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2020年7月27日 (月)

映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行(Ballon)」

Ballonドイツ再統一のおよそ10年前、東ドイツから西側への脱出を企てた2組の家族を描く実話ベースの映画です。自家製の熱気球でボーダーを越えるだけのシンプルなストーリーですが、手作りで風任せゆえのトラブルと、当時の共産圏ならではの緊張が続き、最後まで飽きさせることなく引っ張っていきます。

首謀者はドイツ南東部ペスネック(Pößneck)で暮らす電気技師のペーター・シュトレルツィクと親友のギュンター・ヴェッツェル。以前から西側に脱出したいと考えていたようですが、ニューメキシコ州アルバカーキで開かれている熱気球イベントの写真を見て、これなら自作できるとひらめいたそう。それぞれの家族を併せた総勢8人の脱出を目指して2年ががりで気球を縫い上げますが、飛行の直前にその気球の大きさだと全員乗せて上昇できないと気付き、まずはペーターと妻と子どもたちの4人が脱出を試みることになります。

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ことを秘密裏に運ぶ関係上、飛行テストをするわけにはいきませんので、ぶっつけ本番です。当然、製造や操縦のミスで墜落する恐怖もあるでしょうし、監視兵から撃墜される危険性もあります。妻子にそのようなリスクを負わせてまでも、強引に進めてしまうのですから、ペーターにとって西側に渡る魅力がいかに大きかったか分かります。

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これが映画の冒頭で描かれる1979年7月3日の初回の飛行。十分な高度に達しながらも、雲の水分で気球が湿り、ボーダーまであと少しというところで不時着してしまいます。夜闇にまぎれて車まで戻って立ち去りますが、気球もゴンドラも放置したままですので、すぐに官憲に気づかれ、大々的な捜査が始まります。

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それで諦めないのがペーターで、ギュンターを口説いて、熱気球作りに再チャレンジです。今回は官憲の捜査が迫っている上、ギュンターの兵役が6週間後に控えていることから、短期間で縫い上げなくてはなりません。

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前回より大きな気球を作るためにより多くの生地が必要になりますが、濡れても重くならない生地のみを買い集めなくてはいけません。経験値が上がっているとはいえ、誰にも気付かれないように作業を進めるのは至難の業です。

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映画を面白くするための設定かも知れませんが、ペーターの向かいの家の主はシュタージ(秘密警察)で働くエリックで、ペーターの長男フランクとエリックの娘クララは互いに淡い恋心を抱いています。ピーターからは、クララとは会うなと厳命されているフランクですが、なかなか思い切れず、微妙な距離感でクララと交際を続けています。

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また、東ドイツは誰も信用できない監視社会です。エリックに感づかれなくても、生地屋が密告するかも知れませんし、ギュンターの子どもが通う保育園からバレるかも知れません。何気ない日常を装いながら、人目を忍んで大仕事を成し遂げるプロセスは想像以上にスリリングです。

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そうして、この地域では珍しい北風が続いた9月16日、ツィーゲンリュック(Ziegenrück)からナイラ(Naila)までのボーダー越えが成功します。だからこそ手記が残り、こうして映画化されているわけですが、そうわかっていてもぐんぐん引き込まれていってしまうところがこの映画の魅力。監督のミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ(Michael Herbig)はコメディで有名な人だそうですが、とても盛り上げ上手です。

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主な出演者としては、ペーター役をフリードリヒ・ミッケ(Friedrich Mücke)、その妻ドリス役をカロリーヌ・シュッヘ(Karoline Schuch)、息子フランクをヨナス・ホルデンリーダー(Jonas Holdenrieder)、ギュンター役を「愛を読むひと」のデビッド・クロス(David Kross)、その妻ペトラ役を「東ベルリンから来た女」に出ていたというアリシア・フォン・リットベルク(Alicia von Rittberg)、彼らを追い詰めるザイデル中佐役を「戦場のピアニスト」のトーマス・クレッチマン(Thomas Kretschmann)が演じています。

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公式サイト
バルーン 奇蹟の脱出飛行

[仕入れ担当]

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