映画「ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)」
一昨日の「人生万歳」に続き、またもやハーバード関連です。世界最年少の億万長者:マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が、Facebookを立ち上げ、成功への道筋をつけるまでを描いた話題の映画で、本年度アカデミー賞の最有力候補といわれています。
一人の若者のサクセスストーリー、それも僅か2〜3年を描いただけの映画と聞いて、あまり期待せずに観に行ったのですが、思った以上に楽しくて、じっくり見入ってしまいました。時間軸が一直線に流れるのではなく、起業に伴う人間ドラマと、損害賠償を請求された後の弁護士を交えた供述シーンが巧みに組み合わされているところがとても良かったと思います。
また私が、アカウントがあるだけで全然アクティブではないFacebookユーザーであることも幸いしたかも知れません。Facebookを使ったことがない人だと、Wallが機能のことだとわからないでしょうし、ザッカーバーグ氏やFacebookにまつわるエピソードを知りすぎている人だと何の発見もないかも知れません。
映画は概ね事実に即したストーリーだということですが、エンドロールに「事実に基づいて脚色した云々」と記されていましたし、Newsweekの記事でも事実関係がいろいろ指摘されていました。たとえば映画の核となる要素、ガールフレンドに振られた腹いせにサイトを立ち上げたこと、ファイナルクラブ(学内の社交クラブ)への入会を切望していたことについて否定的な見解が示されています。
特にガールフレンド、映画の中でエリカ(Erica Albright)として登場する女性のモデルになった Jessica Arona については、誰も本人に取材できていないし、彼女がザッカーバーグ氏のガールフレンドだったという確証すらないそう。なお、現在のガールフレンドはアジア系の女性のようでここに写真が載っています。
また、Newsweekの記事には、ザッカーバーグ氏を訴えた Tyler Winklevoss 本人のインタビューが載っているのですが、映画での描かれ方に満足しているかとの問いに、強い道徳観を持って行動しているので概ね満足していると答えているところが、映画のキャラクターそのもので面白いと思いました。
映画の内容に戻りますが、デビット・フィンチャー(David Fincher)監督の演出の他、映像の美しさ、キャストの「それっぽさ」も良かったと思います。特に主人公のザッカーバーグ氏を演じたジェシー・アイゼンバーグ(Jesse Eisenberg)のナードっぽさは非常にリアリティがありましたし、Eduardo Saverinを演じたアンドリュー・ガーフィールド(Andrew Garfield)も好演していたと思います。ちなみにこの人、この春公開の話題作「私を離さないで(Never Let Me Go)」でも重要な役を演じている旬の人です。
それから、Sean Parkerを演じたジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)。私は彼が演技しているところを初めて見ましたが、とっても軽いんだけど誠実そう、という雰囲気が、あの役どころにぴったりだったのではないかと思いました。
蛇足ながら、Sean ParkerはNapsterの共同創業者で、一時、Facebookのプレジデントを務めていましたが、映画にも描かれているトラブルで投資家のJim Breyerに追い出され、現在はFounders Fundのパートナに収まっている人です。この人もなかなか面白い人なので、ご興味をお持ちの方はVANITYFAIRの記事(英文)をご覧ください。
個人的には、サマーズ学長がWinklevoss兄弟をたしなめるこのセリフが心に残りました。
Everyone at Harvard is inventing something. Harvard undergraduates believe that inventing a job is better than finding a job so I’ll suggest again that the two of you come up with a new project.
エリートというのは、仕事を探すのではなく、仕事を創り上げる(createではなくinvent)ものなのですね。
いずれにしても旬の映画です。年明け早々、Facebook社がGoldman Sachsを通じて5億ドル調達したという記事が出ていましたし、2012年にはIPOするようですので、少しくらいFacebookのことを知っておいても良いかも、という感じでしょうか。
公式サイト
ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)
[仕入れ担当]
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