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2018年5月 1日 (火)

映画「君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name)」

00 とても上質な映画です。役者、脚本、撮影、音楽、ロケーションとも最高だからこそ、これほど淡く繊細な心の機微を、これほどまで的確に描けるのでしょう。監督は「ミラノ、愛に生きる」「胸騒ぎのシチリア」のルカ・グァダニーノ (Luca Guadagnino)。美しくスタイリッシュな作品で観客を魅了してきた監督ですが、本作はさらに美意識が研ぎ澄まされた印象です。

舞台は北イタリアのどこか、と映画の冒頭で記されますが、ロケ地はロンバルディア州のミラノより東側の地域、クレモナ県のクレーマ(Crema)、ベルガモ県のベルガモ(Bergamo)やヴァルボンディオーネ(Valbondione)あたりだそうです。どの場面を切り取っても素晴らしい景色ばかりで、前回イタリアに行ってから一年も経っていないのに、また行きたくなってしまいました。

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物語のテーマは17歳の少年のひと夏の経験で、家族と共にクレーマの別荘で夏を過ごしているエリオが、考古学者である父親が招いた博士課程の学生オリヴァーと惹かれ合うお話。オゾン監督の「17歳」やニック・ホーンビィ脚色の「17歳の肖像」など、17歳の少女と年上の男性との関係を扱った作品は多々ありますが、男性同士というのが他とは異なるところです。

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エジプト系米国人作家アンドレ・アシマン(André Aciman)の小説を、もともとの1987年という時代設定からAIDSが社会問題化する前の1983年に変え、御年89歳の巨匠ジェームズ・アイヴォリー(James Ivory)が脚本化しました。

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ジェームズ・アイヴォリーといえば、「眺めのいい部屋 」「モーリス」「ハワーズ・エンド」といったE.M.フォースター(Edward Morgan Forster)の小説や「日の名残り」「上海の伯爵夫人」といったカズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro)の小説など、英国文学の王道を往く作品を映画化してきた監督なので、てっきり英国人だと思っていたのですが、実はカリフォルニア出身なんですね。このブログを書いているときに初めて知りました。

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それはそうと、映画はティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)演じるエリオが両親と滞在している居心地良さそうなヴィラに、アーミー・ハマー(Armie Hammer)演じるオリヴァーが到着するシーンから始まります。そのときは、オリヴァーの自信家っぽい態度に否定的な印象を持つのですが、さまざまな触れ合いを通じて彼に惹かれていくことになります。

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といっても、もともと男性に関心があったわけではありません。エリオには近くに住むマルシアという同い年のガールフレンドがいて、オリヴァーの到着時も彼女と過ごしていましたし、映画の序盤では彼女と一線を越えられるかどうかが彼の関心事でした。オリヴァーに出会って初めて男性に惹かれるようになるのです。

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17歳の恋愛ですから、ただでさえもどかしいのに、相手が同性であることで、さらにもどかしい状況になります。彼が同性に興味があるかもわかりませんし、仮に興味があっても、それが自分に向かうかどうかは別の問題です。もちろん、初めての経験ですからアプローチの仕方もわかりません。その上、自分の性的志向も実際のところよくわかっていなくて、自分に対する好奇心と相手に対する好奇心がないまぜになり、さまざまな価値観が交錯して常に気持ちが揺らいでいるわけです。

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そんなエリオの未熟で純粋な心を、ルカ・グァダニーノ監督は、ティモシー・シャラメの顔立ちの美しさ、北イタリアの澄んだ空気感や緑あふれる環境を最大限に活かして描いていきます。

また、相手役となるアーミー・ハマーとの組み合わせも絶妙でした。彼は「J・エドガー」でフーバー長官のパートナー役を演じていましたが、こういった役の雰囲気作りがとても上手ですね。ちなみに私生活では妻との間に2人の子どもがいるそうです。

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この映画の見どころは、もちろん彼ら2人の瑞々しい交際ですが、エリオの父親役を演じたマイケル・スタールバーグ(Michael Stuhlbarg)と母親役を演じたアミラ・カサール(Amira Casar)の2人もとても良かったと思います。

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映画の終盤、エリオに対して父親が語りかける感動的なシーンがあるのですが、マイケル・スタールバーグの演技力と、ジェームズ・アイヴォリーらしい知的なセリフのおかげで、心の底まで染みいってきます。あまりにも素晴らしかったのでスクリプト(こちら)を探し出してしばらく読みふけってしまいました。

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そしてその感動を支えるスフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens )の楽曲の数々。予告編のせいか、この曲を聴いただけで切ない気分になってくる“Mystery of Love”もクセになりますが、“Visions of Gideon”もじわっとくるものがあります。また屋根裏部屋でラジオから流れてくるF.R.デイヴィット(F.R. David)の“Words”も、つたない感じがあの場面にぴったりだと思いました。

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ガールフレンドのマルシアを演じたエステール・ガレル(Esther Garrel)のこととか、彼女にプレゼントする女流詩人アントニア・ポッジ(Antonia Pozzi)のこととか、調査に赴くガルダ湖(Lago di Garda)やエリオが母親に電話するクルゾーネ(Clusone)のこととか、アンドレ・アシマンのカメオ出演のこととか、まだまだ書きたいことが尽きませんが、長くなるので最後にひとつ、ジェームズ・アイヴォリーが今年のアカデミー賞で脚色賞を受賞したとき着ていたティモシー・シャラメを描いたシャツ(こちら)のこと。

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ずっと気になっていたので調べてみたら、あれはアンドリュー・マニア(Andrew Mania)というアーティストが、あの切ない長距離電話のシーン(上の写真)でエリオが着ていたマチス風の顔モチーフのシャツから着想を得て作ったものだそうです。

公式サイト
君の名前で僕を呼んでCall Me by Your Name

[仕入れ担当]

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