« 映画「ビューティフル・デイ(You Were Never Really Here)」 | トップページ | 夏に映える色とりどりのジュエリー♪レッドをアクセントにしたリング&ネックレス »

2018年6月19日 (火)

映画「ゲティ家の身代金(All the Money in the World)」

00 1973年に実際に起こった事件を下敷きにした映画です。その事件というのは、1957年にフォーチュン誌が掲載した金持ちリスト(Richest Living American)でトップになったジャン・ポール・ゲティの孫ジョンが、イタリアで誘拐されて巨額の身代金を要求されたというもの。

被害者ジョンの母親アビゲイルは離婚してゲティ一族ではなくなっていましたが、別れた夫(ジョンの父親でジャンの息子)ユージンはジャンキーで支払能力がなかったことから、元義父のジャンに頼ることになります。しかし吝嗇家で有名だったジャンはこれを拒否。最終的に身代金を値切って支払いに応じたのですが、おかげで開放されるまでに半年近くかかりました。

01

映画はジョンがローマのファルネーゼ広場で誘拐される場面からスタート。その背景に当時のフィアットやヴェスパが何台も行き交っていて、さすがリドリー・スコット(Ridley Scott)監督、お金をかけるなぁと思いながら見始めました。コロッセオが映る場面など、セキュリティゲートや地下鉄工事をどうしたのか不思議ですが、古いフィルムのような映像といい、細かい部分まできちんと作り込まれてます。

04

誘拐されたジョンは、最終的に開放されたのがポテンツァ、犯行グループにカラブリアのマフィアが関係していたということで、彼が登場する場面はイタリア南部と思われます。母親アビゲイルは自宅があるローマ市内とジャンの住居がある英国を何度も行き来し、それ以外にユージンが放蕩を尽くしていたモロッコ、ゲティ家が財産を築く礎となった中東の場面も出てきますので、ロケにもお金がかかっていそうです。

03

ところが完成後、ジャン・ポール・ゲティを演じたケビン・スペイシーの問題が発覚して公開が危ぶまれることになります。急遽ジャン役をクリストファー・プラマー(Christopher Plummer)に代えて部分的に撮り直し、最終版の完成が公開1ヶ月前を切るという綱渡りになるのですが、その追加撮影でも、アビゲイルを演じたミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)と、交渉人フレッチャーを演じたマーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)のギャラの格差が問題になりました。

02

内容的には、母親アビゲイルの覚悟や意志の強さを前面に打ち出した映画なのに、ケビン・スペイシーといい、マーク・ウォールバーグといい、女性蔑視を印象づける話題ばかり提供してしまったのは大きな失点だったのではないでしょうか。

11

とはいえ、事件当時に80歳だったジャン・ポール・ゲティを演じるのは、58歳のケビン・スペイシーよりも、88歳のクリストファー・プラマーの方が向いているような気もしますし(同じ題材を扱ったTVドラマでは82歳のドナルド・サザーランドが演じています)、映画を観た印象としても適役だったと思います。

08

ジョンの誘拐後、ジャン・ポール・ゲティは交渉人として元CIAのフレッチャーをイタリアに遣わせます。アビゲイルをサポートする役目なのですが、終映後に振り返ってみると、ジャンとアビゲイルの間を行き来するだけの単なるメッセンジャーで、たいした仕事はしていません。イタリア警察(というかカラビニエ)も役立たずですし、おまけに元夫のユージンがクズときてますので、そのおかげもあってアビゲイルを演じたミシェル・ウィリアムズの存在感が際だちます。

15

ついでに書くと、1973年12月15日に救出されたジョンは、翌年の1974年に17歳で結婚したのですが、既に相手が妊娠5ヶ月という脳天気さ。その後、アルコール依存と薬物中毒に陥り、1981年には車いすの生活になっています。唐様で書く三代目といいますが、遊びの質が低すぎて唐様すら身につかなかったわけです。せっかく命拾いしたのに愚かですね。1993年に離婚し、2011年に英国で亡くなるまで母親アビゲイルが介護していたとのこと。莫大な資産がありますので、ちょっとイメージが違うかも知れませんが、いま日本で話題の「80-50問題」を思わせます。

17

つまり父も子も薬物中毒のダメ男なのですが、ジョンの弟マーク・ゲッティは、ゲッティイメージズ(Getty Images)の創業者ということで、一族の男性全員がクズというわけではないようです。買収されたりしていますので経営の才覚はともかくとして、祖父の先見性は受け継いでいたのではないでしょうか。

10

ということで、映画の外の話で終始してしまいましたが、けっこう面白い作品ですので、インフライトムービーなど暇つぶしに最適です。その他の出演者としては、犯人役でロマン・デュリス(Romain Duris)がいい味を出している他、ジャン・ポール・ゲティの弁護士役でティモシー・ハットン(Timothy Hutton)が出ています。

公式サイト
ゲティ家の身代金All the Money in the World

[仕入れ担当]

« 映画「ビューティフル・デイ(You Were Never Really Here)」 | トップページ | 夏に映える色とりどりのジュエリー♪レッドをアクセントにしたリング&ネックレス »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/510287/66826024

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「ゲティ家の身代金(All the Money in the World)」:

« 映画「ビューティフル・デイ(You Were Never Really Here)」 | トップページ | 夏に映える色とりどりのジュエリー♪レッドをアクセントにしたリング&ネックレス »

フォト