monad

バットマンの宿敵であるジョーカーのパートナー、ハーレイ・クイン。ジョーカーが入院していた精神病院の医師でしたが、彼の脱走を助け、共犯者で恋人という立場になりました。2016年の「スーサイド・スクワッド」でマーゴット・ロビー（Margot Robbie）の当たり役となり、彼女がプロデューサーを兼ねて主演したのが本作で、DCコミックスの「バーズ・オブ・プレイ」を元にクリスティーナ・ホドソン（Christina Hodson）が脚本化したそうです。

映画の始まりは、ローマン・シオニスが経営するナイトクラブでヤケ気味に騒ぐハーレイ・クイン。彼女を侮辱した男の膝をへし折るなどやりたい放題ですが、店から出た直後にトラブルになり、クラブ歌手のダイナ・ランスに救われます。その際のダイナの闘いぶりを窓から見ていたローマンは、膝を折られた運転手の代わりに彼女を雇うことにします。

実はハーレイ・クイン、ジョーカーと破局し、ドクの台湾料理屋の上階でハイエナのブルースと暮らしています。バットマンの本名ブルース・ウェインから名付けたあたりが彼女のキュートなところ。翌晩、ジョーカーとの決別を世間に知らしめるためにエース・ケミカルズの工場を爆破するのですが、それによって彼女に恨みをもつ人々からの復讐を呼び起こすことになります。

その頃、ゴッサム・シティ警察署のレニー・モントーヤは、イタリアンレストランでマフィアを皆殺しにしたクロスボウ使いの殺人者を捜査中だったのですが、エース・ケミカルズの現場付近でハーレイ・クインが捨てたネックレスを見つけ、爆破犯が彼女であること、ジョーカーと別れたことに気付きます。

また同じ頃、ローマン・シオニスは、数年前にバーティネリ家からマフィアが強奪したダイヤの在処を突き止め、手下のビクター・ザーズとダイナに入手を命じていました。ダイヤには一族の資産の口座番号が刻まれていて、それを手に入れることで莫大なカネを得られるのです。しかし、ザーズがポケットに入れたダイヤを、スリのカサンドラ・ケインが盗んでしまいます。

膝を折られた運転手は警察の情報提供者だったということで、レニーは代わりに情報を漏らして欲しいとダイナに頼みます。ローマンに捕らえられたハーレイ・クインは、カサンドラからダイヤを取り戻す代わりに自分を解放して欲しいと頼みます。カサンドラとダイナは同じアパートに住む顔見知り、クロスボウの使い手ヘレナ・バーティネリは虐殺された一族の生き残り、ビクターは一族を襲ったマフィアの残党といった具合に、登場人物同士が繋がっていき、それぞれの利害を賭けた戦いに突き進んでいくことになります。

こういった設定＆物語ですので、見せ場はアクションシーンのみと言ってよいでしょう。マーゴット・ロビーのスタントを務めたレナエ・マネーメイカー（Renae Moneymaker）、レニー役ロージー・ペレス（Rosie Perez）のスタント、タラ・マッケン（Tara Macken）、ダイナ役ジャーニー・スモレット＝ベル（Jurnee Smollett-Bell）のスタント、アニーシャ・ギブス（Anisha Gibbs）、ヘレナ役メアリー・エリザベス・ウィンステッド（Mary Elizabeth Winstead）のスタント、ヘイリー・ライト（Hayley Wright）など一線級のスタントで撮っています。

また、昨今のme tooブームを反映させてか、男はすべて悪人という割り切りも清々しい限りです。ユアン・マクレガー（Ewan McGregor）演じるローマン、クリス・メッシーナ（Chris Messina）演じるビクター・ザーズ、どちらも残虐で冷酷ないやらしい男です。この手の映画ではヒロインを支える男を登場させがちですが、ドクを含めて誰も彼女たちを助けたりしません。何から何まで女性たちの力で勝ち取るという考え方で貫かれています。

監督は中国生まれのキャシー・ヤン（Cathy Yan）。学者だった父親の関係で米国に渡り、香港の高校を卒業後、プリンストン大学でBA、ニューヨーク大学でMBAとMFAを取っているそうです。1986年生まれということで今後に期待といったところでしょうか。

公式サイト
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒（Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn）

［仕入れ担当］