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2018年5月 7日 (月)

映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域(The Square)」

00 前作「フレンチアルプスで起きたこと」が2014年カンヌ映画祭で“ある視点部門”の審査員賞に輝き、注目を集めたスウェーデンのリューベン・オストルンド(Ruben Östlund)監督。何と!この最新作で2017年のパルムドールを獲ってしまいました。

「フレンチアルプス……」は、とても奇妙な作品でしたので、この監督も有名になって作風を変えたのかと思いましたが、あの“間の悪い感じ”は健在でした。ちなみに2017年の審査委員長はペドロ・アルモドバル。しばらく「アイム・ソー・エキサイテッド!」を撮ったり、「人生スイッチ」をプロデュースしたりといった時期がありましたので、こういった一筋縄ではいかないコメディ映画に意識が向いていたのかも知れませんね。

ということで、笑いがひねくれている上に2時間半の長さですので、話題作とはいえ、どなたにでもお勧めできる映画ではなさそうです。

舞台となるのはストックホルムの現代美術館“X-Royal”。宮殿(Sveriges Kungahus)の一角に作られたミュージアムという設定で、後ほど、入口に向かって歩いてきた中国人観光客に“王宮はあちらです”と言って追い返す、さりげない差別ネタ(=どうせ現代美術に興味あるはずない)が挟み込まれたりします。

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そういった特権的な意識と場所を背景に、現代美術の世界にはびこる偽善や俗物ぶりを俎上に上げ、この監督ならではのイジワルな視点で料理していく映画です。

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始まりは、美術館の自主企画であるインスタレーションの発表の場。今回の展示作品“ザ・スクエア”は、地面に埋められた13フィート(約4m)四方の光る枠で、その中ではすべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われるという理念を示しています。その責任者であるキュレーターのクリスティアンが、記者のアンからインタビューを受けるのですが、いきなりチグハグぶりを発揮して笑わせます。

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たとえば美術館のウェブサイトに掲載されている展覧会のコンセプト。よく理解できなかったのですが、とアンがサイト上の文章を読み上げるのですが、文章があまりにもコンセプチュアルで、クリスティアンにも説明できません。何とか場を取り繕おうとするクリスティアンの視線が泳ぐあたりがリアルでいい感じです。

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その後、通勤中のクリスティアンが、夫のDVから逃げているという女性を助けます。というか、彼女を助けようとしている人に協力を求められます。善良なインテリであるクリスティアンとしては無視するわけにはいきませんので、気持ちは退けながらも手助けするのですが、その場を離れてすぐ、電話と財布を掏られたことに気付きます。いかにもこの監督らしい善意の報いです。

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美術館でその話をすると、スタッフが“Find My iPhone”を使って、彼の電話が低所得者用の公営住宅にあることを突き止めます。そこにスタッフと出掛けて行き、ビラをまいて盗品を返すように訴えるのですが、これが原因となって起こる出来事がこの映画の軸の1つです。

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そしてもう1つの軸はクリスティアンの私生活での人との触れ合い。離婚した妻との間に娘が2人いて、彼女たちと接するときは善良な父親として振る舞おうとするのですが、いくら表面を繕っても綻びが見え隠れします。また、女性関係においても、相手を信用できないことから妙な主張をして、映画の観客を困惑させ、失笑させます。

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この2つの軸を絡めながら展覧会のマーケティングを巡るドタバタが描かれていくわけですが、折に触れて現代人を取り巻くさまざまな社会現象、美術界や広告代理店の胡散臭さを風刺していきます。なおこの展覧会のコンセプトはアルゼンチン人アーティスト、ローラ・エイリアス(Lola Arias)のアイディアだと語られますが、どうやら実在の人物とは関係ないようで、本人が文句を言っているという報道(こちら)がありました。

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主な出演者としては、ほぼ出ずっぱりの主人公クリスティアンを演じたデンマーク出身のクレス・バング(Claes Bang)。あまり有名ではありませんでしたが、本作のヒットを受けて「ドラゴンタトゥーの女」の続編(監督は違います)への出演が決まっているそうです。

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またジャーナリストのアンを演じたエリザベス・モス(Elisabeth Moss)は、TVドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」で有名になった人ですね。劇場映画では「オン・ザ・ロード」にギャラテア・ダンケル役で出ていました。ジュリアン役のドミニク・ウェスト(Dominic West)は、「パレードへようこそ」でジョナサン・ブレークを演じていた人です。

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公式サイト
ザ・スクエア 思いやりの聖域The Square

[仕入れ担当]

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