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2017年5月 8日 (月)

映画「メットガラ ドレスをまとった美術館(The First Monday in May)」

00 原題になっている5月の最初の月曜日は、NYでメットガラ(Met Gala)が行われる日です。言うまでもなくMetはMetropolitanの略で、ここではメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum)のこと。この美術館の服飾研究所(Costume Institute)が毎年テーマを変えて開催する展覧会は、ファッション業界のみならずショウビジネスの世界でも注目のイベントで、そのプレミアとして行われるファンドレイジングパーティーで毎回10億円以上の資金を集めるそうです。

先週始まった今年の展覧会のテーマは“Rei Kawakubo/Comme des Garçons: Art of the In-Between”。存命のデザイナーが取りあげられるのは1983年のイブ・サン・ローラン以来2人目であり、初の日本人デザイナーということもあって、国内のニュースでも大きく報道されていました。

この映画はその2年前(2015年)、“China: Through the Looking Glass”というテーマで開催された展覧会を準備段階から追ったドキュメンタリーです。

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こう書くと、関係者向けの地味な映画のように思われるかも知れませんが、これがなかなか見応えのある面白い作品。個性的な登場人物と、ドラマティックな展開で、一瞬たりとも観客を飽きさせません。

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主な登場人物は、服飾研究所のキュレーターであるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)と、ヴォーグ誌のアナ・ウィンター(Anna Wintour)の2人。そしてこの企画のアートディレクターを務めたウォン・カーウァイ(王家衛)や、解説者的な役割で登場するバズ・ラーマン(Baz Luhrmann)の他、ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)といったデザイナーたちがメットガラについて語ります。

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英国出身のアンドリュー・ボルトンは、17歳のときからこの仕事をしたいと思っていたという執念の人。ヴィクトリア&アルバート博物館で働いていたとき、服飾研究所の主席キュレーターだったハロルド・コウダ(Harold Koda)と会食する機会を得て、そこで売り込んでメトロポリタン美術館にポジションを得たそう。その後、アレキサンダー・マックイーンが亡くなった直後の2010年に彼をテーマにした“Alexander McQueen: Savage Beauty”を企画して661,509人の来館者を記録。そして本作の題材となった“China: Through the Looking Glass”では、その記録を上回る815,992人の来館者を集めたそうです。アンドリュー・ボルトンはこの展覧会の後、ハロルド・コウダの退任に伴い、服飾研究所のトップに就任しています。

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最初にアンドリュー・ボルトンが登場したときから、パンツの丈やジャケットのシェイプがトム・ブラウンっぽいな、と思っていたのですが、それもそのはず、彼ら2人は私生活上のパートナーだそうです。ということで、トム・ブラウン(Thom Browne)も登場しますし、マイケル・コース(Michael Kors)からドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)までさまざまなデザイナーが出てくるのですが、やはり注目はグオ・ペイ(Guo Pei:郭培)でしょう。

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ジャン=ポール・ゴルチエが会場を回りながらアリシア・キーズに「これはウッドを多用してるからアレキサンダー・マックイーンの作品だよ」などと解説するシーンがあるのですが、「これはジョン・ガリアーノ、あ、違うのか」と驚く作品がグオ・ペイのブルーのドレス。テーマが“姿見を通して見た中国”ですから、中国人デザイナーが脚光を浴びるのは当然とはいえ、この北京ベースのデザイナーは、この展覧会で世界のトップデザイナーに躍り出たといって良いと思います。

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圧巻は、メットガラのレッドカーペットでリアーナ(Rihanna)が来た黄色のドレス。グオ・ペイの2010年のコレクションだそうですが、重量25キロという凝りに凝った刺繍のドレスです。会場でもヴォーグ誌の名物編集者アンドレ・レオン・タリー(André Leon Talley)が大絶賛していました。彼についてはヴォーグ誌の編集部を追った映画「ファッションが教えてくれること」のブログで書きましたので、そちらをご覧ください。

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リアーナ以外にも、ジョージ・クルーニー夫妻やレディ・ガガ、マドンナ、ジャスティン・ビーバー、ビヨンセ、ジェニファー・ローレンスといった大勢のセレブたちが登場しますので、それも見どころの一つでしょう。

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個人的に印象に残ったのは、展示作品を借りるため、アンドリュー・ボルトンがサンローラン財団を訪問するシーン。アーカイブからモンドリアンドレスなどの実物を出して貰うたびに感動していて、この人は心からファッションが好きなんだな、と強く感じました。その後の彼の情熱的な仕事ぶりを応援したくなる理由のひとつです。ちなみに、彼がサンローラン財団を訪れたときバックに映り込んでいるのはエディ・スリマン写真展のポスターで、2014年にこのモナドのブログでご紹介しています。

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そしてもう一つ印象的だったのは、インタビューを受けるジョン・ガリアーノがすごく嬉しそうだったこと。イブ・サン・ローランやアレキサンダー・マックイーンと並び称せられる天才デザイナーが、あの暴言で一瞬にして転落して葬り去られたわけで、その後の苦難は推して知るべしでしょう。ちょうど映画の撮影の頃は、マルタン・マルジェラのクリエイティブディレクターに就任したばかりですから、ようやく復活への道筋がついてきたという感じだったのでしょうか。

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公式サイト
メットガラ ドレスをまとった美術館The First Monday in May

[仕入れ担当]

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