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2018年10月22日 (月)

映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち(Bad Genius)」

00 先週の「クレイジー・リッチ!」に続いて今回も東南アジアを舞台にした映画です。各国で問題になった受験の不正をテーマに、クルンテープ・タウィーパンヤー校というバンコクの中高一貫校で繰り広げられる集団カンニングをスリリングに描いていきます。

タイの映画というと、カンヌ映画祭の常連であるアピチャッポン・ウィーラセタクン監督のような独特な世界観をイメージしてしまいますが、本作のナタウット・プーンピリヤ(Nattawut Poonpiriya)監督はTVコマーシャルやミュージックビデオの世界で働いてきたせいか、とても親しみやすい作品を作る人です。眠くなるようなことはありません。

この「バッド・ジーニアス」も、カンニングを1つの共同プロジェクトのように捉え、その成功に向けて学生たちが力を合わせていく様子をサスペンス仕立てで見せる作品。観ている側は次第に彼らに感情移入し、その不法行為を応援したい気分になってしまいます。

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また、表面的にはシンプルなエンターテイメントですが、背景には東南アジア各国にはびこる貧富差や加熱する受験競争といった社会問題と淡く切ないロマンスがあり、それらが互いに補完しながらエンディングまで話を展開させていくという、非常に巧みな作りになっているところも見所でしょう。

物語の主人公は父親と二人暮らしの少女リン。彼女が転校してくるシーンで幕開けです。

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リンの父親は教師で、どうやら最近離婚したようです。リンは父親が勤務する学校に通っていたようですが、その優秀な頭脳を伸ばそうということか、父親の意向で別の学校に転入します。校長との面接で、父親が勤める学校なら授業料の減免がある云々という話が出るあたり、リンとしては自分の成績のことより家計を心配しているようです。つまり、それほど裕福な家庭ではないということ。

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転入先の学校でグレースという少女と親しくなります。女優を夢見るグレースは学校の演劇に参加したいのですが、その資格を得るには成績による足きりをクリアしなくてはいけないということで、成績優秀なリンに勉強を教えて欲しいと頼みます。しかし、試験の最中、教わったはずの問題が出ているのに解き方を忘れてしまったというグレース。リンは仕方なく消しゴムに正解を書いて渡します。

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その話を聞いたグレースのボーイフレンド、パット。裕福な家庭の息子である彼は、成績を上げるためならお金を払う生徒がたくさんいる、カンニングを助けて収入を得ないかとリンに持ちかけます。心の呵責に悩まされながらも、自分の学費を苦労して捻出している父親を見て、バレにくいテクニックを編み出して生徒たちを助けます。

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このあたりが、起業家のサクセスストーリーのような小気味良い展開で、悪事を働いているという事実を忘れさせてしまうのが、この監督のうまさでしょう。

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その後、リンのライバルである成績優秀な少年、洗濯屋を営む母親と二人暮らしというバンクが絡んできて、狙いが米国の大学入学資格試験へと広がっていきます。

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舞台をシドニーの試験会場に移し、アジアの貧しい少年少女が権威的な白人を出し抜く構図になるところも、観客の共感を得やすい設定だと思います。

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主役のリンを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジン(Chutimon Chuengcharoensukying)はモデルとして活躍している少女だそう。個性的な顔立ちと八頭身のスタイルの良さがとても印象的です。今後、他の映画でも見かけることになりそうです。

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ライバルのバンクを演じたチャーノン・サンティナトーンクン(Chanon Santinatornkul)も意志の強そうな表情が似合う美少年。パットを演じたティーラドン・スパパンピンヨー(Teeradon Supapunpinyo)の愛嬌あるキャラクターと対称的で良い組み合わせだと思います。

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そしてグレースを演じたイッサヤー・ホースワン(Eisaya Hosuwan)はTVドラマで活躍している女優さんだそうで、アジアン・アイドルらしい少女。これまたチャーノン・サンティナトーンクンとのコントラストが良い感じです。

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台湾はじめアジア各国でヒットしたというこの映画。宗教や文化などタイ独特の要素を強く打ち出さず、普遍的に作られているところもウケた理由でしょう。宣伝はちょっとB級映画っぽい印象ですが、思いのほか完成度の高い娯楽映画だと思います。機内映画などで見かけたら是非ご覧になってみてください。

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公式サイト
バッド・ジーニアス 危険な天才たち

[仕入れ担当]

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