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2017年11月 6日 (月)

映画「ゴッド・セイブ・アス(Que Dios nos perdone)」

00_2 一昨年のワールド・エクストリーム・シネマで上映されたスペイン映画「マーシュランド」が予想外の大当たりでしたので、この「ゴッド・セイブ・アス」もかなり期待して観にいきました。夜の上映だったせいかも知れませんが、観客は10人もいなかったと思います。それも納得という気がしないでもない作品です。

スペイン本国ではまずまずの評価で、2016年ゴヤ賞で主演男優賞、同年のサン・セバスティアン映画祭で脚本賞を受賞しています。ちなみに今年の脚本賞は先週ご紹介した「家族のように」でしたが、それに比べて展開やセリフが平凡で、悪くはないけど今ひとつ、という1本でした。

いわゆるバディムービーで、2人の刑事、粗暴なハビエルと緻密なルイスが難事件を解決していくミステリーです。その事件というのが老女の連続殺人なのですが、これが恨みや物取りではなく暴行殺人、つまり被害者である高齢の女性たちは強姦されて殺されているというところに特殊性があります。

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最初の事件の捜査では、被害者と交際していた男性を探したりするのですが、それが連続殺人であることが判明し、老女に異常な感情を抱いている人物という犯人像が示されます。しかし、被害者同士には繋がりがみられませんので、特定の老女を狙った事件ではありません。僅かな物証と、猫に餌を与えたのではないかという曖昧な手がかりしかないなか、2人の刑事は推理を進めていきます。

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バディムービーですから、主人公たちも個性的です。ハビエルは暴力が原因で妻と別居し、今は娘と2人暮らし。少し前に署内で同僚刑事を殴って片目を失明させたことが映画の冒頭で示されます。アンガーマネジメントできない性格は、この捜査の過程でもたびたび表面化してトラブルを引き起こしますが、熱血漢らしい情熱で犯人に迫っていきます。

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対するルイスは、吃音がある関係でコミュニケーションを避けるタイプ。よく片付いた部屋で独り暮らしており、共用部の清掃に来る女性をドアスコープからのぞき見たりする屈折した性格です。刑事としては緻密に証拠を積み上げていくタイプで、過去の類似事件の膨大な資料を洗い直したりしていきます。

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2人の捜査にはいろいろと邪魔がはいり、遅々として進みません。一旦は、犯人らしき人物を見つけるのですが、地下鉄オペラ駅を封鎖するという大捕物を演じた揚げ句、取り逃がしてしまいます。

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また、この映画の舞台となっている2011年夏のマドリードはローマ法王の訪問を控えており、警察上層部はこの猟奇的事件を闇に葬ろうと圧力をかけてきます。なおこれは、2011年8月16日から21日までマドリードでワールドユースデー(World Youth Day Madrid 2011)が開催され、この公費支出に関する反対運動が盛り上がったという事実を絡めて描いている部分です。

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ハビエルが警察から追い出されてしまったり、私生活で問題が発生したりといろいろありますが、結局はスペイン映画らしく教会に行き着き、そこから謎が解き明かされていきます。原題の“神様お赦しください”はそのあたりに因んで付けられたのでしょう。しかし、それだけで終わらせないところがこの監督の持ち味かも知れません。

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本作でハビエル(Javier Alfaro)を演じてゴヤ賞に輝いたのは「私が、生きる肌」で事件の鍵となる家政婦の息子を演じていたロベルト・アラモ(Roberto Álamo)。ルイス(Luis Velarde)を演じたのは、イグレシア監督の「気狂いピエロの決闘」「刺さった男」、アルモドバル監督の「ボルベール」「アイム・ソー・エキサイテッド!」の他、「マーシュランド」で被害者の父親、「静かなる復讐」で主役ホセを演じていたアントニオ・デ・ラ・トレ(Antonio de la Torre)。出演作ごとに雰囲気をがらっと変えて登場するスペインの人気俳優です。

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監督を務めたロドリゴ・ソロゴジェン(Rodrigo Sorogoyen)は1981年生まれの若手で、2008年に「8 citas」でデビューし、2013年の「Stockholm」がゴヤ賞にノミネートされて注目を集めた人。「チコとチカ(¿Chico o chica?)」などで知られる映画監督アントニオ・デル・アモ(Antonio del Amo)の孫だそうです。

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公式サイト
ゴッド・セイブ・アスQue Dios nos perdone

[仕入れ担当]

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