映画「アリス・クリードの失踪(The Disappearance of Alice Creed)」
地味な作品ですが、とても評判が良いので、サービスデーに観てきました。確かに、最後まで緊張感が途切れることのない、見応えのあるクライムムービーです。
監督はこれが初の長編映画というJ.ブレイクソン(J Blakeson)。低予算映画らしく、英国マン島で1ヶ月足らずで撮影したということですが、ほとんどがアパートの一室で撮られていて、その他は若干の廃工場と屋外のシーンがあるのみ。登場人物もたった3人だけです。
映画は、中年男(ヴィック)と若い男(ダニー)の2人組が、誘拐に使う資材をホームセンターで調達しているシーンから始まります。そして車を盗んで、アパートの壁に防音用のマットを貼ったり、目張りしたり、錠前を取り付けたり……。
開始から5分程度はまったく無言で、その後もほとんど会話がないままアリスを拉致し、アパートに連れ込んでベッドに拘束します。無駄な会話がないことで、自然と画面に集中し、臨場感が高まっていきます。
その後、アリスの写真を撮り、それを金持ちの父親に送り付けて身代金200万ポンドを要求するのですが、この映画のすごいところは、父親の声すら出てこないところ。警察も動いているはずですし、携帯電話を使うシーンもあるのですが、ヴィック、ダニー、アリスの3人以外、誰ひとりキャスティングされていません。思い出してみれば、ホームセンターで資材を購入したときも、他の客はおろか、支払いシーンもありませんでした。
主犯格のヴィックは、身代金交渉の連絡のために何度か外出します。その間にトラブルがあってダニーとアリスの接点が明らかになり、3人のパワーバランスが変化します。さらにヴィックとダニーの関係が明らかになり、観客は次第に誰を信じれば良いのかわからなくなってきます。
そのままエンドロールまで、誰が誰を裏切っているのかわからない展開が続き、観ている側は翻弄され続けます。アリスを演じたジェマ・アータートン(Gemma Arterton)以外は、知らない役者さんですが、この3人の熱演には心地よく騙されました。
終映後、あの後はどうなったんだろう?などと会話が弾みそうな映画です。私は「200万ポンド(約2億6000万円)で、一生、贅沢に暮らせるということは、あの2人が想定していた逃亡先はバンコクか」等と考えながら映画館を後にしました。
公式サイト
アリス・クリードの失踪(The Disappearance of Alice Creed)
[仕入れ担当]
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「アリス・クリードの失踪」★★★☆
ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、
エディ・マーサン 出演
J・ブレイクソン 監督
101分 、2011年6月11日,
2009,イギリス,ロングライド
(原作:原題:THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)
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