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2019年11月15日 (金)

映画「スペインは呼んでいる(The Trip to Spain)」

triptospain 4年前に日本公開された「イタリアは呼んでいる」の続編です。前作と同じく、マイケル・ウィンターボトム(Michael Winterbottom)監督が手がけたTVシリーズの映画化で、俳優で脚本家のスティーブ・クーガン(Steve Coogan)とコメディアンで司会者のロブ・ブライドン(Rob Brydon)がグルメ旅に出かけるバディムービーです。

前作同様、笑いのツボが英国ローカルであること、その笑いのネタが2人のモノマネであることには要注意です。英国の時事ネタと彼らがマネする有名人の口癖を知らないと、まったく笑えない事態に陥ります。また本作では、スティーブ・クーガンがアカデミー賞の作品賞と脚色賞にノミネートされた「あなたを抱きしめる日まで」に絡めたネタが散りばめられていますので、この映画を観ていないと意味不明な部分が多々あるかと思います。

ということで、コメディとしては観客を選ぶ微妙な作品ですが、旅行番組としては風光明媚な景色と地方色豊かな美食で楽しませてくれるストレートな作り。中年男性2人のミッドライフ・クライシスにまつわる軽口を聞きながら、ひとときの旅行気分に浸れます。

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今回の目的地はスペインで、英国プリマス(Plymouth)港から海路でサンタンデール(Santander)に渡り、イベリア半島をマラガまで縦断します。前作の車はミニクーパーでしたが、今回はロンドンから持ち込んだ右ハンドルのレンジローバー。調べてみたら、ブルターニュ・フェリーズ(Brittany Ferries)が夕方出航して正午に到着するカーフェリーを夏期だけ運行しているようです。

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スペイン最初の食事はチョコ・ゲタリア(Txoko Getaria)で。

ゲタリアは漁港を中心とした小さな町で、アンチョビと近郊で作られるチャコリという微発砲のワインが有名。クリストバル・バレンシアガの出身地であり、彼の生家を使った美術館もあります。サンタンデールからだと、ビルバオを抜けて2時間ほどかかりますので、やや遅めのランチという感じでしょうか。チョコは漁港を見下ろすように何軒か並ぶシーフードレストランの一つで(このブログブーツの写真はチョコの前から漁港に向けて撮ったものです)、スティーブとロブはこの店で鰯のプランチャ(鉄板焼き)や舌平目のグリルなどを食べます。

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初日の宿はパラドール・デ・オンダリビア(Parador de Hondarribia)。ゲタリアからサン・セバスティアンを通り過ぎてフランス国境を越える直前にある町、オンダリビアのパラドールです。ナバラ王国の要塞を使った建物で、エントランス側の小さな広場から見ると窓がないレンガ壁が大きくそびえ立ち、かなりの威圧感があります。ちなみに町の川向こうにあるアンダイエは「戦争のさなかで」のミゲル・デ・ウナムーノがフランス亡命中に暮らした町です。

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2日目の食事はアサドール・エチェバリ(Asador Etxebarri)。ビルバオから1時間かかる山奥にあるというのに、日本人を含むフーディたちがこぞって押しかける超有名店ですね。アサドールというのは薪や炭でグリルすることで、英語ではバーベキューという味気ない表現になってしまいますが、直火に意義を見出しているレストランです。ここで彼らは自家製のモッツァレラと山羊のバター(life-affirming butter=人生を肯定するバター!)、チョリソと玉蜀黍のクロケット、ムール貝の人参ジュース添え、骨付き肉のステーキ(Chuleta de res)、スモークドミルクのアイスクリームなどを食べます。そしてサラゴサ(Zaragoza)まで約300Km移動し、宿泊はパラドール・デ・ソス・デル・レイ・カトリコ(Parador de Sos del Rey Catolico)。

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スペインのグルメトリップといえば、更に東に向かい、カタルーニャで食べ歩くのが王道ですが、3日目の昼食は同じ道を途中まで引き返すかたちでリオハのラ・ポサダ・デル・ラウレル(La Posada del Laurel)に行き、赤ピーマンのプランチャ、ラムチョップなどを食べます。途中でエンシソの恐竜遺跡(Yacimientos de icnitas de Enciso)に立ち寄って記念撮影してましたね。

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本作は2017年4月にTV放映されたものですので、おそらく撮影の時点でプチダモンによるその後の混乱が予測できたのでしょう。グルメをテーマにしながらも美食の宝庫ジローナなど、カタルーニャ地方には一切触れていません。旅の途中でストリートミュージシャンと出会い、スティ−ブが“あのローリー・リー(Laurie Lee)も音楽で稼ぎながら旅をしていた”と言ってビールを奢ってあげるのですが、その若い英国人のお勧めはカタルーニャとバレンシアでした。確かバレンシアのカサ・モンターニャ(Casa Montaña)という店を挙げていたと思います。下の写真はローリー・リーの"As I Walked Out One Midsummer Morning"(邦訳は「スペイン放浪記―ある夏の朝、ふと旅に出て」または「アルフの旅」)とスティーブ。

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そしてマドリード方面に向かい、その晩の宿はパラドール・デ・シグエンサ(Parador De Siguenza)。4日目の昼食はパラドールから歩いてすぐのノーラ(Nöla)で骨付きラムのクスクス添えなどを食べ、夜は200Kmほど南下してパラドール・デ・クエンカ(Parador de Cuenca)に泊まります。私は行ったことがないのですが、クエンカも良さそうな町ですね。

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さらに南下し、5日目の食事はパラドール・デ・アルマグロ(Parador de Almagro)。そしてその晩の宿はパラドール・デ・グラナダ(Parador de Granada)。以前、このブログでもここの食事をご紹介していますが、アンダルシアに行くなら翌日の宿泊先であるパラドール・デ・マラガ・ヒブラルファロ(Parador de Málaga Gibralfaro)と併せて泊まりたい、スペインを代表するパラドールの一つです。前後してしまいましたが、最終日の昼食はマラガのエル・レフェクトリウム(El Refectorium)でポテトサラダや海老を食べていました。

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行き先のご紹介ばかりで内容に触れず仕舞いになってしまいましたが、本作のテーマはミッドライフ・クライシスですので、50代の二人(実際は同年齢ですが映画の設定ではスティーブが51歳、ボブが56歳)が、いつの間にか自らが置かれている立場が変化し、それに気付いて悩む様子が描かれていきます。もちろんこのサイドストーリーは創作ですので、それぞれの家族の設定も次回作の話題もフィクションです。

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公式サイト
スペインは呼んでいる

[仕入れ担当]

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