カルチャー

2012年2月10日 (金)

写真展『PARIS SERA TOUJOURS PARIS!』- エリオット アーウィットが見つめたパリ -

Ellioterwitt1 現在、銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催中のエリオット・アーウィット(Elliot Erwitt)の写真展に行ってきました。

お馴染みの犬の写真をはじめ、パリの日常を切り取ったモノクローム写真がたっぷり展示されています。BGMにバル・ミュゼットを流し、古き良きパリを演出しているあたり、さすがネクサス・ホールですね。洒落てます。

また、階段そばのモニタで流されている映像は必見です。10分弱の短い映像ですが、作品の紹介から、アトリエの案内まで内容は盛りだくさん。

エリオット・アーウィットが「最近の風潮の中でPhotoShopだけはいただけない」と言ってるそばから、彼の別の顔、写真家のアンドレ・S・ソリダー(André S. Solidor)が登場し、「PhotoShopは最高さ」と対照的なコメントをしていたりと、とってもお茶目です。

また、彼の写真に対する考え方を訊かれ、自らの写真は「管理されたドキュメンタリーだ」と回答しているのが印象的でした。

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約5年前にも同ホールで「PERSONAL BEST PERSONAL CHOICE」展を開催したアーウィットさん。今年4月にはイタリアをテーマにした写真展が三越日本橋で開催されるようです。

御年83歳。今回の展覧会に先駆けて来日されたようですが、ますますお元気ですね。

『PARIS SERA TOUJOURS PARIS !』
エリオット アーウィットが見つめたパリ
http://www.chanel-ginza.com/nexushall/2012/erwitt/index.html

シャネル・ネクサス・ホール(銀座)
2月29日(水) まで・無休
12:00〜20:00

[仕入れ担当]

2012年2月 8日 (水)

映画「J・エドガー(J. Edgar)」

Edgar0 FBIの初代長官として権勢を誇ったジョン・エドガー・フーヴァー(John Edgar Hoover)の半生を、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督が描いた伝記映画です。主演のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)を始め、実力派の俳優陣で固めた作品にもかかわらず、今年のアカデミー賞にまったくノミネートされなかったことでも話題になりました。

脚本は、映画「ミルク」でアカデミー脚本賞を獲得しているダスティン・ランス・ブラック(Dustin Lance Black)。この「J・エドガー」では、フーヴァー長官が密かにゲイであったという前提で描かれているのですが、ブラック本人は「ミルク」の主人公であるハーヴェイ・ミルク(Harvey Milk)同様、オープンリー・ゲイ(openly gay)です。

この映画の見どころは、何といってもディカプリオの演技でしょう。一歩間違えると上手さが鼻につくというか、観ている側が白けてしまうディカプリオの演技ですが、この「J・エドガー」では、20代から晩年(下の写真)に至る特殊メークにも違和感なく、思う存分、実力を発揮しているように思いました。

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そしてフーヴァー長官の秘書、ヘレン・ガンディを演じたナオミ・ワッツ(Naomi Watts)と、長官の母親役のジュディ・デンチ(Judi Dench)。もともと演技力のある2人ですが、この映画でも素晴らしい演技をみせています。

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ナオミ・ワッツは図書館でプロポーズされるシーン、フーヴァー長官の死後、秘密ファイルを黙々と処分するシーンが記憶に残りますし、ジュディ・デンチは息子のフーヴァー長官にダンスを教えるシーンが印象的でした。

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さらに、フーヴァー長官のアシスタント的ポジションで、公私にわたって一生つきあいがあったクライド・トルソンを演じたアーミー・ハーマー(Armie Hammer)。

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映画「ソーシャル・ネットワーク」では、ザッカーバーグを訴える Tyler Winklevoss の、エスタブリッシュメントらしい演技がはまり役でしたが、今回はホモセクシャルを内に秘めた役どころで、ディカプリオに劣らない熱演をみせています。

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たとえば、紹介を受けたトルソンが、初めてフーバー長官の執務室を訪ねるシーン。表面的にはマッチョに振る舞いながら、気の小さなマザコン男であったフーヴァー長官は、トルソンの来訪に緊張して手のひらに汗をかき、それを拭ったハンカチを窓際に置きます。訪ねてきたトルソンがそのハンカチを見つけて、それを長官に手渡すのですが、そのたたずまいだけでホモセクシャルな関係を暗示する名演だったと思います。

イーストウッド監督の演出なのか、ブラックの脚本なのか、他にもフーヴァー長官が手のひらに汗をかくシーンがあるのですが、生真面目なディカプリオの演技のせいで、あまり生々しさを感じさせない描写になっています。唯一、アーミー・ハーマーとのシーンがあるおかげで、手のひらに汗をかくことの意味が明確になる感じです。

いずれにしても真面目な映画です。情景の組み立ても、出演したすべての人の演技も、非常に完成度が高いと思います。映画関係者の方にとっては良い研究材料になるのではないでしょうか。

ただ、個人的には、イーストウッド監督の作品すべてがそうなのですが、その優等生っぽさゆえに、今ひとつ琴線に触れない映画でした。きっと真面目な映画ファン向けの作品を作る監督なのだと思います。

公式サイト
J・エドガーJ. Edgar

[仕入れ担当]

2012年2月 6日 (月)

映画「アニマル・キングダム(Animal Kingdom)」

Animal0 ほとんど無名の監督が撮ったオーストラリア映画ながら、クエンティン・タランティーノ監督が、2011年のベスト3に挙げたという作品。

彼が審査委員長を務めた2004年度カンヌ国際映画祭の審査員特別グランプリ「オールドボーイ」、同じく審査委員長を務めた2010年ヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞「The Last Circus」を観たときもそう感じましたが、タランティーノ監督、この類いの映画に対する眼力だけは確かだと思いました。

17歳の高校生ジョシュアは、唯一の家族である母親が亡くなり、ずっと疎遠にしていた祖母の家で暮らすことになります。しかし祖母の家に暮らす伯父達は、兄弟揃って犯罪者ばかり。

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中でも長男のアンドリューは、銀行強盗の容疑で警察に追われている筋金入りの悪人で、ポープ(=法皇)と呼ばれて怖れられています。

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ジョシュアはガールフレンドができ、普通の高校生として生活していますが、ポープの犯罪仲間である通称バズが警察に射殺され、ポープは報復に使う車の盗難をジョシュアに命じます。

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報復は成功しますが、もちろんこの一家に嫌疑がかかり、ガイ・ピアース(Guy Pearce)演じる捜査員のネイサンは、ジョシュアに目を付けます。つまり、ジョシュアの自供を得ることで、一家の結束が崩そうという考え。

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ポープは、ジョシュアが口を割ることを怖れ、またジョシュアのガールフレンドのニッキーから情報が漏れることを怖れます。ジョシュアの祖母である通称スマーフも、自分の息子たちである兄弟を救うため、裏から手を回して、さまざまな画策をします。そんなファミリーと警察の間で、はたしてジョシュアはどう生き抜いていくのか、というのは映画を観てのお楽しみ。

細かいプロットの積み上げが実に巧みで、最後まで集中して観ることができました。映像にも緊迫感があり、エアサプライのAll Out Of Loveなど音楽も印象的で、タランティーノが絶賛するだけのことはあると思います。

また、私は初めてみた女優さんでしたが、ジョシュアの祖母役のジャッキー・ウィーヴァー(Jacki Weaver)の演技もリアリティがあって良かったと思います。このファミリーの精神的支柱という役柄ですが、この映画の物語を展開させる軸としても、彼女の存在感は大きい気がします。

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1988年にメルボルンの Walsh Street で起きた警官射殺事件と、それに関与したと思われる実在のファミリーの話が元になっているそうです。オーストラリアというと、のどかなイメージがありますが、ジョシュアの母親がヘロインの過剰摂取で亡くなる幕開けから、警官との抗争や裏取引き、そして警官射殺から終盤に至る展開と、オーストラリアのダークな側面を見せてくれる映画です。

そしてポープの兄弟や犯罪仲間が話すオーストラリア訛りの英語。ほとんど聞き取れませんでしたが、このあたりもリアルに描かれているのだと思います。

公式サイト
アニマル・キングダムAnimal Kingdomfacebook

[仕入れ担当]

2012年2月 4日 (土)

没後150年 歌川國芳展

ずっと行きたいと思っていた展覧会です。会期中に展示作品が入れ替わることは知っていたのですが、年末年始にバタバタしているうちに前期展示を見逃してしまい、このままでは後期展示までも……と思い、やっと見に行ってきました。

人気の展覧会だと聞いていた通り、というか予想以上に混んでいてびっくり。非常に緻密に描かれており、絵の中に文章もあるので、じっくり近くで見たいものですが、そうするとたっぷり時間が必要です。展示数も多く、かなり見応えがありました。

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今年も世界的に人気のスカル模様、江戸の時代からだったんですね。しかも歌川國芳が描くスカルはすごいです。パンクで、アバンギャルド! 猫の戯画で構成されたスカル(下の左の絵)まであって、アイデアも豊富です。

着物の絵柄も洋風だったり、アラベスク(?)だったり、さまざまで、顔の表情、風刺の効いた表現など、見れば見るほど面白い絵ばかり。

1時間ちょっと時間があったのですが、最後の方(中盤に面白い作品が多いように思いました)は急ぎ足で、他人の頭越しに見る感じになってしまいました。

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遠目でよく見えなかった作品を確認しようと図録を買ってきたので、見逃した前期の作品も落ち着いて見てみたいと思います。

会期が少ししか残っていませんので、空いている日はあまりなさそうですが、いずれにしても、時間に余裕をもってご覧になるとよろしいかと思います。

没後150年 歌川國芳展(東京展)
六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリー
前期:2011年12月17日(土)~1月17日(火)
後期:2012年1月19日(木)~2月12日(日)
http://kuniyoshi.exhn.jp/

[仕入れ担当]

2012年2月 1日 (水)

映画「預言者(Un prophète)」

Aprophet0 第62回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し(パルムドールは「白いリボン」)、アカデミー賞の外国映画賞にフランス代表でノミネートされて(受賞は「瞳の奥の秘密」)注目を集めたにも係らず、日本ではなかなか公開されなかった作品です。

監督は「真夜中のピアニスト(De battre mon cœur s'est arrêté)」等で名高いジャック・オーディアール(Jacques Audiard)。しかし、コルシカ・マフィアの親分役のニエル・アレストリュプ(Niels Arestrup)を除くと、ほとんど無名に近い出演者ばかりで、また舞台が刑務所という地味な映画ですので、公開されただけでも僥倖と思うべきなのでしょう。

ちなみにニエル・アレストリュプ、ピアニストの父親役を演じた「真夜中の……」でも、後に射殺されてしまう悪人キャラでしたが、近作「サラの鍵」では、脱走したサラを匿う慈悲深い農夫役として、味のある演技を見せていました。

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ストーリーは、警官襲撃で懲役6年の刑を受けたアラブ系のマリックが、刑務所に送られてくるシーンで幕開け。11歳までしか学校に行っていないので、ほとんど文盲で、世間知らずの19歳の青年です。

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ある日、監獄を仕切っているコルシカ・マフィアから、同じ監房にいるアラブ系の囚人を殺すように命じられます。作業所で問題を起こして懲戒房に逃れようとするのですが、看守もマフィアと通じていて、絶対に逃れられないと悟り、結局、殺人を成功させます。

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仕事を成し遂げたマリックは、アラブ野郎よばわりされながらも、マフィアとの関係を強化します。アラブ系の受刑者たちから裏切り者として扱われますが、刑務所内で絶対的な権力を持ち、全体を仕切っているのは、コルシカ・マフィアの親分、セザールなのです。

マリックは刑務所内の施設でさまざまな勉強をすると同時に、マフィア同士の会話で使われるコルシカ語を耳で覚え、コルシカ・マフィアのやり方を少しずつ習得していきます。そして先に出所した仲間と共謀し、仮出所時に基盤を固めながら、じわじわと闇の世界におけるプレゼンスを高めていくというのがおおまかなストーリー。

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リアリティを追求したという、フランスの刑務所の描写は一見の価値ありです。コルシカ人やアラブ系の他、ジタン(ジプシー)も出てきますし、まず収監される時点で宗教を訊かれ、食の禁忌を確認され、それで監房を割り当てられるあたり、まさに人種のるつぼという感じです。異民族間に横たわる意識のズレのようなものを巧みに織り込みながら物語を進めていくあたり、ジャック・オーディアール監督のうまさだと思います。

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この映画を一言でまとめると、親もなく学問もないマリックが、収監をきっかけに成り上がっていく、一種の成長譚です。厳しい状況の中、ギリギリのところで生き抜くために必要な能力は、薄っぺらな正義や半端な教養とは無縁な知のパワー。そういうハードな世界観を含めて、映画の雰囲気というか、リズムというか、どことなく「シティ・オブ・ゴッド(Cidade de Deus)」に似た印象を受けました。

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また、結末の印象は大幅に違いますが、過酷な獄中を知恵の力で生き延びるという設定や、緻密に練られたプロットの積み上げという面で、2010年にスペインのゴヤ賞を総なめにした「プリズン211(Celda 211)」と相通じるものを感じました。こちらは、ちょうど今月、セルバンテス文化センターで上映会が催されるようですので(詳細はこちら)、同時代に撮られた2作のプリズン映画を見比べてみるのも一興かも知れません。

公式サイト
預言者A ProphetFacebook

[仕入れ担当]

2012年1月27日 (金)

映画「フラメンコ・フラメンコ」2月11日公開!

ご縁があって、映画「フラメンコ・フラメンコ」の宣伝担当の方から写真を送っていただきました。

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薔薇を思わせる鮮やかな赤をまとって舞うサラ・バラス!この写真1枚見ただけで、思わずため息が出てしまうほどの美しさです。

ラテンビート映画祭で「フラメンコ・フラメンコ」を観た[仕入れ担当]によると(紹介記事はこちら)、ステージを見たような錯覚に陥る、とっても臨場感のある映画とのこと。

昨年、来日したファルキート(来日公演の記事はこちら)の踊りや、何度か来日しているトマティート(記事はこちらこちら)のギターの他、去年の買い付け時、 Teatro Circo Price でのコンサートに行きそびれたミゲル・ポベーダの歌も味わえるそうです。

ちなみにミゲル・ポベーダ(Miguel Poveda)は、ペネロペ・クルス主演の映画「抱擁のかけら」のテーマ曲を歌っていた人で、そのPVがYoutubeのここで観られます。

日本にいながら、超一流のアーティストたちの舞台が堪能できるフラメンコ映画の決定版。いよいよ2月11日(土)からBunkamura ル・シネマほかで公開です。

公式サイト
http://www.flamenco-flamenco.com/

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★新春の催事★
期間:1月25日(水)〜1月31日(火)
場所:松屋銀座 1階アクセサリープロモーションスペース

そこで本日は、フラメンコの舞台や衣装にもぴったりなピアスを一つご紹介したいと思います。

<#703:joid'art ALISON ピアス>
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ジョイドアート(joid'art)の ALISON コレクションです。2月の誕生石でもあるアメシストと、ユニークなフォルムのスターリングシルバー(SV925)に、華やかに揺れるシルバーチェーンを組み合わせた、女性らしいデザインとなっています。

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モナドのお客さまには、フラメンコの踊り手の方も多くいらっしゃいますが、とにかく女子力が高い女性ばかり。踊りをされている方は立ち姿が綺麗で、憧れてしまいます。

こちらのピアスは、ただいま開催中の、松屋銀座1階アクセサリープロモーションスペース(中央口そば、フェンディの向かいあたり)での催事でもご覧いただけます。どうぞ、週末は銀座へ遊びにいらしてください。

〜臨時休業のお知らせ〜

催事出店のため、根津の店舗は1月24日(火)から1月31日(火)までの間、臨時休業いたします。2月1日(水)から通常通り営業いたしますのでよろしくお願いいたします。

★商品の写真に品番/品名を記しております。e-monad(オンライン販売サイト)でお取り扱いしていない商品も通販できますので、お気軽に番号でお問い合わせください。

[店長]

2012年1月23日 (月)

映画「風にそよぐ草(Les Herbes folles)」

Lesherbesfolles0 久しぶりのアラン・レネ(Alain Resnais)作品でした。個人的には「恋するシャンソン(On connaît la chanson)」以来ですから、10年振りくらいでしょうか。

ちょっと調べてみたら、アラン・レネ監督は1922年6月3日生まれだそうで、今年で90歳になるのですが、現在も Vous n'avez encore rien vu という次作を製作中とのこと。お元気というか何というか……。

この「風にそよぐ草」で2009年のカンヌ国際映画祭の審査員特別賞を受賞しているのですが、きっとイザベル・ユペールや他の審査委員の皆さんは、これで最後だと思ったのでしょうね。

私が「恋するシャンソン」の前に観たアラン・レネ作品は、おそらく20年くらい前の「メロ(Mélo)」。このメロドラマから題名をとったという洒落た映画で知ったサビーヌ・アゼマ(Sabine Azéma)が、この「風にそよぐ草」でも主演です。「メロ」ではフラッパーみたいなヘアスタイルが印象的でしたが、今回の赤毛のウェービーヘアも記憶に残りそうです。

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映画は、アスファルトの隙間から生えている雑草のアップからスタート。そのまま路面を滑るようにカメラが動いて、行き交う人々の足を映し、サビーヌ・アゼマ演じる歯科医、マルグリットが、マーク・ジェイコブスの靴を買うシーンに展開。この映像の流れといい、靴選びに関する語りといい、何ともフランス映画的な立ち上がりです。

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つまらないことですが、ずっと後のシーンでバスタブから伸びるマルグリットの足が映ると、これがかなりの外反母趾なんですね。ここで靴選びのエピソードが使われた理由(サビーヌ・アゼマはアラン・レネ監督のパートナーです)が見えてくるというか、こういった内輪ウケも含めて笑える映画になっています。

靴を買ったマルグリットは、路上でハンドバッグを引ったくられてしまいます。そこで情景が変わって、中年というか初老の男性、ジョルジュがショッピングセンターで腕時計の電池を交換し、その帰りに駐車場で財布を拾うシーン。財布の中に入っていた小型飛行機の免許を見て、マルグリットに関心を持ちます。

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財布はマチュー・アマリリック(Mathieu Amalric)演じる警官を経由してマルグリットの元に戻り、マルグリットからジョルジュにお礼の電話がありますが、会って話そうと持ちかけるジョルジュの提案を、マルグリットはにべもなく断ります。

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そこからジョルジュのストーカー的な行為が始まるのですが、もちろんそのままストーカー映画にはなりません。登場人物の立場が逆転し、人間関係が複雑になり、意識がズレていきながら虚実がないまぜになっていきます。このあたりの感覚は、キアロスタミ監督の「トスカーナの贋作(Copie conforme)」に似ているような気がしました。

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ちょっと意味不明な部分もあって観ている側を混乱させるのですが、どうやらクリスチャン・ガイイ(Christian Gailly)の原作も同様のようです。大人の恋、と一言で語れるほど単純ではない、フランス的な心象風景といった感じでしょうか。

撮影が「ポーラX(Pola X)」「キングス&クイーン(Rois et reine)」「夏時間の庭(L'Heure d'été)」等のエリック・ゴーティエ(Eric Gautier)ということで、全編とおして素晴らしい映像です。光の色とストーリーが連動するのですが、この光の捉え方が何ともいえない魅力。フランス映画らしい映画がお好きな方にはお勧めだと思います。

公式サイト
風にそよぐ草Les Herbes folles)(Wild Grass

[仕入れ担当]

2012年1月16日 (月)

映画「永遠の僕たち(Restless)」

Restless0 予告編を何度も目にして、すでに観たような気分になっていたのですが、ふと思い出し、TOHOシネマズの割引の日に観てきました。

不治の病で余命わずかな少女と、事故で両親を失い、自らも生死の境を彷徨った少年の恋愛物語。このベタな設定が、ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)監督の手にかかると、とても満足度の高い映画になってしまいます。

その理由の一つは、計算され尽され、すみずみまで意識がいきわたった、各シーンの美しさでしょう。

特にキスシーン。これほどキスシーンが素敵な映画は、ここ最近、記憶にありません。たくさんのキスが描かれますが、そのどれもが清々しくて切なくて、2人の痛みがジーンと伝わってくるような名シーンばかりです。

英語圏の媒体で添えられてた“Achingly tender and unflinching”という言葉のとおり、いたわりの心と、ひるまない心が触れ合う瞬間の痛みをリアルに感じることができました。

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また出演者も適役ばかり。要となる3人が漂わす中性的な雰囲気のおかげで、死をテーマにしながら、陰鬱にならず、爽やかな印象さえ与える仕上がりになっているのだと思います。

まず、余命わずかな少女を演じるミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)。「アリス・イン・ワンダーランド」、「キッズ・オールライト」と次第に存在感を増してきているように思いますが、透明感のある彼女、このアナベル役は間違いなくはまり役です。

そして故デニス・ホッパー(Dennis Hopper)を父に持つヘンリー・ホッパー(Henry Hopper)。実質的に本作がデビュー作ということですが、心の奥底に喪失感を抱え、自分の居場所を見つけられないイーノック少年の役にぴったりでした。

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ちなみに、ヘンリー・ホッパーはアーティストとしても活躍していて、このサイトに作品が掲載されています。

そして、イーノックだけが見える彼の友人、ヒロシ役の加瀬亮。神風特攻隊で殉死した日本人の幽霊という微妙な役どころですが、まったく違和感なく、主役2人を上手に支えていました。

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現世に思いを遺して死んだヒロシは幽霊になってさまよい、両親と共に死ぬはずだったイーノックは現世に居場所を失い、余命を宣告されたアナベルは迫りつつある自らの死に戸惑う。おそらく、この映画の原題、Restless は、死に対して中途半端な場所におかれ、rest を得られない3人を象徴しているのだと思います。

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映画の中で流れる曲も、Sufjan Stevens などの優しい印象の曲がふんだんに使われていて素敵です。

映画の冒頭、他人の葬式に勝手に参列しているイーノックが葬儀業者につまみ出されそうになり、それをアナベルが救うシーン。ハル・アシュビーの「ハロルドとモード」を思い起こさせるこの出会いのシーンの背景で流れるビートルズの  Two of Us が何ともいい感じです。

そしてアナベルとイーノックが、残された2人の時間を謳歌するシーンで使われる Pink MartiniSymphatique という曲。

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このフランス語の歌詞の曲と、お洒落な衣装、美しい情景の組み合わせが記憶にしっかりと残り、エンディングをとっても感動的なものにしています。この曲を Amazon YouTube で聴いていたら、また切ない気持ちが蘇ってきました。

公式サイト
永遠の僕たちRestless
facebook:

[仕入れ担当]

2012年1月12日 (木)

ジョイドアート、日本の展示会に初出展!

昨年、創業30周年を迎え、スペイン国内のみならず、ヨーロッパ各国への展開を加速するバルセロナの人気ブランド、ジョイドアート(joid'art)

そのジョイドアートが、現在、東京ビッグサイトで開催されている国際宝飾展に初出展しています。

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ということで、昨日、展示会場へ行ってきました。

Joidart_miriam 今回の出展では、スペインから社長さんと、輸出担当マネージャー:ミリアムの2人で来日。

こんなにかわいい感じのミリアムですが、なかなかのハスキーボイスで、おすすめ上手。私も彼女の押しの強さ(?)に負けて、思わず追加発注してしまうことも・・・。

さて、ジョイドアートとは関係ないお話なのですが、会場内をうろうろしていたら突然の人だかり。

何かと思えば、サッカー日本代表の本田圭佑選手がいるじゃありませんか!

ちょうどその日に開催された第23回日本ジュエリーベストドレッサー賞の表彰式に出席。男性部門の特別賞を受賞後、会場を回られている最中でした。

ミーハー心がむくむくとわいてきた私は、急いでiPhone を取り出して、撮影しようとしたのですが、あせっているうちに、シャッターチャンスを逃してしまい、なんとか後ろ姿をパチリ。

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やっと追いついて、横顔が見れたと思ったら、こんな手ブレの写真に・・・。

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それにしても本田選手、ものすごいオーラがありました。

サッカーと言えば、ジョイドアートの2人と食事中、先月のToyota Cup に来日したバルサの話題に。その中で、社長さんから「今朝、日本の新聞で見たんだけど、メッシの隣に写っていた日本人は誰?」(スペイン語を意訳)という質問。

えぇーっ、女子FIFAバロンドール(FIFA Ballon d'Or)を受賞した澤選手を知らないのぉ~と、ちょっと憤りながら、日本女子を代表して、日本女子サッカー代表チームの素晴らしさを力説しておきました!

サッカー王国スペインでは、女子サッカーは話題に上がらないのでしょうか。女子のW杯ドイツ大会(FIFA Women's World Cup 2011)の中継も見てないようですし・・・。

ということで、この食事の話はまた後日に。

[仕入れ担当]

2012年1月10日 (火)

映画「運命の子(Sacrifice)」

Sacrifice 先日、渋谷 Bunkamura 再オープン記念の一作「ミラノ、愛に生きる」をご紹介しましたが、もう一作が中国の時代劇「運命の子」です。

司馬遷「史記 趙世家」に基づいて京劇等で演じられてきた「赵氏孤儿(=趙氏の孤児)」の物語を、「さらば、わが愛 覇王別姫」の陳凱歌(Chen Kaige)監督が映画化したもの。

滅ぼされつつあった趙氏一族の妃から乳児を託された医者が、趙氏の遺児と取り違えられて自らの子どもを殺され、復讐を誓って趙氏の子どもを育て上げていくという恩讐の物語です。

まさに中国映画という感じの壮大な映像と、古典的なストーリー展開で、誰もが安心して楽しめる映画だと思います。

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英題が Sacrifice となっていますが、いろいろな登場人物が、いろいろな理由で、何かの「犠牲」になっていきます。産んだばかりの子どもを遺そうと自ら命を絶つ荘姫も、誤解されて殺される医者の子どもも、そして終盤の展開に至るまで、重要な部分には犠牲の物語が入ってきます。

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見どころは何と行っても、陳凱歌らしい完成度の高い映像でしょう。鮮明な映像だけでなく、凝りに凝った巨大なセットや、心情を反映した美しい衣装、そして出演者たちの緊張感のある演技。どれをとっても、さすが陳凱歌という感じの仕上がりです。

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特に、序盤で命を絶つ荘姫を演じた范冰冰(Fan Bingbing)の美しさは、その衣装の素晴らしさもあって、登場時間の短さにかかわらず、とても印象に残りました。

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また、成長過程の遺児を演じた子役、王翰(William Wang)の可愛らしさ。日本公開用のチラシやポスターで大きく扱われていて、日本人好みなのかも知れませんが、復讐を誓っていたはずの医者が、次第に子どもの命を心配するように変わっていく心情がよく理解できる可憐な少年です。

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つまらないことですが、医者が「外でうまいものを食べさせる」という約束で、少年に言うことをきかせるシーンがあります。その旨いものというのが麺。天井から下げられた麺を箸で手繰り、鍋で湯がいて食べます。

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先日観た「無言歌」でも、みんなが飢える中、監視役の偉い人は麺を食べていて、それを班長に薦めるシーンが出てきましたが、みんな麺が好きなんですね。

そんなことを考えながらBRUTUSの麺特集を見ていたら、急に麺が食べたくなってきました。

公式サイトほか
運命の子赵氏孤儿

[仕入れ担当]

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