« 映画「グッドライアー 偽りのゲーム(The Good Liar)」 | トップページ | 映画「ロニートとエスティ(Disobedience)」 »

2020年2月10日 (月)

映画「ハスラーズ(Hustlers)」

Hustlersウォール街で働く裕福なビジネスマンたちからストリップクラブの女性たちが大金を巻き上げた、実際の事件をベースにしたドラマです。映画の原案になったジェシカ・プレスラー(Jessica Pressler)の2015年の記事はこちら(New York Magazine)で読めます。

プロデューサーとして、出演者でもあるジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)と並んで、映画「マネー・ショート」のアダム・マッケイ監督が参加していますが、彼の作品も原作はウォール街への批判がベースになっていました。去年観たトッド・フィリップス監督「ジョーカー」も、投資銀行の酔漢を射殺した主人公がヒーロー扱いされていましたし、いわゆる“wall street guy”がやっつけられるとある種の“勧善懲悪”が成り立ってしまう時代なのでしょう。

Hustlers01

物語は、NY郊外で祖母と暮らすアジア系女性ドロシーが、より高い収入を得ようとデスティニーという芸名でストリップクラブで働き始めるところからスタート。その店のスターだったヒスパニック系のラモーナと仲良くなり、彼女の導きもあってどんどん稼げるようになりますが、出産で夜の世界から一旦離れます。

Hustlers03

その後、シングルマザーとして業界に復帰。しかしウォール街の客たちはリーマンショック後、金払いが悪くなっていて、普通のやり方ではあまり稼げません。そして、薬物(MDMAとケタミン)を混ぜた飲み物で意識を朦朧とさせ、高額な支払いをさせるという強引な手口に変わっていきます。

Hustlers02

最終的に昏酔強盗で逮捕されることになるのですが、映画の軸になっているのは犯罪そのものではなく、犯罪を働いたデスティニーとラモーナの友情。社会的に弱い立場にある女性が結束して稼ぐことにフォーカスした映画です。

Hustlers04

序盤、駆け出しのデスティニーがタバコを吸いに屋上に行くと、ファーコートを羽織ったラモーナがいて、寒いから入りなよと毛皮の中に入れてくれるシーンがあります。姉御肌で情に篤いラモーナの性格と、心身共に温かくなっていくデスティニーの内面が伝わってくる素敵なシーンです。

Hustlers05

そして彼女たちの絶頂期、ラモーナのペントハウスで開かれた内輪のクリスマスパーティで、ラモーナがデスティニーに贈るのがチンチラのファーコート。二人の信頼関係も、毛皮の価格と同じくこれ以上になく高まっています。

Hustlers06

この時のチームは、ヒスパニック系のラモーナ、アジア系のデスティニー、黒人のメルセデス、東欧系っぽい白人のアナベルの4人で、いかにもNYの夜の世界らしい組み合わせが良い感じです。彼女たちのポリシーは、消防士の年金で遊んでいるいる“wall street guy”の悪銭をかすめ取って何が悪い、ということ。実際、一晩で数千ドル、数万ドルむしり取られても、表沙汰になることを恐れて、通報する人はあまりいなかったようです。

Hustlers09

この映画、デスティニーを演じたコンスタンス・ウー(Constance Wu)が主演ということになりますが、やはりラモーナを演じたジェニファー・ロペスの存在感が圧倒的です。最初の見どころはラモーナのポールダンスで、彼女がヒップを突き出しただけでスクリーンに熱狂が溢れます。ヒップに高額の保険をかけていると噂されるJ.Loだけのことはあります。

Hustlers08

彼女の凄いところは、この映画のために6カ月間特訓してポールダンスを習得したこと。アラフィフ(1969年生まれ)でここまでできるのは、J.Loだからこそでしょう。肉体的には無理でも、心がけぐらいは見習いたいものです。特訓シーンが彼女のYoutubeチャンネルで公開されていますのでご覧になってみてください(こちら)。その成果は、映画だけでなく、スーパーボウルのハーフタイムショーでも披露していました(こちら)。

Hustlers14

ポールダンスの場面でお札まみれになった後、デスティニーとすれ違いざまに囁く“Doesn't money make you horny?”(お金ってそそらない?)のひと言でデスティニーはラモーナの虜になります。こういう言い方がぴったりハマってしまうあたりもJ.Loの魅力ですね。

Hustlers07

現実の事件はカンボジア難民の娘ロージー(Roselyn Keo)がハスラークラブの先輩サマンサ(Samantha Barbash)と組んで起こしたものですが、サマンサは保護観察が解けた後、美容整形を提供するスパを開業したようです。ロージーは上記 New York Magazin の記事でジョーダン・ベルフォート(映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の主人公)のようなモティベーショナル・スピーカーになりたいと語っていましたが、その準備なのでしょうか、去年の暮れに自伝「The Sophisticated Hustler」を刊行しています。転んでもただでは起きない人たちですね。

Hustlers11

実際のロージーとサマンサはそれほど仲が良くなかったようですが、映画のラモーナとデスティニーは余韻を残しながらエンディングを迎えます。ちなみにそのときスクリーンに映る写真は、コンスタンス・ウーの少女時代の写真だそうです。

Hustlers10

公式サイト
ハスラーズHustlers

[仕入れ担当]

« 映画「グッドライアー 偽りのゲーム(The Good Liar)」 | トップページ | 映画「ロニートとエスティ(Disobedience)」 »

フォト