スペイン

2021年11月23日 (火)

ラテンビート映画祭「ベネシアフレニア(Veneciafrenia)」

Veneciafrenia 今年のラテンビート映画祭は独自の開催ではなく、東京国際映画祭の一部として3作だけの上映でした。それぞれの上映回数もわずかで、なかなかタイミングが合わず、かろうじてアレックス・デ・ラ・イグレシア(Álex de la Iglesia)監督の新作1本だけ鑑賞できました。

ヴェネツィア映画祭で銀獅子賞(監督賞)に輝いた「気狂いピエロの決闘」以来、同監督の劇映画は「刺さった男」「スガラムルディの魔女」「グラン・ノーチェ!」「クローズド・バル」とすべて観てきましたので、これだけ外すわけにはいかないという一種の使命感ですね。

本作のタイトルを直訳すると“ヴェネチア狂乱”といったところでしょうか。オーバーツーリズムの問題を抱えるヴェネチアを舞台に、観光客排斥を企む闇の組織と、それに狙われた脳天気なスペイン人観光客のドタバタを描いていきます。

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ご存じのようにサンマルコ広場やリアルト橋は常に観光客で溢れかえっていましたので、それを前提に構想された作品だと思いますが、監督いわく、撮影を始めたのがCOVID‑19が蔓延し始めた時期で、ヴェネチアの観光地は閑散としていたとのこと。ですから雑踏のシーンはすべて仕込みにしなくてはならず、人集めに苦労したそうです。

映画のはじまりは、ヴェネチアンマスクを飾り立てたドアに米国人カップルが引き寄せられていくと、突然、ドアから剣が突き出て男性が刺されてしまうシーン。その家の住人は観光客排斥を訴える一派で、観光客がヴェネツィアに寄りつかないように恐怖心を植え付ける作戦です。

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続いて今回の主人公たち、スペインの若者5人組が海路で到着します。大型クルーズ船はオーバーツーリズム問題の象徴ですし、特にヴェネツィアでは歴史遺産や環境への波の影響が心配されていますので、空路ではなく、反対運動が行われている港から入る設定にしたのでしょう。

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このスペイン人たちは女性3人と男性2人のグループで、どうやら結婚を目前としたイサが、友人のスサナとアランツァを誘って独身最後の旅行に来たようです。男性2人はイサの弟ホセとアランツァのパートナーであるシャビ。映画が進んでいくとアランツァは体操選手で、ホセはスサナに気があるようだとわかってきます。

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早速、水上タクシーを掴まえてホテルに向かいます。観光客に協力的なジャコモの船に乗れたところまでは良かったのですが、出航間際に道化師の仮面と装束を身につけた男が飛び乗ってきます。マニン劇場でリゴレットを上演するといってチラシを渡すこの男も実は観光客排斥の一派で、ジャコモともめた末に港のブイに置き去りにされます。

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スペイン人たちがホテルにチェックインし、仮装して食事をしていると、近くのテーブルにいたペスト医の仮面を被った男からパーティに招待されます。一旦は断るのですが、飲みに出かけたバーのそばを通りかかったペスト医に惹かれ、後を追けてパーティ会場とおぼしき屋敷にたどり着きます。

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招待客のフリをして中に入ろうとしますが、合言葉を求められて立ち往生。しかし、ふと声に出したリゴレットという単語が合致して、古びた扉の奥に広がる地下迷宮のようなクラブに迷い込みます。そこで供された酒のようなもの、後でテリアカ(Venice treacle)らしいとわかるのですが、それを飲んだスペイン人たちの記憶が途切れます。

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ホテルで目覚めた彼らは、ホセがいないことに気付きます。パーティ会場で彼を見たのが最後だということで、カラビニエ(軍警察)に通報して件の屋敷に赴くとそこは普通の民家。捜査官いわく、干潟に大量の木杭を打って地盤を作ったヴェネチアでは、巨大な地下室などあり得ないということで、捜査は打ち切りになってしまいます。

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もちろん、イサたちは諦めることなく、ジャコモの協力を得てホセの行方を追うのですが、リゴレットの道化師の扮装、ペスト医の扮装の二人が謎を解く鍵だと気付き、廃墟になっているマニン劇場を探ることで闇の組織に近づいていきます。どことなく「スガラムルディの魔女」に似た展開の、愚か者が魔の巣窟に迷い込んでしまうタイプの物語です。

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本作は、監督と妻で女優のカロリーナ・バング(Carolina Bang)が設立したマドリードの制作会社Pokeepsie Filmsが、Sony Pictures、Amazon Primeと提携して始めたホラー映画のシリーズ"The Fear Collection"の第一作目で、監督いわく、1970年代イタリアの“ジャッロ映画”にオマージュを捧げたとのこと。一昨年に「サスペリア」もリメイクされましたし、ある種の流行なのでしょう。

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そのせいかスペイン人の有名俳優は出ていませんが、イタリア人俳優は「007 カジノ・ロワイヤル」のカテリーナ・ムリーノ(Caterina Murino)はじめ、ペスト医と道化師の二役を演じたコジモ・ファスコ(Cosimo Fusco)、船乗りジャコモ役のエンリコ・ロ・ヴェルソ(Enrico Lo Verso)、捜査官ブルネリ役のアルマンド・デ・ラズサ(Armando de Razza)、薬屋役で「フォンターナ広場」「007 スペクター」のアレッサンドロ・ブレッシャネッロ(Alessandro Bressanello)と幅広く揃えています。

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ペスト医に絡めるかのように、ポヴェーリア(Poveglia)やラッザレット・ベッキオ(Lazzaretto Vecchio)を思われるペスト患者の収容施設に言及している部分はこの監督ならではの時代性への目配りでしょう。また、ペスト医が最後に言い放つ“美しいヴェネチアが死んでいく、私も死んでいく”というセリフもこの監督らしい締めだと思いました。

公式サイト
ベネシアフレニア:東京国際映画祭

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2021年8月16日 (月)

映画「明日に向かって笑え!(La odisea de los Giles)」

La odisea de los Gilesアルゼンチンの人気俳優リカルド・ダリン(Ricardo Darín)主演のほのぼのとした犯罪ドラマです。銀行強盗にも西部劇にもまったく関係なく、犯罪を成功に導くヒントはオードリー・ヘプバーンの「おしゃれ泥棒(How to Steal a Million)」なのに、なぜこんなセンスのない邦題にしたのかわかりませんが、アルゼンチンの国情を反映させながら、強欲な特権階級に対する庶民の逆転劇を描いていきます。

gilは、stupid, silly, idiot, ass, pratといった意味ですから、原題を直訳すると愚者たちのオデュッセイアといったところでしょうか。「瞳の奥の秘密」の作者エドゥアルド・サチェリ(Eduardo Sacheri)が2016年に発表した小説「La noche de la Usina(≒発電所の夜)」が原作で、タイトル通り発電所(変電所)がポイントになるお話です。

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瞳の奥の秘密」は1974年の出来事を下地にしていましたが、本作の端緒は2001年12月3日。アルゼンチン政府が行ったコラリート(corralito)=預金の引出制限により、この日から週に250ペソしか下ろせなくなりました。映画で描かれているように、多くの市民は資産を米ドルで持っていましたが、主人公は銀行から融資を得るため、コラリート前日に貸金庫の米ドル現金をペソに変えて預金してしまったのです。

それだけなら運が悪かったというだけの話です。というより、アルゼンチンに長く住んでいるのに、政府や銀行を100%信用した時点で愚か者のそしりは免れません。実際、映画の中でも関係者に罵られています。

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しかしこれには裏があって、事前にコラリートの情報を得ていた銀行が、弁護士マンシーが求める米ドル現金を得るため、主人公を言いくるめて預金させていたのです。つまり特権階級に便宜を図ろうと、無知で無力な庶民をだましたわけで、それを知った人々が仕返しに打って出るというのがこの映画です。

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その主人公というのが、ブエノスアイレス近郊のアルシーナ村(Villa Alsina)で暮らす元サッカー選手のフェルミン。その妻リディア、友人のタイヤ修理屋アントニオの3人は、10年以上前から廃墟になっているサイロを買い取り、農業協同組合"La Metodica"を再建しようと計画しています。その資金を村人たちの出資で賄おうと説得にまわった末、元スター選手という信用のおかげで158,653ドルをかき集めることに成功します。

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サイロの持ち主の遺族は30万ドル程度で売却したいとのこと。これまた元スター選手の威光でリディアが値下げを勝ち取りますが、それでも10万ドルほど足りません。その分の融資を受けようと隣町ビジャグラン(Villagrán)の銀行支店長アルバラドに掛け合った結果、上に記したような話に繋がるわけです。

コラリートの報道をみたフェルミンとリディアはビジャグランまで出かけますが、もちろん米ドルを返して貰うことはできません。さらに運の悪いことに、帰り道の自動車事故でフェルミンは大けがを負い、リディアは亡くなってしまいます。

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その1年後、ブエノスアイレス大学に通っていた息子のロドリゴも今やガソリンスタンドの手伝いです。そこへふいに訪ねてきたアントニオと駅長のロロが驚きの情報をもたらします。マンシーは別荘用の設備を入れるという名目で、牧草地の真ん中に穴を掘らせて地下室を作らせていたのです。そこに米ドル現金を隠しているのだろうというのが彼らの見立てです。

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出資者たちが再度集まり、米ドルを奪い返そうと画策します。もちろん警報設備もありますので簡単ではありません。ロドリゴは植栽業者のふりをしてマンシーの事務所に出入りし、情報を探ります。他の出資者たちもそれぞれの技術や知恵を持ち寄って計画を練り上げていきます。このメンバーの個性の多彩さが映画を面白くすると同時に、南米的なノリを楽しませてくれる大切な要素になります。

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アントニオは無政府主義者でバクーニンに心酔しています。ブルドーザーの場面でQué Bakunin(なんてバクーニン的なんだ)と感嘆しますが、それは公共の資産を勝手に使うことに対する称賛です。廃線の駅長ロロは自動車修理工で生計をたてているペロン主義者(Peronista)。その他、運送会社を営むやり手の女性実業家カルメンと自立できない息子のエルナン、何度も事業に失敗しているゴメス兄弟、ダイナマイトで漁をするアタナシオなどクセの強い人たちが波乱を巻き起こします。

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出演者でリカルド・ダリン以外の有名どころといえば、ロドリゴを演じた実の息子である「永遠に僕のもの」のチノ・ダリン(Chino Darín)、駅長ロロを演じた「ル・コルビュジエの家」「家族のように」のダニエル・アラオス(Daniel Aráoz)の二人でしょうか。その他、カルメン役で「人生スイッチ」のLas Ratas:鼠たちの章で調理人を演じていたリタ・コルテセ(Rita Cortese)、マンシー役で「コレラの時代の愛」の船長役アンドレス・パラ(Andrés Parra)が出ています。

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監督は長年TVで活躍してきたというセバスティアン・ボレンステイン(Sebastián Borensztein)で、リカルド・ダリンの映画はこれが3作目だそうです。

特に風刺をきかせた映画ではありませんが、個人的に刺さったのは“悪いやつは自分が悪いなんて微塵も思っていない”というセリフ。最近なんだかその手の話が多いですよね。なぜ非難されているのかまったく理解できてない人。そういう人は、この映画のようにすべてを取り上げて懲らしめないといけないのかも知れません。

公式サイト
明日に向かって笑え!

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2021年7月26日 (月)

映画「83歳のやさしいスパイ(El Agente Topo)」

AgenteTopo 久しぶりのスペイン語映画は、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にチリ代表で出品され、見事ノミネートされた作品です。原題を直訳すると"潜入スパイ"といったところでしょうか。探偵事務所の求人に応募してきた83歳のセルヒオ(Sergio Chamy Rodríguez)が老人ホームに潜り込んで内偵する映画です。

そんなドキュメンタリーの何が面白いのかと思われるかも知れませんが、これが笑いあり涙ありのドラマに仕上がっているところがマイテ・アルベルディ(Maite Alberdi)監督の仕掛けと編集の巧さでしょう。長編3作目の「La once」が2015年のゴヤ賞にノミネートされて以来、次々とドキュメンタリー作品を送り出している、1983年生まれの女性監督です。

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セルヒオの採用を決めるまでのプロセスも、彼が老人ホームの住人になって内情を探るくだりも、どちらもヤラセなしのぶっつけ本番だそうです。撮影に協力した老人ホームの運営者側は、セルヒオが探偵事務所に雇われていることを知らず、カメラクルーたちは施設の取材で撮影しているだけだと思っていたそうです(薄々気付いていた介護職員もいたようですが)。

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本作の主役であるセルヒオのミッションは、エルモンテの聖フランシスコ老人ホーム(Hogar de Ancianos San Francisco de El Monte)に入居しているソニア(Sonia)という老婆の周辺を探ること。彼女が虐待を受けているのではないかと疑った家族が探偵事務所に調査を依頼したのです。ちなみにエルモンテは首都サンティアゴの南西50kmに位置する人口36,000人ほどの小さな町です。

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無事、探偵事務所に採用されたセルヒオは事務所長のロムロ(Romulo Aitken)から、スマホでのビデオ通話や動画送信の方法から、スパイカメラの使い方まで教えられるのですが、スマホがなかなかうまく使えなくて観客の苦笑を呼びます。また、老人ホーム入居後も、メガネ型カメラを落としてテンプルが外れてしまうなどハイテク機器とは相性が悪く、そのせいか分厚いノートを常に持ち歩いて手書きでメモをとっていました。

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子どもたちに付き添われ、老人ホームの入居手続きを終えたセルヒオは、早速、調査を始めます。観客は、彼の素性がバレることを心配しながら観ているわけですが、それはまったくの杞憂で、すぐに施設の人気者になっていきます。特に、25年ここで暮らしているという未婚のベルタ(Berta Ureta)は彼をたいそう気に入り、困惑したセルヒオは"亡くなった妻のことが忘れられないので"と言って彼女からの求愛を断ることになります。

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彼がモテる理由は、入居している男性が4人しかいないという男女比もあるのですが、他の男性に比べて格段にお洒落だということもありそうです。この記事によると、シリア移民の子孫であるセルヒオの父はサンティアゴで婦人服店を経営しており、セルヒオも17歳からその店で働き、父の死後は店を継いで、経済危機で店を売却せざるを得なくなる1982年まで店主だったそうです。アラブ系の血なのか体型もよく、身なりもきちんとしているセルヒオは、明らかに他の入居者の男性とは見た目が違います。

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もう一つのモテる理由は、彼が聞き上手だからでしょう。スパイとして聞き取り調査をしているのですから当然ですが、老人ホームは語りたがりの老人で溢れていますので、他人の話をきちんと聞いてくれる彼は貴重です。これは、老人たちは孤独で、触れ合いを求めているという、映画のエンディングで結論づけられる内容とも通じるものです。

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セルヒオは婦人服店を手放した後、食料品店の経営に失敗し、政府の世帯主雇用プログラム(POJH)を通じてさまざまな職を経験したそうです。そのおかげもあって、話の合わせ方が上手で、いたわりを感じさせ、必要に応じてうまくウソをつくことができるのでしょう。上記の記事によると、入居してすぐにここから出たいと言い始めたそうですが、そういったプライドの高さもモテに繋がったのかも知れません。

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いずれにしても、セルヒオをはじめとする登場人物たちのキャラクターが監督の発案とうまくかみ合ったことが、これほど面白いドキュメンタリーに結実したことは間違いありません。偶然とはいえ、良い人を見つけたものです。また、南米チリの気候も良かったと思います。これが「スーパーノヴァ」のようなどんよりした空の下で撮られていたら、かなり印象の違う話になりそうです。

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実はこの映画、昨年のラテンビート映画祭で「老人スパイ」というタイトルで上映されていて、サン・セバスティアン映画祭で観客賞を獲った作品なので観ようかと思ったのですが、老人施設のドキュメンタリーと知って見送りました。喰わず嫌いはいけませんね。チリにはホドロフスキーやパブロ・ララインといった有名監督以外にも「ナチュラルウーマン」のセバスティアン・レリオや「蜘蛛」のアンドレス・ウッドといった実力ある作り手が多いので、もう少し注目してみたいと思います。

公式サイト
83歳のやさしいスパイThe Mole Agent

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2020年12月 7日 (月)

ラテンビート映画祭「マリアの旅(La vida era eso)」

LaVidaEraEso 今年のラテンビート映画祭2本目は、スペイン人監督ダビッド・マルティン・デ・ロス・サントス(David Martín de los Santos)の作品。初の日本公開作となるこの監督、短編でいくつか小さな賞を獲っていますが、長編ではセビリヤ・ヨーロッパ映画祭ノミネートを果たした本作が最高位のようですので、ほぼ無名の監督と言って良いでしょう。

それにもかかわらず、主役マリアに「ペトラは静かに対峙する」で主人公の病床の母親役を演じたベテラン女優ペトラ・マルティネス(Petra Martínez)、重要な脇役ヴェロニカに「オリーブの樹は呼んでいる」主演のアンナ・カスティーリョ(Anna Castillo)、マリアの夫役に「誰もがそれを知っている」でペネロペの父親を演じたラモン・バレア(Ramón Barea)をキャスティングした豪華版です。

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映画の始まりはベルギー第3の都市ヘントの病院から。
心臓発作を起こして入院している70代の老女、マリアの隣のベッドにヴェロニカという若い女性が入院してきます。彼女はふいに気絶して病院に運び込まれたそうで、自身の病状についてはまったく心配していません。むしろ検査結果が出るまで退院できないことが不満そうです。

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マリアとヴェロニカは親子以上の年齢差ですので、最初はライフスタイルの違いでぎくしゃくしますが、二人ともスペイン人であることと、ヴェロニカのオープンな性格のおかげで次第に打ち解けていきます。彼女がアルメリア出身で、タラゴナやバルセロナで暮らした後、ベルギーに季節労働者として渡ってきたことなどが明らかになります。

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対するマリアは多くを語りませんが、夫と成人した子どもたちが訪ねてくることから、この地に定住していることがわかります。

そんな中で彼女が唯一明かすのは、自分がレオン出身で生まれ故郷は湖底に沈んだということ。具体的な地名は出てきませんが、おそらくリアニョ貯水池(Embalse de Riaño)のことでしょう。1987年末に水門が閉じられ、9つの村が水没していますので、もしそうだとすれば今から30〜40年前に立ち退きになった村民の一人です。フアン・カルロスの即位が1975年ですから、彼女にとってスペインでの暮らしはほぼフランコ政権下の時代ということになります。

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退院間近のある日、ヴェロニカが珍しく食事に手を付けないので理由を訊ねると、医師から心臓移植が必要だと告げられたとのこと。予想外の重病だと知って打ちのめされているのです。マリアはそんな彼女を不憫に思い、退院の際に自分の連絡先を渡します。

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退院後、ヴェロニカの知人が他にいないということで病院からマリアに電話があり、それを機に彼女を見舞い、付き添うことになるのですが、ほどなくヴェロニカは逝ってしまいます。福祉局によると、身寄りのない彼女は火葬され、遺骨は廃棄されるとのこと。マリアは夫の反対を押し切ってヴェロニカの身元引受人となり、骨壺を受け取ります。

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そしてヴェロニカ(通称ヴェロ)を故郷に葬るため、遺骨を抱えたマリアは数十年振りにスペインの土を踏み、ヴェロの関係者を捜し求めてアルメリアを旅することになります。よく知らない女性のために何故そこまでするかというと、一つはヴェロの奔放で自由な生き方に惹かれたということ、もう一つは若くして客死した彼女の無念を晴らすため彼女の分まで生きて楽しもうということだと思います。

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ここから本作の核心であるマリアのロードムービーに切り替わっていくのですが、ポイントは彼女が70代になる今まで、冒険らしい冒険をしたことがなかったということ。スペインで暮らしていた頃は、上で記したようにフランコ政権下の抑圧された生活でしたし、その後も移住先で労働者の妻として慎ましく生きてきたのです。ですから彼女にとって結婚48年目の一人旅は、原題の通り、人生とはそういうものだったんだ、と再解釈する旅になります。

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汽車とバスを乗り継いでアルメリアに辿り付きますが、ヴェロの親はCabo de Gata(当地の塩田)に活気があった時代に流れてきたフランス系とアラブ系の移民だったということで、誰も行方を知りません。

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まともな宿さえないような打ち捨てられた村で途方に暮れるマリア。ところが、ヴェロの交際相手だったファンを探すうちにバー経営者のルカと知り合い、思いがけずさまざまな経験をすることになります。

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そのルカを演じているのがルーマニア出身のフローリン・ピエルジク・Jr(Florin Piersic Jr)。そしてファンを演じているのが「ザ・トランスポーター」に出ていたというダニエル・モリーリャ(Daniel Morilla)。この若い男性2人と接するうちに、ペトラ・マルティネスの表情がどんどん活き活きしてきます。

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マジカル・ガール」「悲しみに、こんにちは」のサンティアゴ・ラカイ(Santiago Racaj)が撮ったアルメリアの寂寞とした風景も良い感じです。当地をクリストファー・ドイルが撮影した「リミッツ・オブ・コントロール」と見比べてみるのも一興かも知れません。

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公式サイト:なし

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2020年11月30日 (月)

ラテンビート映画祭「モラル・オーダー(Ordem Moral)」

Ordem Moral 今年のラテンビート映画祭はオンラインで開催されています。いつも“映画は映画館で!”と言っている私ですが、疫病には抗えず、HDMI接続に戸惑いながら初のネット視聴と相成りました。危惧していた遅延もなく、大画面でも思いのほか鮮明に映り、食わず嫌いは良くないなと反省した次第です。

ということで遅ればせながら鑑賞した今年の1本目は、20世紀初頭の実話を下敷きにしたポルトガル映画。リスボンで発行されている日刊紙ディアリオ・デ・ノティシアス(Diário de Notícias)の創業者一族の事件を内側から描いていく物語で、主演は「ヘンリー&ジューン」のアナイス・ニン役が懐かしいマリア・デ・メデイロス(Maria de Medeiros)が務めています。

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ディアリオ・デ・ノティシアスは1864年にエドゥアルド・コエーリョ(Eduardo Coelho)が創業した新聞社で、本作の主人公、マリア・アデライド(Maria Adelaide Coelho da Cunha)はその娘であり相続人です。といっても事業を仕切っているのはマリアの夫であるアルフレド・ダ・クーニャ(Alfredo da Cunha)で、息子のホセも将来に向けた布石なのか既に経営に参画しています。

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映画のアルフレドは新聞社のオーナー然としたビジネスマン的な雰囲気を漂わせていますが、実際は作家でジャーナリスト。弁護士資格も持つ優秀な人だったようでエドゥアルド・コエーリョから全幅の信頼を得て社長の座を継いだそうです。本作を撮った(文字通り撮影監督も務めた)マリオ・バローゾ(Mário Barroso)監督いわく、実話ベースのフィクションとのことですので、関係がわかりやすいように薄っぺらな人物に設定したのでしょう。

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映画のスタートは1918年末。第一次世界大戦が終結し、スペイン風邪が猛威を振るった年ですが、感染した運転手のマヌエルを見舞ったマリアは、彼を看病するうちに関係を深め、マヌエルの出身地であるサンタ・コンバ・ダン(Santa Comba Dão)で一緒に暮らし始めます。リスボンの約200Km北、ポルトの約120Km南に位置するコインブラ近郊の田舎町です。

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マリアが48歳、マヌエルが26歳という年の差カップルだったこともあり、彼らを捜し出したアルフレドたちは、精神的に不安定だといってマリアを精神病院に入れてしまいます。要するに、22歳年下の使用人と駆け落ちした妻の行為を心の病として片付けたのです。

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彼女の一件に限らず、たとえば英国の「サフラジェット」では“女性には政治判断をするための落ち着きも心の平衡もない”といって参政権が与えられなかったように、女性は精神面で男性に劣り、情緒的な問題を抱えているという考えがまかり通っていた時代です。監督はインタビューで、女性の自由を奪う社会の仕組みを描いたと話していましたが、マリアの場合も、エガス・モニス(Egas Moniz)やフリオ・デ・マトス(Júlio de Matos)、ソブラル・シド(Sobral Cid)といった精神医学界の主流派から診断をくだされたわけで、その診断の背景こそが本作のタイトルである“道徳的秩序”なのでしょう。ちなみにエガス・モニスは政治家として閣僚や大使を務めた後、大学に戻って神経学の教授となり、1949年にノーベル医学賞を受賞しています。

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現実のマリア・アデライドも演劇を愛し、ジュリオ・ダンタス(Júlio Dantas)とも交流があったそうですが、本作では自宅でダンタスの「修道女マリアナ(Soror Mariana)」を上演し、その演出を巡る議論で彼女の内面に関する憶測が語られます。また精神病院ではストリンドベリ(August Strindberg)の「令嬢ジュリー(Menina Júlia)」を上演し、性別と階級を逆転させて彼女が使用人を演じることで彼女の立ち位置を表します。本作のポスターに使われている写真は使用人役で男装したマリアです。

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精神病院から救い出されたものの、潜伏先で官憲に逮捕され、再び入院させられるという過酷な展開となりますが、最終的にはポルトで安逸を得られたというのが監督の視点のようで、エンディングの美しさは見どころの一つと言って良いでしょう。90年代にオリヴェイラ監督の下で撮影監督を務めていただけのことはあります。リスボンのAssociação Casa Veva Limaで撮影したという豪華絢爛な内装と並んで必見です。

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とはいえ、やはり最大の見どころはマリア・デ・メデイロスの演技。奔放なようで現実的なマリア・アデライドを絶妙なバランスで演じています。上流階級らしい格調の高さも、マヌエルに見せる愛らしい表情も魅力的で、「チキンとプラム」でも二面性のある役を演じていましたが、あの不思議な雰囲気がある種の説得力を持たせるのでしょうね。

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その他の出演者としては、夫のアルフレド役をマルセロ・ウルジェージェ(Marcello Urgeghe)、息子のホセ役をジョアン・アライス(João Arrais)、アルフレドの愛人ソフィア役をジュリア・パルハ(Júlia Palha)、メイドのイダリナ役をヴェラ・モウラ(Vera Moura)、マヌエル役をジョアン・ペドロ・マメーデ(João Pedro Mamede)、その友人シセロ役をアルバノ・ジェロニモ(Albano Jerónimo)が演じています。

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公式サイト
Ordem Moral

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2020年11月 9日 (月)

映画「おもかげ(Madre)」

Madre邦題だけみるとシャーロット・ランプリングの映画と勘違いしそうですが、フレンチバスク(正確にはランド県)を舞台にしたスペイン映画です。監督は2017年に観た「ゴッド・セイブ・アス」のロドリゴ・ソロゴイェン(Rodrigo Sorogoyen)。その次に撮った「El reino」が昨年のゴヤ賞で監督賞を含む7部門に輝きましたが、日本公開されませんでしたので、日本で上映される作品としては2本目となります。

本作には前段があり、2年前に同じタイトルで撮った短編「Madre」が米国アカデミー賞にノミネートされ、それをそのまま導入部に使って作られています。つまり評価が高かった短編映画の拡張版で、その短編というのが、主人公のエレナがマドリードの自宅に母親と二人でいるとき、離婚した夫ラモンとバスク旅行に出かけていた一人息子のイヴァンから電話がかかってくるというもの。一人で海辺にいる、父親はどこに行ったかわからないと不安がる6歳のイヴァンをなだめながら、電話のこちら側でパニックに陥っていくエレナをカメラが捉えます。

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マルタ・ニエト(Marta Nieto)の熱演が光る、ほぼ電話に語りかけるだけの一人芝居です。緊迫感が最高潮に達したところで電話が切れてしまい、後の展開は観客の想像に任せることになりますが、本作「おもかげ」はその10年後という設定の物語。そこでわかることは、エレナが一人息子を失ったということのみで、イヴァンがどうなったか、ラモンが何をしていたかは語られません。

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エレナはヴュー=ブコー=レ=バン(Vieux-Boucau-les-Bains)の海辺にある飲食店の雇われ店長をしています。イヴァンが電話でイルンやアンダイエといった地名を出していましたので、どうやら息子を探しに来てそのまま居着いたようです。ヨセバというスペイン人の恋人がいて、このバケーションシーズンが終わったら店を辞め、ドノスティア(=サン・セバスチャン)の近くにある彼の家で一緒に暮らすことになっています。

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こう書くと、息子を失った苦悩から立ち直ったようですが、傷は癒えていないようで、ある日、ビーチですれ違った少年に目が釘付けになります。なぜならその少年に、彼女の記憶にあるイヴァンの面影があったから。心を乱されたエレナは、思わず彼を尾行して家を確かめてしまいます。

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それがパリから夏の別荘に来ていた16歳のジャン。その彼が店に来て、尾行に気付いていたと言い、エレナのことを知ろうとします。最初は軽くいなしていたエレナですが、やはり彼のことが気になって仕方ありません。もともと精神的に不安定だった彼女の内面でジャンの存在がどんどん膨らんでいきます。

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39歳の離婚経験ある女性と高校生男子が二人でいれば周囲は訝しがります。ジャンの元カノであるカロリーヌは、女の勘なのか、初対面からエレナに対抗心を燃やし、早い段階でエレナの気持ちに気付いたヨセバは引っ越しの時期を早めようとします。もちろんジャンの家族、父親のグレゴリー、母親のレア、兄のベノワは最初から微妙な対応です。

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そうやって周囲の人々を巻き込みながら揺れ動いていくエレナですが、実はポイントになるのが元夫のラモンというところが、この映画の面白さかも知れません。彼が登場するのは、ピレネーのリゾートホテルのカフェでエレナと向かい合って話すシーンだけなのですが、この長回しの1ショットが二人の演技力を含めて見どころの一つになっていて、それが終盤で効いてきます。

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主役のマルタ・ニエトは1982年生まれの中堅女優。上記の短編「Madre」で注目され、2019年のベネチアでは本作でオリゾンティ部門の主演女優賞を獲得しています。

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恋人のヨセバ役に「ペトラは静かに対峙する」のアレックス・ブレンデミュール(Alex Brendemühl)、ジャンの父親グレゴリー役に「17歳」のフレデリック・ピエロ(Frédéric Pierrot)、母親レア役に「クリスマス・ストーリー」「エル ELLE」のアンヌ・コンシニ(Anne Consigny)と実力派を揃え、ジャン役の新人ジュール・ポリエ(Jules Porier)の初々しい演技を支えています。

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全般的に端正な映像が特長の作品で、文字が敷き詰められたようなタイトル・シーケンスから余韻を楽しませるようなシンプルなエンドロールまで洒落ています。前々作の「ゴッド・セイブ・アス」は今ひとつでしたが、本作は監督と主演女優のこれからに期待させてくれる一本でした。

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おもかげ

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2020年10月12日 (月)

映画「エマ、愛の罠(Ema)」

Ema チリ出身のパブロ・ラライン(Pablo Larraín)監督。このブログでも「NO」「ザ・クラブ」「ネルーダ」「ジャッキー」といった監督作品の他、プロデューサとして参画した「グロリアの青春」「ナチュラルウーマン」を取り上げてきましたが、彼の監督作品としては初めてチリの現代社会を扱った映画です。

個性的な出演者、印象的な映像や音楽で観客の気持ちを揺さぶりながら、つかみ所の無いストーリーを展開させていく風変わりな本作。監督と共同で脚本を書いたのは「ザ・クラブ」「ネルーダ」でもタッグを組んだギジェルモ・カルデロン(Guillermo Calderón)で、昨年モナドのブログでストーリー展開のうまさを絶賛した「蜘蛛」の脚本家でもあります。

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映画の舞台となるのは首都サンティアゴから西に約100km、海沿いの街バルパライソ。ガエル・ガルシア・ベルナル(Gael García Bernal)演じるガストンと、マリアーナ・ディ・ジローラモ(Mariana Di Girólamo)演じるエマの年の離れた夫婦の養子ポロが問題を起こし、再び福祉施設に引き取られたという状況からスタートします。

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なぜ養子を迎えたかというと、夫のガストンが不能で子どもを望めないから。なぜ福祉移設に戻されたかというと、妻のエマに子どもを育てる能力がないと判断されたから。ポロを奪われた結果、エマはガストンの性的能力を責め、ガストンはエマの生活態度を責め立てる悪循環に陥ります。

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ガストンは現代舞踏団を主宰する振り付け師で、エマはそこに所属するダンサーなのですが、二人の不和は舞踏団にまで波及し、内部の対立に発展。エマは仲間たちと舞踏団を飛び出し、レゲトンのリズムに合わせてストリートで踊ります。ガストンが軽蔑し、忌み嫌っている音楽に身を委ねることが彼からの解放なのかも知れません。

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ポロはコロンビア移民の子どもで、彼が放火したためにエマの姉が顔に大けがをしたのですが、そもそもの原因はエマにあるというのが保護司マルセラの言い分。だからこそ彼ら夫婦からポロを取り上げ、別の家庭の養子に出したというのです。それを聞いて、密かにエマはポロを取り戻す計画を立て始めます。

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まずはガストンとの離婚ということで、弁護士のラケルに相談しに行き、彼女と親しくなります。そしてその夫であり、消防士でバーテンダーのアニバルとも親しくなります。ここで彼女のバイセクシャルな魅力が遺憾なく発揮されるのですが、この部分は彼女がレゲトンで踊るシーン、火に魅せられるシーンと並ぶ本作の大きな見どころです。

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対するガストンは、ひたすら情けない顔をして右往左往するだけ。ガエルは「NO」や「ネルーダ」でも込み入ったキャラクターを演じていましたが、本作も以前の二枚目路線とは一線を画すものです。彼もこの監督のおかげで演技の幅が広がったのではないでしょうか。

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周囲を巻き込んでいくエマと孤立していくガストン、軽快に踊るエマと沈鬱なガストン、未来に目を向ける若々しいエマと過去を振り返って老け込むガストン。さまざまな面で対極に位置する夫婦が、今後どのような関係を目指すべきかというのが、エマの計画の帰着点となります。

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不思議な味わいの映画ですが、この監督と長年組んでいるセルヒオ・アームストロング(Sergio Armstrong)の美しい映像、E$tado Unidoなどによるレゲトンのリズムと、マリアーナ・ディ・ジローラモの個性的なキャラクターがうまくかみ合い、妙な結論にもかかわらず何となく納得させられてしまう感じです。バルパライソの海岸や街並みが醸し出す雰囲気もそれを後押しします。

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現在、クリステン・スチュワートが故ダイアナ妃を演じる作品を準備中というパブロ・ラライン監督。今度は何をみせてくれるか、どのようなひねりを加えてくるか期待も高まります。

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公式サイト
エマ、愛の罠Ema

[仕入れ担当]

2020年8月22日 (土)

北スペインに想いを馳せて:フランス国境の町オンダビリアで楽しむ路地散歩と創作料理

昨日に続く旅に出たい!シリーズの第3弾も、サン・セバスチャンから行くワンデートリップ。フランスとの国境の町、オンダビリア(Hondarribia)です。ここも、サン・セバスチャンからバスで約30分ほど。バスは頻繁に運行していますし、片道2.5€ほど(2017年時点)ですので、旅行者には嬉しいですね。

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昔ながらのバスク文化が色濃く残る旧市街は、カメラ片手に散策が楽しいところ。

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緩やかな石畳の坂道を昇ったり・・・

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狭い路地に迷い込んでみたり。

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ベランダに飾られた鉢植えの花が目に優しい。

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昔から戦略的重要拠点であったため、町全体が要塞化しました。

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城砦跡に歴史の名残を感じます。

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商店のウィンドウも興味深い。

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バスク帽(=ベレー帽)を被ったバスク豚?

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こちらは、海岸沿いにほど近い通りにある雑貨店。ほとんどのガイドブックに紹介されている有名店です。

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栗の木を使ったバスク籠をはじめ、いろんな生活雑貨があって、雑貨好きな方には堪らないですね。
右手にみえる魚型の道具は、昨日のゲタリアでお話した炭火焼きに使うもの。魚を挟んで焼きます。

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オンダビリアにも目抜き通りにはたくさんのバルが点在していますが・・・

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このとき訪れたのは、裏路地の奥まった場所にある、Danintzat

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カウンター席のカジュアルな雰囲気ですが、気さくなシェフが地元の食材を駆使して作るお料理は独創的。

新鮮なアンチョビは、美味しいだけでなく、見た目も美しく。

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バスク地方の名物「チャングーロ」をDanintzat流にアレンジ。タラバ蟹の身と蟹味噌で作ったパテです。

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日本人も大好きな牛タン!
バナーで軽くあぶってくれるプレゼンテーションつき。

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海の幸も山の幸も楽しめます。

デザートのアイスクリームも芸術的!

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わかりにくい場所にありますが、グーグルマップを頼って、ぜひ行ってみてください。

小高い丘の上にあるのは、映画「スペインは呼んでいる(The Trip to Spain)」の主人公たちが初日に泊まるパラドール・デ・オンダリビア(Parador de Hondarribia)。

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左手に見える要塞のような建物です。
外からは想像できませんが、カルロス五世の古城を改修した、優雅な佇まいのホテルです。機会があれば泊まってみたい!

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パラドール前のアルマ広場から見えるビダソア川の向こう岸はフランスのアンダイエ(Hendye)。

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サン・セバスチャンからも鉄道やバスで簡単にフランスに行けてしまいますので、時間があればフレンチ・バスクを訪れるのもいいですね。

一昨日から3日にわたってご紹介してきた旅に出たい!シリーズ、いかがでしたか? 北スペイン、行きたくなりますよね!次のご旅行の参考になれば嬉しいです。

[仕入れ担当]

2020年8月21日 (金)

北スペインに想いを馳せて:漁港の町 ゲタリアで堪能する海の幸とクチュリエの世界

旅に出たい!シリーズの第2弾は、昨日お話したサン・セバスチャンを拠点にしたワンデートリップ。街の中心からバスで気軽に行ける港町、ゲタリア(Guetaria)を訪れます。下の船に書かれている Getaria はバクス語表記です。

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のんびりとした海岸沿いを走り、約30分ほどで到着。

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バスを降りると地元出身のフアン・セバスティアン・エルカーノ(Juan Sebastián Elcano)の銅像が迎えてくれます。フェルディナンド・マゼランから船団の指揮を引き継ぎ、1522年に史上初となる世界周航を達成した人物だそうです。

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まずお目当ては、美味しいお魚料理。
映画「スペインは呼んでいる(The Trip to Spain)」にも登場したチョコ・ゲタリア(Txoko Getaria)を目指します。

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お昼前に入店すれば大丈夫だと思ったのですが、甘かった。ガラガラに見えるテーブル席はすべて予約で埋まっているとのこと。

とは言え、地産の魚を供するレストランはたくさんあります。こんな風に外で焼く魚の炭火焼(アサドール)が名物です。

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漁港の先にある、地元で評判の Asador Astillero へ。

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テラス席から海を眺めながら食事が楽しめます。

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野菜たっぷり、オリーブいっぱいのサラダからスタート。

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獲れたての大ぶりなハマグリにレモンをかけて。

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エビもシンプルな塩焼きで。

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魚介の出汁が出たスープはとても美味でした。

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と、ここまででお腹いっぱいになり、魚の炭火焼きには到達できず。次回はぜひ獲れたての魚の炭火焼きを楽しんでみたいと思います。

同じ建物の1階にはアンチョビで有名なMaisor(マイソール)があります。お土産にちょうど良い缶詰や瓶詰め、パック詰めもあります。

ゲタリアは微発泡ワインのチャコリが名産で、丘陵にはワイナリーが点在しています。実際、ワイナリーを目指して、バスを途中下車していく観光客も見かけました。こちらは街角に貼られていた各ワイナリーを紹介したポスター。

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そして、ゲタリアへやって来たもうひとつの目的は、クリストバル・バレンシアガ美術館(Cristóbal Balenciaga Museoa)を訪れること。

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映画「ファントム・スレッド(Phantom Thread)」で主演のダニエル・デイ=ルイスが演じたデザイナーのイメージが、このクリストバル・バレンシアガ。ゲタリア出身のスペインが世界に誇るクチュリエです。

小高い丘の上に建つ邸宅 Palacio Aldamar に併設されるように建てられた美術館。

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この邸宅は、貴族の The Marqués and Marquesa of Casa Torres の住居だった建物。バレンシアガの母親が裁縫婦として働いていたそうで、ここの伯爵夫人が、母親の元で技術を習うバレンシアガの才能を見出し、デザイナーになるように勧めて最初の顧客になったそうです。

ファサードと内装を手掛けたのは、バルセロナ拠点の建築家集団 AV62 Arquitectos

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"Lace Magician" と呼ばれるほど、美しいレース使いにも定評があったバレンシアガ。

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そのレースを思われせる花模様のパンチングメタルが内装の雰囲気に優美さを添えています。

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入り口近くのピンクの小部屋の奥では、バレンシアガの歴史とゲタリアとの関わりを紹介する映像を観ることができますので、そちらを先にご覧になることをおすすめします。

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明日は、フランスとの国境の町、オンダビリアのお話です。

[仕入れ担当]

2020年8月20日 (木)

北スペインに想いを馳せて:サン・セバスチャンで心もお腹も満たされる

あ〜、旅に出たい!という渇望感が高まっている方も多いのではないでしょうか。旅は元気の素!早く自由に旅行ができるようになるといいですね。

というわけで、今は行けませんが、次の旅行先の候補におすすめの北スペイン、サン・セバスチャン(San Sebastián)のお話です。

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世界屈指の美食の街。フーディだけでなく飲食関係者にも毎年必ず訪れているという人が少なくありません。

サン・セバスチャンはヨーロッパ有数のリゾート地でもあります。陽光降り注ぐ、緑豊かな街は、昔、王族が夏を過ごした避暑地だっただけあって、優雅な雰囲気です。

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こちらこちらのブログではビルバオのお話をしていますが、そのビルバオからバスで1時間半ほど。車窓からの景色を眺めているとあっというまに到着します。

3年前に私が訪れたときは、ちょうど第65回サン・セバスチャン国際映画祭が開催されていました。

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街中がお祭りムード。

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このブログでも書いていますが、この年、ドノスティア賞という功労賞にはアニエス・ヴァルダ監督と俳優のリカルド・ダリン、モニカ・ベルッチが選ばれています。3人は授賞式に出席するために訪れていたようなのですが、残念ながら街で見かけることはありませんでした。

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お菓子屋さんやお花屋さんなど、ウィンドウも映画祭がテーマ。

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河口沿いに上映作品のビルボードが並びます。手前に見えるのは、楽しみにしていたのに、結局、日本では劇場公開されなかったダーレン・アロノフスキー監督作品「マザー!」

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そしてこちらは、たまたま見かけたアーノルド・シュワルツェネッガー。ファンからサインを求められて、ご満悦な様子。

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後日、パリの展示会でドイツ・ミュンヘンの帽子デザイナー、ニッキ・マーカートに話したら、オクトーバーフェスト(Oktoberfest:世界最大規模のビールの祭典)にも出没していたとか。「カリフォルニア州知事も辞めて、暇なのね」というオチがつきました。

ところで、この賞に冠されている「ドノスティア(Donostia)」ですが、バスク語でサン・セバスチャンのこと。バスの行き先など公共の表示では Donostia が使われることが多いのでお気をつけください。

さて、サン・セバスチャンは歩いてまわれるコンパクトな街です。天気の良い日の夕刻にもなると、ビスケー湾に面したラ・コンチャ海岸のビーチはたくさんの人で賑わっています。

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混雑を避けるなら午前中がおすすめ。

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散歩の途中、ベンチに腰掛けて世間話に興じている地元のご老人。右端の男性のように、サン・セバスチャンをはじめバスク地方では今でもベレー帽(=バスク帽)を被っている男性を良くみかけます。

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美しい弧を描くラ・コンチャ海岸を一望できる丘、モンテ・イゲルド(Monte Igueldo)へ。
この洒落た石造りの建物がモンテ・イゲルドの麓にあるフニクラル(Funicular)の駅舎です。

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フラニクラルとはスペイン語でケーブルカーのこと。100年以上の歴史を持つ木製のケーブルカーで一気に頂上へ。

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天気が良い日の頂上からの眺めは最高です!

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帰りは海を眺めながら歩いて降り、モンテ・イゲルドの麓から海岸沿いの遊歩道を歩いていくと・・・

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地元出身の彫刻家エドゥアルド・チジーダ(Eduardo Chillida Juantegui)の代表的な作品 Wind Comb(風の櫛)にお目にかかれます。波に洗われ、自然と風景に溶け込んでいます。

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美食の街には食に関する専門店もたくさんあります。

老舗の Almacenes Arenzana で購入したこのツゲ(boj)のスパチュラとフライ返しは、堅いのに持った感じが優しくて、とても重宝しています。

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そして、いよいよ夜はお楽しみのバル・ホッピング!

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バルの多くが旧市街に集まっています。
人気のバルには人が入りきれず、外でおしゃべりしながら、飲んだり、食べたり。

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どこのバルもたくさんの人で、一瞬ひるんでしまいそうですが、ぐいぐいっとカウンターまで近づいてオーダーしましょう。

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美味しそうなピンチョスがたくさんありますので、つい1軒で食べ過ぎそうになりますが、他のバルにも行けるように少しずつ。

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魚介類が多いのも日本人好み。

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秋に訪れることがあれば、こちらのブログでもご紹介している Gambara でセップ茸(伊語ではポルチーニ)をご賞味ください。

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ご覧の通り地元の人で混み合っています。

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採れたてのセップ茸のプランチャには生卵を絡めて。絶品です!

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夜の海岸線はロマンチックです。ピンチョスと地元の微発泡酒チョコリでお腹が満たされたら、夕涼みがてら海岸線を散歩するのもいいですね。あちこちでストリートミュージシャンが演奏していたりもします。

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明日は、サン・セバスチャンからバスで30分ほどの港町、ゲタリアのお話です。

[仕入れ担当]

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