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2019年2月19日 (火)

映画「マルジェラと私たち(We Margiela)」

00 去年の「ドリス・ヴァン・ノッテン」といい、先月の「ヴィヴィアン・ウエストウッド」といい、ファッションデザイナーのドキュメンタリーは面白いですね。どの映画でもファッションコンシャスな観客が目に付くのですが、ブランドへのロイヤリティの高さでは本作が一番だったと思います。老若男女問わず“マルジェラ大好き”という服装の人たちが結集していました。

マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は、ドリス・ヴァン・ノッテンたち“アントワープの6人”と並び称せられるベルギー出身のデザイナーですが、その実像は闇の中。

ブランドタグで匿名性を打ち出したのと同じく、デザイナー自身が表舞台に立つことを厭ったと言われています。その姿勢を象徴するのが、書面でのインタビューに対して常に“we”で回答し、チーム全員でデザインしていることを強調していたという逸話で、本作の原題「We Margiela」はそれを承けたものです。

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また、マルタン・マルジェラというブランドが活動を始めて以来、ずっと事業を支えてきた共同創始者ジェニー・メイレンス(Jenny Meirens)の存在もあるでしょう。
1944年生まれといいますから、1957年生まれのマルタン・マルジェラよりひと回りほど年上の元ブティックオーナーが、このブランドの立ち上げから、エルメスのためのデザイン、レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)率いるOTBグループへの売却まですべてにわたって采配したといいます。自らの名前を冠したブランドとはいえ、マルタン・マルジェラ個人のブランドという意識はなかったのかも知れません。

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本作はそのブランドの内側に迫ったドキュメンタリーですが、上の写真で黒い服を着ているのがジェニーで、その隣の空席が象徴するように、マルタン自身は登場しません。全編が彼を知る人たちへのインタビューとコレクション映像だけで構成されていて、次第に虚構のデザイナーを描いたメタフィクションを観ているような感覚に陥ってきます。ある意味、それこそがマルタン・マルジェラというデザイナーが志向したブランドの有り様なのかも知れませんが・・・。

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インタビューに答えた大半はチームの人々ですので、マルタン・マルジェラへのリスペクトを語り、彼と働いた経験を説明し、現在のブランドの姿に至った理由を分析します。その結果、クリエイションより組織論に流れがちなのですが、それに対して外注先であるイタリアのニット工房の人たちは、太い編み棒が入手できなくて箒の柄で編んだ等、主に作り手の苦労を語っていて面白いと思いました。それにしても、一体どんなセーターを編んだのでしょうか。

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セーターといえば、彼らがいうジャンパーはプルオーバーのセーターのことで、日本でいうジャンパーとは違います。映画の字幕にありがちな誤訳ですが、ファッション関係のドキュメンタリーにしてはチェックが甘いと思いました。

上のinstagramは、去年の春の展示会でマルタン・マルジェラの回顧展を見たときの様子です。映画の中でも日本の事業について語られていたように、日本との関係が深いブランドで(そもそもジェニーはベルギー初のComme des Garçonsをオープンさせた人です)、回顧展の展示には都築響一の写真集“HAPPY VICTIMS”に触発されたというインスタレーションもありました。

公式サイト
マルジェラと私たちWe Margiela

[仕入れ担当]

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