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2012年8月13日 (月)

映画「イル・ディーヴォ(Il divo)」

Divo0 現在、ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「三大映画祭週間2012」。今年で2回目だそうですが、カンヌ、ベルリン、ベネチアという世界最高峰の映画祭から選び抜かれた映画を期間限定で上映するという試みです。

去年、新宿のラテンビート映画祭で The Last Circus の英題で上映され、もう一度観てみたいと思っていた作品が「気狂いピエロの決闘」という邦題で公開されると知り、個人的に注目していたイベントです。

ちなみにこの「気狂いピエロの決闘」、2010年のヴェネチアで銀獅子賞を獲っているのですが、かなりクセの強い作品である上に、スペイン現代史に絡めたマニアックな要素もあり、日本では公開されないかも知れないと思っていた作品でした。(この映画についてはこのブログに詳しく書いています)

そして、これ以外に観たいと思っていたのが、この「イル・ディーヴォ」。2008年のカンヌで審査員賞を獲得した作品ですが、映画祭の審査員長を務めたショーン・ペン(Sean Penn)が、この映画を観てパオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino)監督に声をかけ、完成させたのが「きっと ここが帰る場所」ということで、どんな作品なのだろうと興味津々でした。

前置きが長くなりましたが、この「イル・ディーヴォ」は、イタリアの首相を長く務め、さまざまな影の繋がりから魔王と呼ばれたジュリオ・アンドレオッティ(Giulio Andreotti)の半生を描いた作品です。

原題の Il divo: La spettacolare vita di Giulio Andreotti を直訳すると「スーパースター:ジュリオ・アンドレオッティの素晴らしい人生」という感じでしょうか。タイトル同様、内容も随所にひねりが効いています。

Divo1

さすがにショーン・ペンが惚れ込んだだけあって、映像の作りかたといい、音楽の使いかたといい、とてもスタイリッシュ。政界の暗部や権力の腐敗をテーマにした映画というと、スキャンダラスな部分だけを描いた薄っぺらな作品になりがちですが、この映画は、アンドレオッティ首相やイタリア政界に興味がなくても楽しめるように作られています。

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とはいえ、やはりイタリア現代史がわからないと混乱する場面もあります。マフィアから枢機卿、財界人からジャーナリストまで、ロッジP2というフリーメイソンで繋がるアンドレオッティの人脈が核になっていますので、それが誰かわからないと、どういう史実を描いているのかもわかりません。

Divo3

たとえば、マフィアのボスであるサルヴァトーレ・リイナ(Totò Riina)。指名手配中の彼が、首相であるアンドレオッティと会っていたのですから、それだけで十分にスキャンダラスなのですが、そのあたりの事情は後で調べてみるまでわかりませんでした。下の写真はパレルモ市長サルヴァトーレ・リマ(Salvo Lima)を演じたジョルジョ・コランジェリ(Giorgio Colangeli)。イタリア人の名前が似ているのも混乱に拍車をかけます。

Divo4

そんな感じで、今ひとつ理解が浅いまま観てしまったのですが、映画を通じて知識を得るというのも、たまには良いものです。

この映画祭は3/24まで開催とのこと。次はフランソワ・オゾン(François Ozon)監督の「ムースの隠遁(Le refuge)」を観に行きたいと思っています。

三大映画祭週間2012
http://www.facebook.com/sandaifestival/

公式サイト
イル・ディーヴォIl divo

[仕入れ担当]

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