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2020年3月 1日 (日)

映画「ダンサー そして私たちは踊った(And Then We Danced)」

andthenwedanced ジョージア(グルジア)の民族舞踊団を舞台に、男性同士のひとときの恋愛を描いていく映画です。設定は異なりますが、展開は「君の名前で僕を呼んで」とよく似ていて、狭い社会で暮らしてきた美少年がふいに現れた男性に心奪われ、自分の内面と向かい合うことになります。

その美少年メラブを演じたレバン・ゲルバヒアニ(Levan Gelbakhiani)は、コンテンポラリーダンサーとしてジョージアで活躍する21歳。ジョージア移民二世であるスウェーデン人のレバン・アキン(Levan Akin)監督が、インスタグラム(こちら)でゲルバヒアニを見つけ、声をかけたたそうです。

メラブは祖父の代から家族全員がダンサーという家系で、兄のダヴィドと共に国立舞踊団の下部組織で練習に励んでいます。とはいえ、ダンサーとして成功できなかった父は家を出て市場で働いていますし、やはりダンサーだった母も家事を義母(メラブたちの祖母)に任せて自堕落な生活を送っています。当然、家計は火の車で、電気を止められたりしているのですが、見栄っ張りの母は、メラブが余り物の食事を貰ってくると怒ります。

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家族の収入源は、メラブがレストランのウェイターとして働いた賃金と、ダヴィドが怪しげな仕事から得た収入。父にいわせると、ダヴィドの方が才能があるということですが、彼はダンスに見切りを付けようとしていて、彼らのコーチであるアレコからも邪険に扱われています。メラブは頑張っているとはいえ、生来の線の細さが災いし、もっと男らしさが必要だといつも怒られていて、今後どうすべきか悩ましいところです。

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メラブのダンスパートナーは、10歳のときから組んでいるマリ。舞踊団の外でも親しく付き合っていて、おそらく恋人の一歩手前といったところでしょう。マリは関係を深めようとしますが、メラブはあまり気乗りしないようです。

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その理由がわかるのは、欠員の代わりに入団してきたイラクリが現れたとき。ピアスをしてスタジオに入ってくる自由な雰囲気を持ちながら、踊らせると力強いダンスをみせる、やや毛色の異なる男にメラブは瞬く間に惹かれていってしまいます。

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そんななか、上部組織で欠員が一名あり、男性ダンサーのオーディションが行われることになります。もし選ばれれば、高収入が約束されるほか、海外公演など夢が広がります。ただし、ポジションは一つだけですから全員がライバル。つまりメラブにとってはイラクリも競争相手です。

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それぞれが懸命に練習を積み重ねる過程で二人の距離が縮まっていき、メラブは自分がゲイであることを自覚していきます。「君の名前で僕を呼んで」では、相手の米国人がいつか帰国していく運命が見えていましたが、本作は舞台が首都トビリシ、イラクリはバトゥミから来ているという設定で、彼が去ってしまうことを予感させながら話が進んでいきます。

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二人の大きな障壁になるのが、保守的なジョージアの国民性と、それに立脚した民族舞踊の価値感。ジョージアでゲイとして生きるのは一般的にも大変そうですが、民族舞踊団の目指す方向性が非常にマッチョで、ゲイだとわかった途端、全てを失ってしまうのです。そういう世界にいるにもかかわらず、ダンサーとして自由に生きていきたいと願うメラブの内面を象徴するようなクライマックスと、ダヴィドが彼にかける言葉が印象に残ります。

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ダンスシーンも見どころですが、日本人にはあまり馴染みのないジョージアの生活が描かれているところもこの映画の魅力です。レストランで供される水餃子のような料理や、結婚式の様子、街並みやナイトライフなど、彼らの暮らしぶりを垣間見ることができます。出演者たちの好演もさることながら、いろいろと興味をかき立てられる映画です。

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ちなみにイラクリを演じたバチ・バリシュビリ(Bachi Valishvili)はイリア国立大学(Ilia State University)で心理学とジャーナリズムを学びながら演劇の道を志したそうで、プロのダンサーではないようです。一方、マリを演じたアナ・ジャバヒシュビリ(Ana Javakishvili)は2014年にジョージア国立オペラバレエ劇場(Georgian National Opera and Ballet Theater)のバレエスクールを卒業し、2019年に国際演劇協会ジョージアセンター(Georgian Centre of ITI)を卒業していますので、きっと踊りも演技もできるのでしょう。

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公式サイト
ダンサー そして私たちは踊ったAnd Then We Danced

[仕入れ担当]

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