スペイン

2017年10月16日 (月)

ラテンビート映画祭「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(Neruda)」

00_2 2015年の「ザ・クラブ」でベルリン国際映画祭の審査員グランプリを受賞し、今年は初の英語作品「ジャッキー」で話題をさらったパブロ・ラライン(Pablo Larraín)監督の作品です。2012年の「NO」に出演したガエル・ガルシア・ベルナル(Gael García Bernal)が再び主役的な人物を演じています。

主役的な、というのは、本作はタイトル通り、チリの左派政治家であり、詩人としてノーベル文学賞を受賞したパブロ・ネルーダ(Pablo Neruda)の逃亡を描いたものですが、作品の本質は彼を追う警官ペルショノーの心情の変化にあるから。そのペルショノーを演じるのがガエルであり、全編を通じたナレーションもガエルによるペルショノーの内なる声です。

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ですから序盤でネルーダを批判するナレーション、たとえば“共産主義者は労働を嫌う”などと語られると少し混乱するかも知れませんが、それはガエルの声で、後ほど明らかになっていくガエルの役どころに結び付けられれば腑に落ちます。

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ペルショノーは官憲としてネルーダを追うわけですから、立場としてはビデラ政権側です。また警察幹部だった父親(と信じる男性)の銅像が署内にあることから、おそらく父親も反共に近い立場だったと思われます。しかし、スペイン語にも hijo de puta という son of a bitch そのままの言葉がありますが、彼自身の出自を鑑みると、父親に憧れて警察に奉職したとはいえ、そこには複雑な感情があって当然でしょう。

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共産主義者のスターであるネルーダですが、実際は貴族趣味で、酒と女を欠かさない享楽的な男です。そんな彼に批判的だったペルショノーが、だんだんと心惹かれていってしまう姿を通じて、ネルーダの人となりと魅力を描いていく映画とも言えます。

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また、映画の作り手であるラライン監督も複雑です。

映画の中盤、政治犯収容施設の責任者としてピノチェトが登場しますが、ラライン監督の両親は共にピノチェト派の政治家。つまり、この映画で描かれている時代に続いて樹立される左派政権をクーデターで倒した軍事政権の家庭で育ったわけで、共産主義の嘘くささを熟知すると同時に、右派政権による文化破壊も知っています。映画監督としては芸術や著述を擁護する立場でもあります。そのような背景をもつ監督が、アンビバレンツな感情に揺れる警官ペルショノーの視点から物語を紡いでいくのは自然なことなのかも知れません。

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序盤でネルーダが逃亡を余儀なくされるまでの経緯が説明されますが、基本的にネルーダがどういう人物か知っている観客に向けて作られている映画です。その上、この監督の過去の作品をご覧になった方ならおわかりのように、さりげなくシニカルなユーモアを織り込んできます。たとえば映画の冒頭で描かれるトイレの会議のように、真面目なのか冗談なのか図りかねる場面が多々あり、全編を通じて一筋縄ではいかない作品です。

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物語そのものは非常にシンプルで、逃げるネルーダと追うペルショノーを淡々と描いていくだけです。ただ1つ仕掛けがあって、ネルーダが立ち去った場所に小説が残されており、それを置いていくネルーダと、見つけて読みふけるペルショノーの間に奇妙な結びつきが生じます。そのうち、ネルーダを追っているのか、小説の続きを追っているのか曖昧になり、最後はたった1人でネルーダに迫うことになります。

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エンディングは史実通り、逃げ切ったネルーダがパリに到着し、ピカソに受け入れられるシーン。この後、イタリアに逃げて映画「イル・ポスティーノ」で描かれた暮らしを始めることになります。

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ちなみに作中で何度も読み上げられる、Puedo escribir los versos más tristes esta noche で始まる詩は、ネルーダが19歳で発表した詩集「20の愛の詩と一つの絶望の歌(Veinte poemas de amor y una canción desesperada)」の20番目の詩です。全編はチリ大学のサイト(こちら)などで読むことができます。

公式サイト
ネルーダ 大いなる愛の逃亡者Nerudafacebook

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2017年8月 7日 (月)

映画「静かなる復讐(Tarde para la ira)」

00 スペイン映画界の最高賞、ゴヤ賞で今年の最優秀作品賞、助演男優賞、脚本賞、新人監督賞を獲った作品です。その新人監督というのがラウール・アレバロ(Raúl Arévalo)。「雨さえも」で劇中劇の役者、「アイム・ソー・エキサイテッド!」で客室乗務員、「マーシュランド」で若手刑事を演じていたスペインの人気俳優です。

原題は“復讐には遅い”という意味で、父親と婚約者が犯罪に巻き込まれた男が、その8年後、刑を終えて出所した運転主役から仲間の居所を聞き出して復讐する物語。英題“The Fury of a Patient Man(忍耐強い男の憤怒)”で言うように、既に逃げ果せたと思っていた犯罪者たちに積年の怒りをぶつけていきます。

映画の幕開けは2007年8月のマドリード。路肩に駐められた車の後部座席から運転者を撮っているのですが、手持ちカメラのせいで画面が揺れ、気分が悪くなりそうです。と、思っていると、黒い覆面をした男たちが走ってきて、その1人が助手席に乗り込みます。急発進する車。しかし既に警察車両が先回りしていて逃げられそうにありません。覆面の男が車を降りた後も逃げようと爆走する運転者ですが、何かにぶつけて横転し、警察に捕まってしまいます。

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続いてバルの軒先でカードゲームに興じる主人公ホセたち。店で働いているアナはオーナーのフアンホの義理の妹で、シングルマザーのように見えますが、服役中の夫クーロが近く出所する予定だとわかります。彼女とホセは親しいようで、夜中にネットでチャットをする間柄です。

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ちなみに、このCarrascoという店名のバルは、実際にマドリード南西部のウセラ地区にあった店だそうです(→google map)。街の中心から離れていますので観光客が訪れるような場所ではありませんし、現在はヘアサロンに変わってしまったようですが、このうらぶれた風情の店が登場人物たちの鬱屈した状況をうまく伝えています。

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そのうち、冒頭で映し出された場面は宝石店強盗事件で、逃走用の運転手役だったクーロのみが逮捕されて8年の刑期を務めたことがわかってきます。そしてホセは強盗事件の被害者の家族であり、アナがクーロの妻だと知ってこのバルに通っていることもわかってきます。つまり、事件で婚約者を失ったホセが、その復讐を目論み、捕まらなかった実行犯を捜すためにアナに近づいたわけです。

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出所したクーロはアナの家に戻ってきますが、2人はしっくりいきません。クーロと口論になったアナは、幼い息子を連れて、しばらくホセの田舎の家で過ごすことにします。もちろんクーロは妻子を捜しますが、ホセは2人を誘拐したとクーロを脅迫して仲間の居場所を吐かせます。そしてクーロに案内させて犯人たちの元に赴き、復讐していくというお話です。

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スペイン映画でスリラーというと、複雑な仕掛けやホラー的な要素を散りばめた作品も多いのですが、本作はいたってシンプルです。最初の部分で、時間軸が飛んだり登場人物の関係性がわかりにくかったりする以外、とても明瞭なストーリーですので、脚本賞受賞作だと知って観ると逆に戸惑ってしまうも知れません。おそらく、プロットの進め方ではなく、会話の妙に対する受賞なのでしょう。

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主人公のホセを演じたのは、「気狂いピエロの決闘」で準主役のセルヒオ、「マーシュランド」で被害者の父親を演じていたアントニオ・デ・ラ・トレ(Antonio de la Torre)。そして彼に巻き込まれるクーロをルイス・カジェホ(Luis Callejo)、その妻アナをルス・ディアス(Ruth Díaz)が演じており、ルイス・カジェホは本作での受賞で今後の出演作が目白押しのようです。

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適度な緊張感が心地良く、音楽も良いので、スペイン映画好きの方ならきっとお気に召すと思います。ただ、本作はカリコレ2017の特別上映ですので、これ以降の上映は8/8(火)15:30、8/9(水)10:00、8/14(月)12:30の3回しかありません。割と混みますのでネット予約で座席を確保してからお出かけください。

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公式サイト
静かなる復讐

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2017年7月10日 (月)

映画「しあわせな人生の選択(Truman)」

00 スペインで最も権威ある映画賞、ゴヤ賞で2016年度の主要5部門に輝いた作品です。作品賞、監督賞、脚本賞を制覇するパターンは多いのですが、それに主演男優賞と助演男優賞が加わるのは珍しいと思います。

この説明でおわかりのように、主役フリアンを演じたリカルド・ダリン(Ricardo Darín)、その旧友トマスを演じたハビエル・カマラ(Javier Cámara)の演技が見どころのバディムービーです。

リカルド・ダリンは2010年アカデミー賞で外国映画賞を獲得した「瞳の奥の秘密」主演の他、「ホワイト・エレファント」「人生スイッチ」で味のある演技を見せているアルゼンチンを代表する俳優。ハビエル・カマラは「トーク・トゥ・ハー」の看護師役で有名なスペイン俳優で、最近ではオカマのCAを演じた「アイム・ソー・エキサイテッド!」で2013年ラテンビート映画祭に来日し、舞台挨拶に立っていました。

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物語は、癌で余命宣告を受けたフリアンの元にカナダで暮らすトマスが訪れ、一緒に4日間を過ごすというもの。なぜトマスがわざわざマドリードに飛んだかというと、フリアンの従姉妹のパウラを通じて、彼が延命治療を拒否したことを知ったから。ちなみにパウラを演じたアルゼンチン女優、ドロレス・フォンシ(Dolores Fonzi)は、ガエル・ガルシア・ベルナルの元妻です。

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映画の幕開けはトマスがまだ寝ている娘と息子、そして妻に声をかけて家から出て行くシーン。スペイン映画だと思って観ていると、こんなに雪が積もっているというと舞台はピレネーあたりかと勘違いしそうになりますが、後々、トマスがカナダの大学で教えていることがわかります。

場所は示されませんが(ロケ地はマニトバ州ウィニペグ)、家庭内で英語を喋っていることから、フランス語圏ではなく、妻もスペイン人ではないという設定だと思います。つまり彼がスペインを出てから築いた家庭だということ。これは後の1シーンで微妙に絡んできます。

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マドリードに飛んだトマスは、何の前触れもなく、フリアンの家に訪れます。ほんの少し驚きながら気さくに受け入れるフリアンの表情で、彼らの関係が一瞬にして伝わってくる場面です。舞台俳優のフリアンと大学教員のトマスという二人ですから、仕事関係の繋がりではなく、幼なじみか学友として長く付き合ってきたのでしょう。

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フリアンはトルーマンと名付けた老犬を飼っています。原題でわかるように、実は重要なテーマでもあるのですが、そのブルマスティフ種の犬を自分の代わりに飼ってくれる養親を募集中。フリアンと再会したトマスは、彼に付き添って獣医と彼の主治医を訪ね、そこで観客はフリアンの病状や彼の置かれている状況を詳しく知ることになります。

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その後トマスは、フリアンの職場である劇場関係者や、犬の引き取り手の候補者たちと会い、またフリアンの従姉妹のパウラや元妻のグロリアとも会います。

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そして彼の息子である大学生のニコを訪ねてアムステルダムに飛ぶのですが、おそらくここが最も盛り上がる場面でしょう。逆に言えば、この場面以外は日常の情景を積み上げ、旧友同士の心の交流を丹念に描いていくだけです。そういう意味で、キャスティングの時点で完成度が決まってしまうタイプの作品だと思います。

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率直に言って、ゴヤ賞5部門はやや過大評価ではないかと思いますが、あまり期待し過ぎずに観れば、二人の演技がじわっと染みてきて、なかなか良い映画だと思います。

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監督を務めたセスク・ゲイ(Cesc Gay)は、1998年にコメディ映画「Hotel Room」でデビューした1967年バルセロナ生まれの男性。脚本を書いて自ら監督するスタイルでコンスタントに作品を生み出しており、本作が8作目だそうです(うち1作はアルベルト・プラの同名アルバム用ビデオのようですが・・・)。

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なお、この監督の2006年の作品「Ficció」(フィクションという意味)にはハビエル・カマラが出演しており、2012年の「Una pistola en cada mano」(両手に銃という意味)にはリカルド・ダリンとハビエル・カマラの他、レストランで出会う旧い仲間ルイスを演じたエドゥアルド・フェルナンデス(Eduard Fernández)も出ています。エドゥアルド・フェルナンデスは「スモーク アンド ミラーズ」主演の他、「BIUTIFUL ビューティフル」「私が、生きる肌」「エル・ニーニョ」などに出ているベテラン俳優です。

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しあわせな人生の選択Truman

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2017年5月15日 (月)

映画「ノー・エスケープ 自由への国境(Desierto)」

00 ガエル・ガルシア・ベルナル(Gael García Bernal)主演のスペイン語映画です。

監督はこれが長編2作目というホナス・キュアロン(Jonás Cuarón)。「天国の口、終わりの楽園。」の監督アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuarón)の息子で、その弟である「ルドandクルシ」の監督カルロス・キュアロン(Carlos Cuarón)の甥です。父親が監督した「ゼロ・グラビティ」には脚本で参加しています。

メキシコ映画の重鎮である父親と叔父がプロデュースし、彼らとも関係が深いガエル・ガルシア・ベルナルが主演していることからも、多分に七光り的な背景を持つ作品だとわかります。

物語もシンプルで、メキシコから米国へ密入国を図った一団が、1人の男から銃撃されて逃げ惑うというもの。ある意味で「ゼロ・グラビティ」と似た着想とも言える、極限状況で繰り広げられるサバイバル映画です。違うのは宇宙空間ではなく砂漠だということで、原題もシンプルに“砂漠”というスペイン語の一語になっています。

映画の始まりは、荷台に15人の男女を積んだトラックが砂漠を走ってくるシーン。ふいに停車し、エンジンが故障していることがわかります。そこから歩いていくしかないのですが、密入国業者の若い方の1人が、砂漠は危険だからと躊躇するのを押し切って、皆で鉄条網を潜ります。

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2人組の密入国業者のうち、中年の方を演じているのはマルコ・ペレス(Marco Pérez)というメキシコ人俳優で、その昔「アモーレス・ペロス」に出ていたそうです。若い方はディエゴ・カターニョ(Diego Cataño)といって、この監督の長編第1作目「Año uña」でも主役を務めた盟友とのこと。ちなみに「Año uña」の主演女優エイリン・ハーパー(Eireann Harper)はホナス・キュアロン監督と結婚して一児の母となっており、本作ではアソシエイト・プロデューサーとしてクレジットされています。

15人が果てしなく広がる砂漠地帯を越えていくことになるのですが、遅れた1人を待ってあげた4人、つまり5人だけが置いて行かれる状況になります。遅れた1人を励ましていると、ふいに銃声が響き、砂漠の真ん中を歩いていた先行グループの1人が倒れます。そして次から次へと銃撃され、全員が射殺されてしまいます。

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1人の男が丘の上から狙撃しているとわかった5人は、直接狙われないように岩場に逃げ込みます。ここで恐いのは、誰が何のために銃撃しているかわからないこと。少なくとも、不法移民を捕らえようとしている警察や軍ではなさそうです。ということは、手を挙げて出て行っても、問答無用で撃たれる可能性が高いわけで、岩影に隠れながら逃げ延びるしかありません。

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しかし、敵は男だけではありませんでした。男はトラッカーと名付けられたジャーマン・シェパードを飼っていて、これが忠実に獲物を追うだけでなく、獲物を捕らえたり、とどめを差すこともできる犬なのです。

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早速1人が犠牲になり、岩場でもう1人が撃たれ、ガエル・ガルシア・ベルナルが演じるモイセス、ディエゴ・カターニョが演じるメチャス、そしてアロンドラ・ヒダルゴ(Alondra Hidalgo)が演じる紅一点アデラの3人が追われることになります。

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追う側の男、サムを演じたのは、TVドラマの「グレイズ・アナトミー」や「ウォーキング・デッド」で知られる他、映画「ウッドストックがやってくる!」にも出ていたジェフリー・ディーン・モーガン(Jeffrey Dean Morgan)。悪態をつく以外、ほとんど語らない難しい役を違和感なく演じています。

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観客の興味は、唯一のスターであるガエル・ガルシア・ベルナルが生き延びるか否かの一点に集約されますから、話を拡げにくい映画なのですが、淡々と追い続けるジェフリー・ディーン・モーガンの姿に不思議な説得力があるおかげで、単調にならず、緊張感を保ったまま1時間半弱を引っ張っていきます。

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恐怖の追いかけっこを繰り広げながら、うっすらと登場人物の背景を滲ませていく作品です。宣伝では、米国大統領に絡めて政治的なにおいを醸していますが、ほとんど政治色を感じさせません。何も考えず、シンプルなスリラーとして楽しんだ方が良さそうです。

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ノー・エスケープ 自由への国境

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2017年4月 3日 (月)

映画「クローズド・バル(El bar)」

00 久しぶりのスペイン映画です。鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシア(Álex de la Iglesia)監督の最新作。このブログでも、2011年に上映された名作「気狂いピエロの決闘」を皮切りに、「刺さった男」「スガラムルディの魔女」、昨年の「グラン・ノーチェ!」までラテンビート映画祭で上映された作品をいくつかご紹介していますが、本作も独特の世界観あふれる1本です。シネマート新宿で開催されている「シネ・エスパニョーラ2017」で観てきました。

ストーリーは実に単純で、見ず知らずの8人の男女がマドリードのバルに閉じ込められてしまうというもの。といっても誰かに監禁されるわけではなく、店から出て行った客がどこからか狙撃され、その人を救出しようと出て行った客も撃たれてしまって、残された客は事情がわからなくて外に出られない状態におかれてしまうお話です。

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ちなみに舞台となったこのバル、スペインのABC紙によると、マドリードの中心にある El Palentino という店で、検索してみたら本作のポスターが飾られている店内の様子(google map)が写っていました。場所はカジャオ(Callao)からグランビアの北側の路地に入っていったあたり。飲食店がたくさんあるエリアですね。

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閉じ込められた客たちは、互いに疑心暗鬼になりながら、時間の経過とともにそれぞれの私生活が暴かれていきます。このあたりがいかにもイグレシア監督といった感じで、下世話な中に適度な社会性をもたせた絶妙な設定になっています。

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ふと気付くと、路上に倒れていた2人は跡形もなく消えています。そして客たちは、事件が起こる前にトイレに入ったまま出てこない客がいることに気付き、便器の傍らで倒れている男を見つけます。

その男のスマホの履歴から、アフリカで致死率の高い感染症に罹ったらしいとわかり、政府が秘密裏に自分たちを隔離したのではないかという結論に至ります。つまり、感染を拡大させないために、感染者に接触した人間すべてを抹殺する作戦です。

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道理で、TVで報道されないはずです。街の中心部で火災が発生しているので避難するようにというアナウンスがあったのみで、銃撃があったことも、感染者が出たことも、ニュースはまったく触れません。

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バルに残された客たちは一種の運命共同体ですから、力を合わせて危機を乗り越えるべきですが、そうはならず、各人のエゴがむき出しになって互いにぶつかり合っていきます。こういう巻き込まれ型のサスペンスを使って、人間の本質を暴いていく作風はイグレシア監督の十八番ですね。

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バルに残されたのは女性店主と2人の女性客、そしてバルの従業員男性と4人の男性客。女性客の1人がアルモドバル監督「私が、生きる肌」「アイム・ソー・エキサイテッド!」で知られるブランカ・スアレス(Blanca Suárez)。イグレシア監督とは「グラン・ノーチェ!」に続く2作目となります。

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もう1人の女性客が「抱擁のかけら」「ペーパーバード」のカルメン・マチ(Carmen Machi)。「アイム・ソー・エキサイテッド!」「グラン・ノーチェ!」でもブランカ・スアレスと共演していました。そして女性店主は「気狂いピエロの決闘」「スガラムルディの魔女」「グラン・ノーチェ!」などイグレシア作品の常連女優テレレ・パベス(Terele Pávez)。

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バルの従業員は「スガラムルディの魔女」に出ていたセクン・デ・ラ・ロサ(Secun de la Rosa)。中年の男性客2人はアレハンドロ・アワダ(Alejandro Awada)と「気狂いピエロの決闘」「刺さった男」のホアキン・クリメント(Joaquín Climent)。ホームレスのイスラエルが「スガラムルディの魔女」「グラン・ノーチェ!」のハイメ・オルドネス(Jaime Ordóñez)。

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そしてもう一人、若いひげ面の男性客ナチョを演じているのがマリオ・カサス(Mario Casas)。イグレシア作品は「スガラムルディの魔女」「グラン・ノーチェ!」に続く3作目ですが、「シネ・エスパニョーラ2017」の上映作品5本のうち、本作の他に「ザ・レイジ」「インビジブル・ゲスト」でも主演を務めている人気俳優です。

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最終的にお得意のドタバタになだれ込んでいくのですが、美人女優のブランカ・スアレスとベテラン女優のカルメン・マチに、そこまでやらせるのか、という無茶苦茶な展開になります。残りの上映回数も限られていますのでご覧になるのは難しいかも知れませんが、イグレシア監督のファンなら観ておきたい1本だと思います。

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シネ・エスパニョーラ2017

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2017年2月 5日 (日)

ブボバルセロナのモノリッツ スペインの伝統菓子トゥロンをアレンジしたチョコレート

今年も行ってきました♪西武池袋本店チョコレートパラダイス2017(会場マップ:PDF)。「世界をめぐる、スイートな旅」をテーマに各国のチョコレートをとり揃えています♪♪

今回のお目当ては、ブボバルセロナ(bubó BARCELONA)。以前、バルセロナのブボ・バルで美味しいタパスをいただいた思い出(詳しくはこちら)がありますが、スイーツを買うのは初めて♡

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下の写真のカラフルなチョコレート「モノリッツ」は、スペインの伝統菓子トゥロンをアレンジしたものだそう。ポップロックスと名付けられたプラリネは、パチパチとはじけるアメがコーティングされていて、口の中ではじける仕掛けに!ホワイトチョコでコーティングされたバレンシアオレンジとパッションのガナッシュは、絶妙な酸味と甘みで、とろけるような美味しさです!!

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ほかに、トマトのゼリーやレモンとバジルを組み合わせたボンボンショコラや、大粒のナッツが入ったチョコフルーツシリーズがあり♡ ちょうど昨日、表参道にオープンしたばかりの日本1号店はしばらく混雑していそうですが、ここチョコレートパラダイス2017では、ゆっくりと商品を選べますよ♥︎

会場は、ただいまモナドがイベント出店中の2階アクセサリー売場(ロフト側の南ゾーン)からエスカレーターで上ってすぐです。ぜひお立ち寄りください。

〜臨時休業のお知らせ〜
1月30日(月)から2月16日(木)まで根津の店舗をお休みいたします。通販や商品に関するお問い合わせはメール(shop@monad.jp)でご連絡ください。ご不便をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

[店長]

2016年11月 7日 (月)

映画「ジュリエッタ(Julieta)」

00 主人公の名前“Julieta”は“フリエタ”と発音します。彼女が、若い女性から声をかけられ物語が動き始めるのですが、この印象的なシーンの起点になるのが“フリエタ!”という呼びかけ。

このあたりがスペイン語の映画の厄介なところですね。原作となったアリス・マンロー(Alice Munro)の短編集“Runaway”の主人公の名前がジュリエット(Juliet)ですので、その絡みでこういう邦題になったのだと思いますが、なんとも中途半端な感じです。

とはいえ、久しぶりに原点回帰して母娘ものに取り組んだペドロ・アルモドバル監督(Pedro Almodóvar)、本領発揮といえるでしょう。前作「アイム・ソー・エキサイテッド!」や、直近のプロデュース作品「人生スイッチ」が今ひとつ響かなかったアルモドバル・ファンの方も、女性の心の機微を精緻に描いていくストーリーと、独特の色彩感覚にあふれた映像を心ゆくまで堪能できると思います。

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たとえばオープニング。揺れる赤い布のドレープを背景に、黄色をアクセントにした白文字のタイトルが現れ、カメラが引いていくとその赤い布がフリエタの服の一部だったことがわかります。続いてプリミティブな彫像のクローズアップ。センシュアルでスタイリッシュなアルモドバルの世界観が一気に拡がります。同時に、過去を捨てようと決心したフリエタの揺れる心が伝わってくる素晴らしい幕開けです。

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12年前に何も告げず行方をくらました愛娘アンティカ。彼女に対する思いに囚われ、苦悩を抱えてきたフリエタが新たな生活に踏み出そうとしていたその矢先、街角で偶然に出会ったベアから、コモ湖畔でアンティカと会ったと告げられます。ベアはその昔、アンティアの親友だった女性。アンティアは行くのを嫌がっていたキャンプでベアと親しくなり、青春のひとときを謳歌している最中に父親を失います。それが彼女の失踪に影響を及ぼしていることは想像に難くありません。

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ベアによると、アンティアには子どもが3人いて、母フリエタは今もマドリードに住んでいると語ったそう。それを聞いたフリエタは、彼女が戻ってきたときに、自分を探せなくなるのではないかという不安に駆られ、ポルトガルでの新生活をとりやめ、娘が失踪したときに暮らしていたアパートに部屋を借りて暮らし始めます。

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そのアパートでフリエタは、アンティアの父親ジョアンとの出会いから彼の死に至るいきさつ、ジョアンの女友だちアバとの関係や家政婦マリアンとの確執、アンティアが生まれてからギクシャクした自分の父母のことなどを分厚いノートに書き綴っていきます。映画の観客は、ノートの記されていくフリエタの半生を映像で追体験するわけです。

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過去と現在を行き来する関係で、現在のフリエタをエマ・スアレス(Emma Suárez)、過去を「情熱のシーラ」のアドリアーナ・ウガルテ(Adriana Ugarte)が演じ分けています。エマ・スアレスについては、カンヌ映画祭のフォトコールに、ベアトリス・パラシオス(BEATRIZ PALACIOS)のジュエリーを身につけて登場したというニュースをこのブログでご報告しましたね。

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ジョアンを演じたのは「スパニッシュ・アパートメント」に出ていたダニエル・グラオ(Daniel Grao)、アバを演じたのは「ブランカニエベス」に出ていたインマ・クエスタ(Inma Cuesta)。

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そして、これが地味なようで重要な役なのですが、家政婦マリアンを演じたのがロッシ・デ・パルマ(Rossy de Palma)。個性的な顔立ちなのですぐにわかると思いますが「神経衰弱ぎりぎりの女たち」「アタメ」など初期アルモドバル作品で活躍した女優さんです。

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その他、有名どころでは「トーク・トゥ・ハー」の準主役で「人生スイッチ」で音楽評論家を演じていたダリオ・グランディネッティ(Darío Grandinetti)がフリエタの現在のボーイフレンド役、「私が、生きる肌」に出ていたスシ・サンチェス(Susi Sánchez)がフリエタの母親役で出ています。

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あまり知名度はありませんが、「エル・ニーニョ」で主人公の仲間の姉アミナを演じていたマリアム・バシール(Mariam Bachir)が、フリエタの父母の同居人サナアの役で出ています。本作では引退した両親の隠居先であるアンダルシアの空気感が非常に魅力的に描かれているのですが、アラブ系の彼女を配し、隠居先を決めた理由が彼女に関係していることを匂わせているのでしょう。

それ以外にも、ジョアンやアバの地元である漁村(ガリシア州ア・コルーニャ県)や、アンティアを探しに行くピレネー山脈(アラゴン州ウエスカ県)の映像がとても美しく、今すぐ旅立ちたくなります。

またエンディングで流れるテーマ曲“Si no te vas”(もしあなたが去らなかったら、という意味)も良い感じ。もちろん、登場人物たち(下の写真はフリエタの母親)が着る衣装も洒落た小物もアルモドバルのセンスが炸裂していて、見応え十分です。

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公式サイト
ジュリエッタJulieta)(英語サイト

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2016年10月31日 (月)

ラテンビート映画祭「600マイルズ(600 Millas)」

00_2 2015年のベルリン映画祭で上映され、監督のガブリエル・リプステイン(Gabriel Ripstein)が初監督作品賞に輝いたメキシコ映画です。

主演はティム・ロス(Tim Roth)。4ヶ月ほど前にご紹介した「或る終焉」でも主役を務めていましたが、この時期、メキシコ映画に縁があったようです。物語はティム・ロス演じるATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)捜査員のハリスが、捜査対象である容疑者に捉えられ、アリゾナからメキシコまで連れ去られるというもの。ロードムービー的な作品です。

ハリスを誘拐するのは、密輸組織の新入りルビオ。国境に向かう途中、入国審査官の質問に滑らかに答えられるように、ずっと独り言でシミュレーションしているような気の小さな青年です。本当はこういう仕事に向かないタイプなのかも知れませんが、他に仕事がないので犯罪組織にかかわってしまうという点で、メキシコの今を象徴しているキャラクターといえるでしょう。

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そのメキシコ青年を演じるのは「闇の列車、光の旅」に出ていたクリスティアン・フェレール(Kristyan Ferrer)。ちょっと垢抜けない風貌が犯罪組織の下っ端役にぴったりです。巻き込まれて振り回されるティム・ロスよりも、物語を引っ張っていくクリスティアン・フェレールの方が主役なのかも知れません。

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ルビオの仕事は、米国内で買いあさった銃器をメキシコに密輸する運転手。彼の仲間が銃器店や展示会(Gun Show)で購入した銃器を、シートの下などに隠して国境を越えます。米国からメキシコへの国境越えは厳しくないようで、独り言シミュレーションのおかげもあって仕事はスムースに運んでいます。

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その仲間がATFに目を付けられ、ハリスがルビオの車を調べようとします。しかし、仲間がハリスを返り討ちにして、ルビオの車でメキシコの幹部のもとに運ぶことになります。なぜ捜査官を生きたまま運ぶことになったのか、よくわかりませんが、おそらく米国内で処理するのは危険だと思ったのでしょう。

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そこから、ルビオとハリスの600マイルの旅が始まります。ルビオは犯罪組織の末端にいるとはいえ、本質は純朴な青年ですので、会話を交わしているうちに段々と情が移ってきます。その心情の変化、関係性の変化を描きながら、メキシコが抱える闇を浮かび上がらせていく作品です。

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不条理だったり不可解だったりするタイプの映画ではありませんが、最後はちょっとオープンエンドな終わり方になっています。ネタばれにならない程度に書くと、2人が別れる場所を米国内とみるか、メキシコ国内とみるかで、2人の変化の帰着点が変わり、ハリスの人間性、ひいては米国とメキシコの関係性に対する印象が大きく変わってきます。

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そのあたりを含めて、メキシコがおかれている状況の難しさ、米国の銃社会が抱える病理などがバランス良く描かれているところがベルリン映画祭で評価された点だと思います。鋭さは感じませんが、じわっとくるものはあるのではないでしょうか。

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ラテンビート映画祭のFacebook

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2016年10月24日 (月)

ラテンビート映画祭「彼方から(Desde allá)」

00 ベネズエラの映画です。監督のロレンソ・ビガス(Lorenzo Vigas)は1967年生まれで、ベネズエラのメリダ出身。初の長編作品である本作で昨年、ヴェネツィア映画祭の金獅子賞を獲得しています。

原作は「アモーレス・ペロス」「21グラム」「バベル」の脚本家であり、「あの日、欲望の大地で」の監督であるメキシコ出身のギジェルモ・アリアガ(Guillermo Arriaga)。ロレンソ・ビガス監督のデビュー作「Los elefantes nunca olvidan」のプロデューサーでもあります。

そして主演は「トニー・マネロ」「NO」「ザ・クラブ」といったパブロ・ラライン作品の常連俳優アルフレド・カストロ(Alfredo Castro)と、新人のルイス・シルバ(Luis Silva)で、ほぼこの2人で展開していく作品です。

アルフレド・カストロ演じるアルマンドは、ベネズエラの首都カラカスで暮らす中年男性。歯科技工所を営んでいて暮らしぶりは裕福です。結婚はしてないようで、ときおりバス停などで若い男性に声をかけては、自宅に連れ込んでいます。彼の風変わりなところは、連れ込んだ男性に触れることなく、カネを渡して部屋の片隅から眺めること。映画祭で使われた英題“From Afar”は原題の直訳ですが、題名そのもの“遠くから”見ることが目的なのです。

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あるとき、街角にたむろしていた不良青年エルデルを誘い込みます。しかし、アルマンドの思い通りにはならず、結局、彼に殴られてカネを奪われてしまいます。それでも、というより、それだからかも知れませんが、急速にエルデルに惹かれていくアルマンド。彼の姿を求めて街を歩きまわり、見つけた彼にカネを遣って改めて関係を作ろうとします。

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最初はオカマ(maricón)と罵っていたエルデルも、次第に気を許すようになり、不思議な関係が築かれていきます。

2人に共通するのは、父親に対する屈折した感情。アルマンドは立派なビジネスマンである父親と疎遠な状態にありながらある種の憧憬も抱いていて、エルデルは暴力をふるった父親に憎しみと共感がないまぜになった複雑な気持ちを抱いています。

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大きく異なるのは経済状況。気前よくカネを遣うアルマンドは、この街では富裕な部類なのでしょう。対するエルデルは、狭い公営住宅で育ち、街の自動車工場で働きながら、ショボい犯罪を繰り返しています。それもあって性格面でも、穏やかなアルマンドと激情しやすいエルデルという対極にあります。

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この2人が接点を持つことでそれぞれが変わっていき、思いも寄らない方向に展開して、ある意味で衝撃的、ある意味で当然ともいえる結末を迎えます。そして、再度、映画の題が意味するところを考えることになります。

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ベネズエラといえば、長く続いたチャベス政権が終焉を迎え、政情不安と高いインフレ率、治安の悪さといったマイナス部分ばかり報道されていますが、本作では2人の貧富差を除いて、ベネズエラの社会問題には触れていません。2人の個の部分にフォーカスし、心の動きを丹念に追っていく、普遍性の高い人間ドラマです。

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ルイス・シルバが醸し出す雰囲気も大切な要素になっていますが、彼の演技も各地の映画祭で注目を集めたようです。これから大化けするかも知れません。

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[仕入れ担当]

ラテンビート映画祭「VIVA」

00 実はアイルランド映画なのですが、キューバを舞台にキューバ人俳優たちが演じています。ハバナで暮らす美容師の若者が、ドラァグクイーンになろうとして父親と衝突する物語。監督はダブリン出身のパディ・ブレスナック(Paddy Breathnach)です。

この監督の作品は初めてでしたが、映像が美しさが印象的でした。そして音楽。ナイトクラブが重要な舞台となる関係でいくつもの挿入歌が使われているのですが、これが映画の雰囲気にあっていて、とても心地良いものばかりです。ダブリン出身というと「はじまりのうた」や「シング・ストリート」のジョン・カーニー監督を思い出しますが、アイルランド人は音楽的センスに恵まれているのでしょうか。

主人公のヘススは、クラブに出演するドラァグクイーンたちの髪をスタイリングをしたり、カツラの手入れをして暮らしている18歳の青年。あまり実入りが良い仕事でもなさそうですが、近所の老女の髪を安く切ってあげたり、その孫娘に部屋を貸してあげたり、貧しいながらも周りに優しくする余裕はあるようです。

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実はヘスス、歌が好きで、ドラァグクイーンとしてクラブのステージにあがることを夢見ています。彼らを束ねている“ママ”(もちろん男性)に頼み込み、試しに歌わせてもらいますが、まったくダメ。もう一回やってダメだったら諦めるという約束で、必死に練習します。

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次の週のステージではその成果が現れ、お客さんの反応も上々。調子に乗ったヘススは、さらに盛り上げようと、客席にいた中年男性を誘惑するような仕草を見せた途端、その男性に殴られます。その男性は15年のあいだ刑務所に入っていた実の父親アンヘルだったのです。

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伝説的なボクサーだったアンヘル。ヘススは幼少時に会ったきりですから、顔などわかるはずはありません。人を殺したという噂もあるマッチョな性格で、息子がドラァグクイーンとしてステージに上がることなど許すはずがありません。

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ヘススの住処(アンヘルが育った住処でもあります)で一緒に暮らすことになるのですが、刑務所から出たばかりのアンヘルに収入はなく、ヘススの僅かな稼ぎが頼みの綱。ヘススとしては、ドラァグクイーンとしての成功に賭けてみたいものの、アンヘルが同居している限り不可能です。

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普通なら父子が衝突しそうなものですが、ドラァグクイーンを目指すような青年ですから、喧嘩はしません。そんなヘススを見かねたママが手を差し伸べても、それを断り、もっとひどい仕事をして生計を維持している始末です。

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アンヘルはアンヘルで、過去の栄光にすがり、ボクシングジムでトレーナーの職を得ようとしますが、15年もリングから離れていたのですから、受け入れられるはずかありません。ただでさえ乱暴なのに、やけ酒をあおって、自暴自棄になったります。

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そんな父子の暮らしを描いていくお話ですが、乱暴な父親もそれなりに息子を思っていて、嫌な気持ちになるような結末ではありません。ちなみに息子の名前ヘススを英語読みにすればジーザス(キリストのことです)、父親の名前アンヘルはエンジェルですから、それで結末をイメージできてしまう人もいるかも知れませんが・・・。

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ヘススを演じたのは「キング・オブ・ハバナ」で娼婦役だったエクトル・メディナ(Héctor Medina)。アンヘルを演じたのはベテランのホルヘ・ペルゴリア(Jorge Perugorría)。名作「苺とチョコレート」でゲイの芸術家ディエゴを演じて有名になった人で、その彼がマッチョな中年男性を演じるところにも面白さがあるのでしょう。

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そしてママを演じたのは、オムニバス映画「セブン・デイズ・イン・ハバナ」でジョシュ・ハッチャーソン主演の短編「El Yuma」に出ていたルイス・アルベルト・ガルシア(Luis Alberto García)。その監督であるベニチオ・デル・トロ(Benicio Del Toro)が、この「VIVA」のエグゼクティブプロデューサーを務めています。

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