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2020年3月10日 (火)

映画「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(地球最后的夜晚)」

LongDaysJourney デビュー作「凱里ブルース(路边野餐)」で金馬奨の最優秀新人監督賞を獲り、一躍脚光を浴びることになったビー・ガン(毕赣:Bi Gan)監督。注目の2作目ということで、カンヌ映画祭"ある視点部門"で公式上映されるなど、各所で話題になっているようです。

貴州省・凱里市出身の若干30歳。前作公開時は26歳だったそうで、学生時代の仲間と撮った超低予算の自主制作映画が世界的に評価されたわけですから、きっと才能ある人なのでしょう。ウォン・カーウァイを思わせる美しい色彩や、ジャ・ジャンクーを思わせるコミカルな要素など、さまざまな先人たちの影響を感じさせる監督です。

本作の舞台は、前作と同じく、監督の郷里である凱里。凱里市がある黔東南苗族侗族自治州は少数民族が多く暮らす地域だそうで、監督自身も苗族とのこと。映画の中でも、カラオケ大会のシーンなどに民族衣装を着た人たちが映ります。

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物語も前作同様、凱里に帰ってきた人物を中心に展開していきます。と言っても、それほど明確な物語があるわけではなく、夢の中で夢を見ているような不思議な感覚が続きます。

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敢えてまとめれば、思い出の女性を探し求める男の逍遥といったところでしょうか。父の死で久しぶりに故郷に戻った主人公が、ヤクザに殺された幼なじみを思い出し、一人の女性のイメージから逃れられなくなる話です。

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実のところストーリーはあまり重要でなく、本作が話題になっている最大のポイントは、後半約1時間にわたる3Dの長回し。率直に言って、3Dで撮った効果も長回しで撮った効果もピンときませんでしたが、この技術を確認しなくては収まりません。

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ですから2D上映の劇場に行ったり、自宅で鑑賞するなど以ての外で、3D上映ですべてを味わう以外の選択肢のない映画です。ちなみに撮影は「裸足の季節」「マイ・サンシャイン」でデニズ・ガムゼ・エルギュベン監督と組んでいたダーヴィッド・シザレ(David Chizallet)。

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序盤は、主人公が置かれている状況を伝えながら、キーワード的に何度も登場する要素、たとえばリンゴを囓ることや盛大に雨漏りする家などが示されていきます。

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そして主人公が映画館に入り、メガネをかける場面を合図に観客も3D用のメガネをかけます。その頃は既に単調な展開に飽きていますので、見え方が変わってしばらくの間は新鮮な気分を味わえると思います。

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しかし、3Dの映像に馴れてしまうと刺激も薄れます。途中で主人公が運搬用のゴンドラに乗るシーンがあり、3Dの効果を期待させるのですが、画面が暗いし、こちらに迫ってくるわけではありませんので、あまりインパクトはありません。そういった肩すかしを味わわせながら、思わせぶりな映像が積み重ねられていく作品です。

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主人公ルオ・ホンウ(羅紘武)を演じたホアン・ジュエ(黄觉:Jue Huang)は南寧出身の壮族だそうです。

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彼が探し求めるワン・チーウェン(萬綺雯)を「ラスト、コーション 」のタン・ウェイ(汤唯:Wei Tang)、ヤクザのツォ・ホンユエン(左宏元)を「凱里ブルース」のチェン・ヨンゾン(陳永忠:Yongzhong Chen)、親友の白貓を台湾出身のリ・ホンチ(李鴻其:Hong-Chi Lee)が演じ、白貓の母親役で「山河ノスタルジア」でカナダから来た中国語教師を演じていたシルビア・チャン(張艾嘉:Sylvia Chang)が友情出演しています。

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公式サイト
ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへLong Day's Journey Into Night

[仕入れ担当]

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