映画「ゴーン・ガール(Gone Girl)」
これも話題作ですね。ギリアン・フリン(Gillian Flynn)のベストセラー小説を、「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」のデヴィッド・フィンチャー(David Fincher)監督が手がけた作品です。
サスペンスの面白さの一つに予想外の展開というのがあると思いますが、この小説は、中盤のどんでん返しから始まる驚きの連続がミソ。ベストセラー小説ですからその仕掛けを知っている人が大勢いるわけで、それを映画にして観客を呼ぶのは大変そうです。
ところがストーリーを知っていても十分に堪能できるように仕上げてくるところが、さすがデヴィッド・フィンチャー。マーク・ザッカーバーグの仕方ない話をあれだけ面白い作品に作り上げた監督だけのことはあります。物語の中心となる夫婦に、「アルゴ」のベン・アフレック(Ben Affleck)と「17歳の肖像」のロザムンド・パイク(Rosamund Pike)をキャスティングしたあたりも絶妙だと思いました。
その夫婦というのはベン・アフレック演じるニックと、ロザムンド・パイク演じるエイミー。NYで雑誌のライターをしていたミズーリ出身のニックがパーティでエイミーと出会います。エイミーは雑誌で性格診断ページ作っているクイズライターですが、NY育ちでハーヴァード出身というチャーミングな女性です。
彼女が他の女性と違うところは、両親が小説家であること。彼らが娘をモデルにした小説「アメージング・エイミー(Amazing Amy)」シリーズで大成功を収めたおかげで、エイミーは裕福な生活ができたわけですが、小説のエイミーと混同したファンに追いかけ回されたり、小説のエイミーと比較されて傷ついたりしながら育ってきたという負の側面もあるわけです。
そんなエイミーとニックが結婚3年目を迎えた2010年、大きな危機に見舞われます。不景気で、2人とも雑誌の仕事を失ってしまうのです。時期を同じくして、エイミーの両親も小説の売れ行き不振から経済的な問題を抱え、エイミーが貰ったはずだった信託財産を両親に返すことになります。
その上、ニックの母親が末期癌と診断されるという不運。ニックにはマーゴという二卵性双生児の妹がいて、彼女がミズーリに残って母親と一緒に認知症の父親の面倒を見ていたのですが、マーゴも失業してしまい、これまで通りの生活ができないことは明らかです。
そこでニックは、NYの暮らしを捨て、ミズーリに引っ越すことに決めます。NY育ちのエイミーは気乗りしませんが、病気の義母を見捨てるような振る舞いもできませんので、ニックに従うことになります。
ミズーリの寂れた住宅地に居を構えたニックとエイミー。しばらくは義母に会いに行ったり、地域の人々に溶け込もうと努力をしていたエイミーですが、義母が亡くなってから次第に家に引きこもるようになります。
そんな状況で迎えた5回目の結婚記念日に、突然、エイミーが行方不明になります。家の中ではガラステーブルが割れて、オットマンがひっくり返っています。尋常ではないと感じたニックが警察に連絡し、その後の捜査でキッチンからルミノール反応が出たことで事件として扱われるようになり、失踪者がアメージング・エイミーのモデルだったこともあって大きなニュースになっていきます。
当初、同情されていたニックの隠されていた話が露見し、彼が疑惑の中心となっていくのですが、作品の性質上、あまり詳しく書かないほうが良いでしょう。
まぁ、ロザムンド・パイクがさまざまな賞にノミネートされていることからお分かりのように、彼女の出番は失踪して終わりではありません。要するに、小説の表現を借りれば「Amazing AmyはAvenging Amyだった」というお話なのですが、それだけでないところがこの物語の面白さですし、その緊迫感を2時間半引っ張るところがこの監督の凄いところでしょう。
また、映画の最後に付け加えられた部分が気味の悪さを強めていて、著者のギリアン・フリンが脚本まで手がけただけのことはあったと思います。細かいことですがAmazing Amyを“完璧なエイミー”と訳した字幕もうまいと思いました。
ということでロザムンド・パイク、ひたすら恐いです。是非とも彼女の鬼気迫る演技を味わってみてください。
[仕入れ担当]
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