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2021年1月 3日 (日)

河鍋暁斎の底力 東京ステーションギャラリー

正統的な美人画からコミカルな放屁合戦絵巻まで、なんでもござれの天才絵師、河鍋暁斎の展覧会はこれまで何度か観に行きましたが(→2015年のブログ、→2017年のブログ)、下絵だけの展覧会は初めてです。本展では、本画とされるものは一切登場せず、素描や画稿、席画や絵手本など、暁斎以外の人の手が入っていない純度ほぼ100%の作品ばかりが並びます。

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本画では整えられてしまう細かい部分が、下絵では画面を埋め尽くすように描き込まれていて迫力があります。色の指示が書き込まれていたり、手直しされたあとが観られるのも醍醐味です。

いつもスケッチ帳を懐に入れていた暁斎。動植物の写生、踊る人の動きをとらえるのに骨格から描かれた習作、女中のつけていた帯の柄が気になり追いかけまわして描いた模様など、彼の興味は尽きません。

あまり弟子はとらなかったそうですが、受け入れた者への教育は熱心だったそうです。依頼を受けた作品の下絵の横に、全く関係のない兎や虎の顔が描かれていて、時間を惜しまず教えていた様子が残っています。

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パワフルに描き続けた暁斎の熱意が感じられる展覧会です。

河鍋暁斎の底力
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202011_kawanabe.html
2021年2月7日(日)まで

[店長]

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