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2018年5月28日 (月)

映画「ダリダ〜あまい囁き〜(DALIDA)」

00 フランスで一世を風靡した歌手、ダリダ(Dalida)の生涯を描いた映画です。私は今回初めて知りましたが、彼女のヒット曲を岩下志麻がカバーしたり、1974年に来日公演が行われたり、日本でも人気があったようですのでご存知の方も多いかも知れません。

特に話題作でもないのに、なぜ知らない歌手の伝記映画を観に行ったかというと、5年ほど前、予備知識なく観た「最後のマイ・ウェイ」がとても面白かったから。こちらはクロード・フランソワという、やはりフランスで60年代から70年代にかけて一世を風靡した歌手のお話でしたが、フランスのこの時代の風俗や流行を体感したことで、いろいろなことが腑に落ちました。やはり書籍では感覚的な部分が理解できないものですね。昨年末にジョニー・アリディが亡くなりましたが、葬儀の熱狂を見るといつか彼の伝記映画も作られるでしょうから、その際は観に行こうと思っています。

話が逸れましたが、このダリダの映画、ひと言でいえば波瀾万丈の人生に自ら54年で終止符を打った女性歌手の物語です。

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イタリア系移民の子どもとしてエジプトのカイロに生まれ育ったヨランダが、眼鏡姿のいじめられっ子だった幼少期のコンプレックスをはねのけ、1952年のミスエジプトに選ばれたことでフランスデビューの幸運を手にします。そして年間9枚のヒットを飛ばすという快挙を成し遂げ、一気にスターダムをのし上がっていきます。

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しかし、私生活では常に男性で苦労することになります。最初は、1956年にオランピア劇場で行われた新人コンテストで出会ったラジオ局の音楽プロデューサー、ルシアン。既婚者だった彼との関係を続ける中で音楽的大成功を収めるわけですが、5年後に彼との結婚に漕ぎ着けたときは既に愛情が冷めていて、すぐさま画家と不倫。ルシアンからはラジオで彼女の曲をかけないという嫌がらせを受けますが、その年末にはオランピア劇場でのショーを成功させて確固たる人気を築き上げてしまいます。それが1961年、28歳の頃のお話。

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その5年後、イタリア人歌手のルイジ・テンコ(Luigi Tenco)と出会って恋に陥ちます。ちなみに彼はジェノヴァ大学で物理学を学んだというインテリで、映画の中でもピロートークでハイデッガーを引用してみせる理屈っぽさが描かれます。ある意味、繊細で神経症的なアーティストだったわけですが、1967年のサンレモ音楽祭での予選落ちを苦に自殺してしまいます。

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この映画の始まりは、ダリダが睡眠薬でその後追い自殺を図るシーンで、続いて上に記したような生い立ちが語られていくことになります。

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そしてその年の暮れ。ルイジの詩が好きだという18歳の青年ルチオに出会います。ルイジは5つ年下でしたが、ルチオは16歳も下。その上、大スターと大学浪人ですから、バランスの良い関係は望めそうにありませんが、なぜか彼に惹かれて生涯で唯一となる妊娠を経験し、堕胎したことを生涯にわたって悔いることになります。

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1970年には元夫のルシアンが自殺し、ダリダは3年ほどの間に2人の男性を拳銃自殺で失うことになります。ルイジは自らの才能、ルシアンは賭博の借金が原因だったようで、どちらもダリダが直接的な原因ではありませんが、自らの低迷をダリダの成功と対比して見ていたとしても不思議ではありません。

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その後、サンジェルマン伯爵の生まれ変わりと称するリシャールと出会いますが、アラン・ドロンとのデュエットで噂になり、ミッテラン大統領との関係が噂され、といった奔放な生活のせいで1981年に関係が破綻。その2年後に彼も排ガス自殺してしまいます。このときダリダは50歳。そしてその4年後、1987年5月3日に彼女自身も睡眠薬で自殺を遂げることになります。

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私生活はボロボロですが、音楽的には常に流行を取り入れ、大衆の心を掴み続けたダリダ。映画では弟のブルーノがその立役者として描かれていますが、彼はこの映画のプロデューサーであり、数年前に映画化が企画されたときは彼の横やりでお蔵入りしたそうですから、かなりの部分は眉唾と思った方が良いでしょう。

もしかするとダリダの自殺の遠因に、ずっと姉に寄生し、今も姉の栄光で収入を得ているブルーノの存在があったのかも知れません。いずれにしてもイタリア系らしく家族を養い続けたダリダの苦労も並大抵ではなかったと思います。

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この映画の見どころはといえば、まず主演のスベバ・アルビティ(Sveva Alviti)の存在感。見た目を似せているだけでなく、大スターらしいオーラを感じさせる立ち居振る舞いに迫力があり、本物のダリダの映像なのか、彼女を使って記録映像っぽく撮ったのか見分けがつかなくなるほどです。ダリダの人気の秘密の1つが、イタリア訛りっぽいフランス語にあると言われているそうですが、敢えてフランス語が不得意な彼女を使ったリサ・アズエロス(Lisa Azuelos)監督の上手さでしょう。

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そしてダリダの歌。ご存知の曲もあるでしょうし、この映画を観て彼女の歌だと気付く曲もあると思いますが、なかなか意味深な歌詞が多くて、特に「灰色の途(Je suis malade)」など彼女の人生に重ね合わせて聴くと味わい深いものがあります。また初めてフランス語の「ベサメ・ムーチョ(Besame mucho)」を聴きましたが、あれはあれで良いものだと思いました。

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他の出演者としては「ル・コルビュジエとアイリーン」でコルビュジエを演じていたヴァンサン・ペレーズ(Vincent Perez)が音楽プロデューサー役で出ています。「最後のマイ・ウェイ」に出ていたブノワ・マジメルに対しても似たようなことを書きましたが、そこらのおっさん的な風貌に芸能界っぽいリアリティがあって良かったと思います。

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彼も実在のEddie Barclayと似た雰囲気を漂わせていましたが、その他の俳優たちもかなり似せて作られていますので、出演者と実在の人物を並べて見せるエンドロールまで席を立たない方が良いと思います。

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公式サイト
ダリダ〜あまい囁き〜DALIDA

[仕入れ担当]

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