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2014年4月14日 (月)

映画「アデル、ブルーは熱い色(La vie d'Adèle - Chapitres 1 et 2)」

Adele0 去年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したフランス映画です。審査員の全員一致で決まったこと、カンヌ国際映画祭の歴史で初めて、アブデラティフ・ケシシュ(Abdellatif Kechiche)監督だけでなく、主演女優であるレア・セドゥ(Léa Seydoux)とアデル・エグザルコプロス(Adèle Exarchopoulos)にも賞を贈ったことで話題になりました。

一つの愛の始まりから終わりまでを描いていく、とてもシンプルな愛の物語です。ただし、愛の真実に迫ろうと際限なく深掘りしていくところがフランス映画らしいところ。内容的にはずいぶん違いますが、初めて「ベティブルー」を観たときに似た衝撃を受けました。

女性同士の愛であり、なおかつ激しい性描写がありますので、そういう面でも注目されているようですが、少なくとも女性同士であることを云々するのは、あまり意味がないように思います。

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性描写については、正直に言って、ちょっと長すぎるような気もしましたが(そのせいもあって3時間の長い映画になっています)、理性を超越した愛の姿を描いていくためには必要な映像なのかも知れません。

アデル・エグザルコプロス演じるアデルは17歳の高校生。オゾン監督「17歳」のイザベルと同じように、性的好奇心から同世代の男の子と付き合ってみますが、あまりピンときません。

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ある日、街ですれ違った青い髪の女性に一目惚れします。それが美学校に通う年上のエマ。レズビアンが集まるバーで再会したアデルとエマは次第に関係を深めていきます。

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とはいえ、アデルはリセに通う少女ですが、エマは美学校に通う大人です。また、アデルは庶民的な労働者階級の娘ですが、エマは一見して育ちの良さがわかるブルジョア階級。アデルの家庭ではボロネーゼとテーブルワインの夕食の席で堅実な職業の大切さが語られますが、エマの家庭ではどこかの店に頼んで取り寄せた生牡蠣を前にインテリジェンス溢れる会話が繰り広げられます。

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その後、幼稚園の先生になったアデルと、アーティストとして作品を創り続けているエマは一緒に暮らすようになりますが、時間と共に感覚のズレが表面化していき、やがて破局を迎えます。

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映画の原作であるコミック「Le bleu est une couleur chaude」の主人公の名はクレモンティーヌだそう。

それが映画ではそれがアデルに変えられたばかりか、映画の原題まで“アデルの人生”になっていることからもわかるように、これはまさにアデル・エグザルコプロスという女優のための映画です。

食べるシーンや眠るシーンのたびに、アデルの齧歯目のような口元が大写しになるのですが、それがアデルの生々しさを表現し、この映画の大切な要素になっています。

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そんな愛らしくコケティッシュなアデル・エグザルコプロスの素の魅力を、エマを演じたレア・セドゥの演技力が引き出している感じ。「ミッドナイト・イン・パリ」のときは出番が短かくてよくわかりませんでしたが、とても上手い女優さんです。

直情的なアデルに対し、理性的なエマは、ブルジョアらしいプライドの高さ、インテリらしい小ずるさや立ち回りのうまさのようなものが求められる役。それをちょっとした目の動きや微かな笑顔で巧みに表現しています。

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それから、使われている音楽。Sporto Kantèsが使われているかと思えば、スパニッシュ系の曲で踊っていたり、バラエティに富んでいてとてもフランスらしい選曲でした。今もアタマの中でLykke Liの“I Follow Rivers”のサビの部分、“I, I follow, I follow you”が鳴り響いています。ちなみにLykke Liはスウェーデンの女性シンガー、米国のリッキー・リー・ジョーンズとは関係ありません。

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映画ではそれほど重要ではないのですが、エマとアデルが美術館に行くシーンがあります。展示ホールの中央にプールがある非常に珍しい美術館で、ちょっと調べてみたら、La Piscine Museumというそのまんまの名称で、リール郊外にある美術館だそう。原作コミックの作者がフランス北部出身だからか、映画の主なシーンはリールで撮られたようです。

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リールは、TGV乗り入れに際してレム・コールハースの監修で再開発した街で、ジャン・ヌーベルが設計したコルビジェ風の集合住宅があったり、新しい駅前広場に草間弥生の彫刻があったりする反面、旧市街に行くと旧い街並みが残っていて、なかなか素敵な街です。

残念ながら、私はフランドル絵画が盛り沢山なリール宮殿美術館(Palais des Beaux Arts de Lille)しか見ていないのですが、またリールに行く機会があれば、頑張ってLa Piscine Museumまで遠出してみようと思いました。

公式サイト
アデル、ブルーは熱い色La vie d'Adèle - Chapitres 1 et 2

[仕入れ担当]

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