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2020年8月24日 (月)

映画「ハニーボーイ(Honey Boy)」

HoneyBoy子役スターとして活躍し、その後もブロックバスター系で成功を収めながら、私生活では問題を起こし続けているシャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)。その本人がリハビリ施設で治療の一環として書いた子ども時代の記憶をベースにした物語です。

映画は子役時代の1995年とリハビリ施設に入っていた2005年の2つの時代を行き来しながら展開します。ちなみに1986年生まれのラブーフは1995年にはデビューしていなかったようですし、イザベル・ルーカスを乗せて事故を起こしたのは2008年ですから、実人生とは数年ズレています。また、子ども時代の彼は、父親のジェフリー(Jeffrey LaBeouf)ではなく母親のシャンザ(Shayna)と一緒に暮らしていたそうで、この映画は自伝ではなく、父親の思い出に触発された創作のようです。

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2005年のオーティスは自動車事故を起こし、アルコール依存症の治療ためにリハビリ施設にいます。ハリウッドスターとして名声を得ながら、怒りや不安を抑えられず、酒や薬物に逃げている彼を医師はPTSDだと診断します。その原因を突き止めるため、少年時代の記憶を記すことになるのですが、そこにあるのは壊れてしまった家庭環境。彼と同じくアンガー・マネジメントができず、アルコホーリクス・アノニマスに通っていた父親ジェームズとの思い出です。

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1995年のオーティスはジェームズとモーテルで2人暮らしをしています。ベトナム戦争の退役軍人であるジェームズは、自分の職をロデオのピエロだと言っていますが、働いている様子はありません。彼らの生活は、オーティスが子役として稼いだ収入で賄われているようです。

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ジェームズは戦場の後遺症なのか情緒不安定です。オーティスに優しい表情を見せたと思えば、次の瞬間には怒鳴りつけています。そんな不安定な父親の感情の波をうまくくぐり抜け、平和に暮らせるように子役で稼いでいるオーティスは、ある意味、年齢以上に成熟していると言えるでしょう。

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米国にはビッグ・ブラザー(Big Brother program)というボランティア制度があり、ひとり親世帯や貧困家庭の青少年にメンターを派遣するものですが、オーティスの母であるジェームズの元妻はそのプログラムを利用してオーティスにトムというビッグ・ブラザーを付けています。おそらく“まともな大人”と触れ合うことで、オーティスが“まともな大人”になれると考えているのでしょう。

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もちろんジェームズはトムのことを嫌っています。そもそも“まともな大人”が嫌いなようですが、何よりもオーティスに対する独占欲が強すぎて、誰かが彼に影響を与え、自分の価値感から外れていくことを恐れているのです。

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もちろんオーティスは“飯の種”ですから、彼が自立して離れていったら生計が立たないという打算もあるでしょう。ジェームズから求められることをオーティスは愛情と受け止め、もっと普通に愛情表現して欲しいと望みます。そのすれ違いが、オーティスを深く傷つけていくことになります。

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身勝手な父親とそれに翻弄される愛に飢えた子どもという、ある意味、ありふれたネタを、素晴らしい演技力でみせてくれたのが、子ども時代のオーティスを演じたノア・ジュプ(Noah Jupe)。「クワイエット・プレイス」「フォードvsフェラーリ」と徐々に存在感を高めてきましたが、本作の演技は出色の出来映えではないでしょうか。

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大人になってからのオーティスを演じたルーカス・ヘッジズ(Lucas Hedges)も見る度にレベルアップしていく成長株。「スリー・ビルボード」や「レディ・バード」で人気を博しましたが、本作は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」に近い雰囲気です。

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そして問題の父親ジェームズを演じたのはシャイア・ラブーフ。エンドロールで実物の写真が映し出されるのですが、さすが血を分けた肉親、とてもよく似ています。もう1人の重要人物、シャイ・ガールを演じたミュージシャンのFKAツイッグス(FKA Twigs)は、ロバート・パティンソンに続いてシャイア・ラブーフと交際していると噂されていましたね。

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監督を務めたアルマ・ハレル(Alma Har'el)は本作が長編劇映画第1作目のいう若手。これまではドキュメンタリーを撮っていたそうで、本作でも手持ちカメラを駆使して被写体に迫ります。なお撮影監督は「シルビアのいる街で」「ネオン・デーモン」などスタイリッシュな映像が持ち味のナターシャ・ブライエ(Natasha Braier)です。

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公式サイト
ハニーボーイHoney Boy

[仕入れ担当]

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