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2019年1月 7日 (月)

映画「シークレット・ヴォイス(Quién te cantará)」

00 新年初の映画紹介は“未体験ゾーンの映画たち2019”で観てきたこのスペイン映画。2016年春に日本公開された長編デビュー作「マジカル・ガール」で注目を集めたカルロス・ベルムト(Carlos Vermut)監督の最新作です。

往年の国民的歌手リラ・カッセンが表舞台から退いて10年。今も根強い人気があり、復活が望まれているスターです。スペインのアンダルシア地方、カディス湾の北側に位置するロタ(Rota)の豪邸で暮らしていますが、マネージャーで母親代わりのブランカは、印税収入が減っていて、このままの生活レベルを維持していくことは困難だと再起を促しています。

映画の幕開けはそんなリラがビーチの波打ち際に倒れ、ブランカが必死に蘇生処置をしているシーン。病院で意識を取り戻したリラですが、記憶喪失に陥ってしまったようで、いろいろなことが思い出せません。それでも、雑誌のページを折って作った舟に関心を持ったリラに、紙を開かせ、記事の写真を見せると、それがシャキーラだと認識します。続いてiPadに表示させた写真を見せ、それをリラだと認識したところでiPadがスリープして、リラ自身の顔が映ります。自分がリラであることを思い出した瞬間です。

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実はリラ、復帰コンサートのツアーが計画されていて、その皮切りとなるマドリード公演を間近に控えているのです。リラが入水した理由もそれと関係ありそうですが、何より重要なのはツアー開幕までに元通りのリラに戻ること。豪邸に戻ったリラはゴールドディスクが飾られた部屋でやみくもに練習します。とはいえ、仮に記憶が戻ったとしても10年に及ぶブランクを埋めるのは容易いことではありません。

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町はずれのカラオケバーで働くヴィオレッタは23歳の娘を持つシングルマザー。リラの大ファンで、彼女の歌なら振り付けまで完璧にこなせます。カラオケバーの動画サイトに投稿されていた映像を見つけたリラは、彼女に興味を持ちます。

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記憶喪失になったことが漏れてしまいますので、業界関係者の協力を仰ぐことはできませんが、ヴィオレッタのような部外者からアドバイスを受けるのなら、表沙汰になりにくいだろうという考えです。

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ブランカが意図を隠してヴィオレッタに近づき、守秘義務契約を結んでリラの練習への協力を依頼します。もちろんヴィオレッタは断りません。しばらくカラオケバーの仕事を休んでリラの豪邸に通うことになりますが、娘のマルタにもこの隠密行動のことは内緒ですので、カラオケバーに行くフリをして目くらまししています。

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23歳になっても働かずブラブラしているマルタ。どうやら若くして彼女を産んだヴィオレッタが引け目を感じ、必要以上に溺愛してしまったようです。その結果、マルタはヴィオレッタから小遣いをせびり、思い通りにならないと暴れて部屋を壊したり、自傷をちらつかせて要求を通す娘に育ってしまいました。そんな彼女がヴィオレッタの秘密の仕事を知ってしまったことで物語が大きく動いていきます。

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映画に出てくる主な登場人物は、リラとブランカ、ヴィオレッタとマルタの4人の女性ですが、10年前に亡くなったリラの母親もとても重要な人物です。つまり、リラと母親/ブランカ、ヴィオレッタと娘という2組の母娘の物語が軸となります。そういう意味で、スペイン映画らしい作品とも言えるでしょう。

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映画の終盤、娘が生まれて歌を諦めたとヴィオレッタが言います。それに対してリラが、私は母親のために歌い始めたと告白します。映画の原題を直訳すると“あなたに歌うのは誰か”という意味ですが、その答えを導くカギとなる会話です。最終的な解釈を観客に委ねるタイプの作品とはいえ、この会話のおかげで迷うことはありません。

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リラを演じたナイワ・ニムリ(Najwa Nimri)は歌手としての活動もしている女優さんで、古い作品ですが「アナとオットー」でアナを演じていた人です。最近は「雨さえも」や「ルート・アイリッシュ」にも出ていたようです。

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ヴィオレッタを演じたのは「マジカル・ガール」にも出ていたエバ・リョラッチ(Eva Llorach)。ブランカを演じたカルメ・エリアス(Carme Elías)は「カミーノ」のお母さん役で2008年ゴヤ賞の主演女優賞を受賞したベテランです。

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そしてマルタを演じたナタリア・デ・モリーナ(Natalia de Molina)は1990年生まれの若さで既に2度のゴヤ賞を受けているマラガ出身の女優さん。本作では微妙な役どころでしたが、今後の活躍に要注目ということで、次作はイサベル・コイシェ監督の「Elisa y Marcela」で主役を務めるようです。2017年の「マイ・ブックショップ」がようやく今年3月に日本公開されるなど、このところ日本での扱いが地味なコイシェ監督ですのでこの次作が日本公開されるかどうか微妙なところですが、期待したいと思います。

[仕入れ担当]

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