加えてメンバーが揃います。

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早速、デュラン・デュランの“Rio”をカバーするのですが、そのテープを聴いた兄貴から、コピーバンドじゃダメ、オリジナルの曲で勝負しろ、と一喝されます。そして宿題だと渡されるアルバムが、ザ・ジャムの“The Gift”、ジョー・ジャクソンの“Night and Day”、ザ・ポリスの“Reggatta de Blanc”の3枚。その後の場面でイーモンと一緒に“A Town Called Malice”と“Steppin' Out”を聴くのですが、“Reggatta de Blanc”はかけませんでしたので、どの曲を選んだのか、ちょっと気になるところです。

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そうして最初の曲“The Riddle Of The Model”が出来上がり、PVの撮影に進みます。チャイニーズ風のアレンジがある曲だと説明されていたラフィーナは、アイメークもどことなく京劇風。対するメンバーの衣装はチグハグですが、それも素人バンドらしくて良い感じです(Youtube)。昔どこかで見たようなPVを眺めているうちに、映画の観客もだんだんと彼らのファンになってきます。

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曲調も、駆け出しらしく、デュラン・デュラン風だったり、ホール&オーツ風だったり、その時々で変化していきます。それに合わせて前髪を染めてみたり、メイクをしたまま登校して校長から「ジギーのつもりか?」と怒られたり(Ziggy Stardustのことですね)、良い子っぽい風貌とは裏腹にロックスピリッツ溢れるコナーが魅力的です。終盤にはザ・キュアーの“In between Days”を聴いて「ポップは卒業だ」と宣言してメンバーに呆れられたりします。

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そんな彼に惹かれているように見えるラフィーナですが、実はボーイフレンドがいて、一緒にロンドンに行くつもりです。そのボーイフレンドは「自分と違って大人だし、車を持っているし」と弱気になるコナーですが、それを聞いた兄貴から、カーステレオから何が流れていたかと訊かれ、ジェネシスと答えた途端、フィル・コリンズを聞いてるやつなんてくだらないから大丈夫だと励まされます。そういう小ネタが充実していて、随所で笑わせてくれる映画です。

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主人公のコナー、芸名コズモを演じたのは、オーディションで選ばれたフェルディア・ウォルシュ=ピーロ(Ferdia Walsh-Peelo)。実のお父さんがSynge Street CBSの卒業生という地元っ子で、2000年生まれといいますから撮影時には15歳でしょうか。デビュー作とは思えない名演です。

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そして兄貴ブレンダンを演じたのは、コロラド州生まれアイルランド育ちのジャック・レイナー(Jack Reynor)。美少女ラフィーナを演じたのはロンドンっ子のルーシー・ボイントン(Lucy Boynton)で、1994年生まれだそうですから、フェルディア・ウォルシュ=ピーロより6つ年上です。

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お父さん役のエイダン・ギレン(Aidan Gillen)も、お母さん役のマリア・ドイル・ケネディ(Maria Doyle Kennedy)もダブリン出身の役者さんで、マリア・ドイル・ケネディは「ザ・コミットメンツ」にも出ていました。

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テーマ曲は「はじまりのうた」と同じくアダム・レヴィーン(Adam Levine)ですが(Youtube)、ご覧のとおり有名スターは出ません。でも、それがかえって映画の味を深めているタイプの作品だと思います。必見です。

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公式サイト
シング・ストリート 未来へのうたSing Street

[仕入れ担当]

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