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2020年2月 9日 (日)

映画「グッドライアー 偽りのゲーム(The Good Liar)」

goodLiar 2年前の撮影時にはヘレン・ミレン(Helen Mirren)72歳、イアン・マッケラン(Ian McKellen)78歳だったそうです。この英国を代表する二人の名優に、ジム・カーター(Jim Carter)69歳を加えて撮られたこの映画、ニコラス・サール(Nicholas Searle)という公務員出身の作家が2016年に発表したやや複雑なコン・ゲームを原作とする作品です。

といっても、観る側は予告編などで欺し合いになることを知っていますので、そういった意味で言えば決してわかりにくい物語ではありません。難をいえば、やや複雑な背景がキーになる割に、伏線がないまま駆け足で決着してしまうあたりが残念なところでしょうか。

映画の幕開けは、初老の二人がネットの出会い系サービスでやりとりしている場面。その後、二人はレストランで落ち合うのですが、それぞれがエステル、ブライアンという偽名でアカウントを作っていたことを告白し、嘘のない関係にしたいと希望を語り合います。とはいえ、ヘレン・ミレン演じるベティは自己紹介で飲酒しないと記していたはずなのに食前酒のマテーィニを飲んでいますし、イアン・マッケラン演じるロイも非喫煙者のはずなのにタバコを吸いますので、最初から双方がいくつかの嘘をついている前提です。

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レストランを出た後、孫のスティーブンが車で迎えに来ているから送って行こうかというベティの提案を、自宅はパディントン駅のすぐ近くだからと断ったロイ。ベティたちを見送ると即座にタクシーを掴まえて繁華街に向かうのですが、実はロイ、投資詐欺を働いている男で、ストリップクラブに着くなり、ジム・カーター演じるヴィンセントと二人でカモの接待/説得を始めます。

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要するに彼は陰日向ある悪人で、ベティとの出会いも仕組んだもの。郊外で暮らす裕福な未亡人に投資を勧め、蓄えている資産をだまし取る手口です。手練手管を弄してベティに取り入っていくのですが、まずは膝を痛めたフリをして、階段がある自宅フラットから彼女の平屋に移り住みます。

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孫のスティーブンは、安易にロイを信用してはいけないとベティを責めますが、それもロイの計算のうちで、落ち着いて丁寧に説得します。沈着冷静なイメージとは裏腹に、ロイの舌先三寸を受け入れ、疑い続けるスティーブンを非難するベティ。ロイに心を許しているようにも見え、距離を置いているようにも見えるヘレン・ミレンの演技が絶妙です。

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二人はデートを重ね、ベティが亡夫と果たせなかった欧州旅行に行くことになります。ベティの希望は、パリ、ヴェネツィア、ベルリンなのですが、ロイはベルリンを否定し、あんなグレーな街ではなく、陽光輝くコスタデルソルやギリシャの島にしようと提案。しかしその直後、ベティが軽い脳卒中で倒れ、このままの暮らしぶりではいけないと医師から指摘されます。

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そうしてロイは投薬などでベティに尽くすようになり、結果的にベルリン旅行の希望も受け入れることになります。これが冒頭に記した複雑な背景に繋がっていくのですが、二人で映画「イングロリアス・バスターズ」を観た後の会話での意見の相違が一つの伏線です。原作者ニコラス・サールはバース大学とゲッティンゲン大学(Georg-August-Universität Göttingen)で学んだ人だそうで、ドイツに絡めた展開が持ち味なのかも知れません。物語は現代のロンドンと戦中のベルリンを行き来しながら展開していきます。

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もちろん本作の見どころは何といってもヘレン・ミレンとイアン・マッケランの競演。言葉と表情の使い分けで虚と実を曖昧にする演技はベテランならではの味わいでしょうし、なんと終盤では格闘シーンまで演じます。逆に、彼らの名演を見せたいばかりに細かい説明を省いたようで、たとえば、Dort wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen(本を焼く者は最後に人も焼く)の場面など、原作小説を読むと、もう少し深いものがあるのかも知れません。

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公式サイト
グッドライアー 偽りのゲームThe Good Liar

[仕入れ担当]

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