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2018年11月19日 (月)

映画「ガンジスに還る(Hotel Salvation)」

00 インドのバラナシを舞台に、死期を悟った父親とそれに付き添う息子の姿をユーモラスに描いていく映画です。東京では岩波ホールの単館上映ですので、アクセスやチケット購入など面倒な部分もありますが、一見の価値がある作品だと思います。空いている夕方以降の鑑賞がお勧めです。

原題に使われているsalvationはおそらく”魂の救済”の意味。ひとことで言えば“解脱”のことです。その訳語としてはemancipationやdeliveranceよりわかりやすいし、nirvanaもちょっと違う気がしますので、結果的にこういうタイトルに落ち着いたのだと思いますが、いずれにしても解脱の観念が物語の下地になっています。

老いた父ダヤと働き盛りの息子ラジーヴ、その妻ラタと娘スニタが暮らす一家で、ふいに老父ダヤがバラナシに行くと言い出します。その理由は、不思議な夢を何度もみるのは死のお告げだと思ったから。聖なるガンジス川のほとりには、死を待つ人たちが寄り添って暮らす“解脱の家”があり、そこで最期を迎えると言うのです。

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ラジーヴは仕事で忙殺される日々ですが、一人息子としては死に向かう父親を放っておけません。訝しがる上司に休暇の届けを出し、牝牛の寄進を済ませたダヤと乗り合いタクシーでバラナシに向かいます。

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その“解脱の家”では何人もの高齢の男女が最期のときを待っています。到着したとき、行者風の宿の主から“滞在期間は15日まで”と言われるのですが、ダヤが最初に親しくなったヴィムラという老婦人はここで18年も死を待っていると言います。インドらしい訳のわからなさですね。

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川沿いのガートでは無数の人々が沐浴し、あちこちにサドゥーが佇んでいます。オレンジ色の布に包まれた遺体が担架に括り付けられ、薪を積み上げた火葬場に運ばれていきます。そんな環境にいても、携帯電話を手放さないラジーヴ。そのうちダヤも嫌気をさし、家に帰ろうと言い出すだろうと、たかをくくっているのです。

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しかしダヤの決意は固く、また“解脱の家”の人々とも親しくなっていきます。帰りたくて仕方ないラジーヴはこの場所にも人々にも馴染めません。

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ある日、ダヤが高熱にうなされ、医者を呼ぼうとするラジーブを押し止めてガンジスの水を飲み続けるのですが、朝を迎えるとすっかり回復しています。覚悟を決め、妻と娘を呼び寄せたラジーヴも形無しです。

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こうして一緒に過ごすうちに、最初はギクシャクしていた父子の関係が少しずつ変化していくわけですが、そんな感情の機微を丁寧にすくい取ったシュバシシュ・ブティアニ(Shubhashish Bhutiani)監督。弱冠27歳で本作を撮ったという彼の温かな視線と、柔らかな光で撮った映像が心地よい映画です。

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また、ダヤはラタにとって同居する舅であり、そのあたりの夫婦間の微妙な意識差や、娘スニタの婚約で新旧の価値感が衝突する場面など、単に死にゆく老人にフォーカスするだけで終えない時代感覚も魅力です。それは老人であるダヤの心境にも反映されていて、輪廻転生の話が妙にファミリー志向だったりするあたりも、笑わせながらじわっと染みてくる部分です。

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わたしがバラナシに行ったのは約20年前になりますが、リキシャと野良牛でごった返す路地といい、怪しげなサドゥーといい、まったく変わらない風景でした。インドに行ったことがある方でしたらいろいろと思い出してリアルに楽しめるでしょうし、そうでない方にもあの摩訶不思議な感覚はしっかり伝わってくると思います。

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それにしても肉を食べることも酒を飲むことも禁忌なのに、バングラッシー(大麻入りラッシー)はOKというのはどうなんでしょうか。これまたインドらしい訳のわからなさですね。

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公式サイト
ガンジスに還る

[仕入れ担当]

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