モナド界隈

2020年11月24日 (火)

KING & QUEEN展 上野の森美術館

華麗な英国王室のドラマティックでスキャンダラスな物語を肖像画から読み解く展覧会です。モナドから散策がてら行ける上野の森美術館で観てきました。ロンドンにあるナショナル・ギャラリーの別館で、肖像画専門のナショナル・ポートレート・ギャラリーがコレクションするおよそ90点の絵画、写真、彫刻が展示されています。展覧会ナビゲーターの中野京子氏の著書「名画で読み解くイギリス王家12の物語」が参考図書。人物像や時代背景を紹介しているパネル展示は要チェックです。

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15〜16世紀のテューダー朝で、絶対君主の名を欲しいままにしたヘンリー8世は、スポーツ万能で音楽などにも造詣が深くハンサムだったと言われていますが、個人的には首をひねるお顔立ち。結婚・離婚・斬首を繰り返した暴君ぶりがうかがえる冷たい目元に注目です。

その娘、エリザベス1世は、イメージ戦略に長けた人物だったと言われています。顔を白く塗り、大粒のパールをドレスやネックレス、髪飾りにこれでもかとあしらった《アルマダの肖像画》は、女性らしさを強調しつつ威厳たっぷり。宝石のカット技術がなかった当時、黒く光るダイヤモンドと、奴隷たちが命をかけて海に潜って取ってきた天然のパールが最高級の宝石とされていました。

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葉巻のようにフォークをくわえているのは、クジラ王子と嘲笑されていたジョージ4世のカリカチュア。宮廷画家が手がけたイケメン風の肖像画と見比べると、より笑えます。

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純白のウェディングドレスを流行させたヴィクトリア女王。女王は新しく発明された写真に興味をもち、幸せな王室をアピールするメディアとして活用したそうです。夫アルバート公や子どもたちの肖像を一般に販売することを許可し、名刺サイズのその写真は飛ぶように売れたとか。

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現在、エリザベス2世が王位を継承して68年、いまも世界中の注目を集め熱狂させる英国王室に話題は事欠きませんよね。古い話ですが、チャールズ皇太子とダイアナ妃のご成婚では、記念切手を両親に買ってもらった覚えがあり、子どもながらにワクワクしたものです。

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本展公式ウェブサイトのこちらにある特別映像「これを見ればわかる! KING & QUEEN 展」や、見どころレポートで予習してから行くと、さらに面白いと思います。

KING & QUEEN 展 名画で読み解く 英国王室物語
https://www.kingandqueen.jp/
2021年1月11日(月・祝)まで

[店長]

2020年10月25日 (日)

国立公園展 国立科学博物館

四季折々に豊かな表情を見せてくれる日本の自然にスポットを当てた展覧会です。森林、湿地、海浜、サンゴ礁など日本特有の景観や動植物を守り、後世に伝えていくために、環境省の指定を受け管理保護されている34の国立公園を通して、多彩な自然が織りなす物語を紹介しています。

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霧島錦江湾は、1934年に日本で初めて国立公園に指定された場所のひとつです(旧・霧島屋久国立公園から屋久島を分離)。20以上の火山が集まる霧島地域と、天然の砂むし温泉で有名な指宿や九州本島の最南端・佐多岬がある錦江湾地域の2つからなります。

日常的に噴火を繰り返す桜島には、溶岩のすき間から風が吹きだす風穴が山の中腹にあり、そこは年間を通して温度変化が小さく、湿度が高いため、日本ではここでしか見られない珍しい植物が出現するそうです。良質な温泉が各所にあり、火山の恵みが得られる一方で、そこで暮らす市民たちは火山灰と日々格闘しています。

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そして、海底の隆起によりできた岩峰・戸隠山を擁する妙高戸隠連山(上信越高原国立公園から分離)、中生代の生き物の化石が眠る白山、ケラマブルーと言われる透明度の高い海と色とりどりのサンゴや魚たちがみられる慶良間諸島などなど。

国立科学博物館が所蔵する200点以上の自然史標本と各公園の空撮映像を交えて、自然と自然に寄り添う人々の暮らしに触れています。

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特に、見ているだけで気持ちが晴れる空撮映像は必見です!美しい自然を体験しに、いますぐ旅へ出かけたくなります。

国立公園展 その自然には、物語がある
https://www.kahaku.go.jp/event/2020/08nationalpark/
2020年11月29日(日)まで

[店長]

2020年7月19日 (日)

きもの展 東京国立博物館 平成館

鎌倉時代から現代までの「きもの」が勢ぞろいする、みやびな展覧会へ出かけてきました。800年以上続く、ニッポンの美をたどります。

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明るい色に豪壮なデザインが好まれた安土桃山時代、落ち着いた色に瀟洒なデザインが流行った江戸時代、西欧のデザインに影響を受けた大正〜昭和初期など、現代も変わり続けている「きもの」のモードと魅力が紹介されています。

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波間に鴛鴦が舞う小袖、源氏物語をモチーフに流麗な文字をあしらった振袖。

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ミミズクと星を刺繍した斬新な帯など、ストーリーやメッセージが浮かぶデザインの数々です。

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緻密な刺繍や絵柄は美しく、歳月を経ても色あせません。

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女性だけでなく男性も楽しめる本展。「男の美学」を紹介する3章では信長、秀吉、家康のファッションが観られます。江戸の洒落者、火消したちがまとった半纏の展示も圧巻です。

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帯留めや簪、袱紗など着物に欠かせないアクセサリー、洗練されたデザインがまとめられた雛形本、小袖裂をもちいて作られた屏風、色とりどりの着物をまとった美人図などなど、「きもの」に関するあらゆるものが紹介されている大規模展。モナドから散策がてら行ける上野・東京国立博物館で開催中です。

きもの展
https://kimonoten2020.exhibit.jp/index.html
2020年8月23日(日)まで

[店長]

2019年12月24日 (火)

特別展「人、神、自然」 東京国立博物館

アジア、アフリカ、中南米など世界中の古代文化で生み出された美術工芸品が並ぶ展覧会です。人、神、自然のテーマに沿って古代世界を巡ります。

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支配者を表現した彫像や、権威を象徴する品々が並ぶ第1章。前2300〜1800年頃に制作されたエレクトラム製の「バクトリアの王女」は柔和な表情に人柄が表れているようです。ドレスの細かな装飾も素敵。

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神や精霊をかたどったものや、聖なる儀式に関連する作品を紹介する第2章では、アラバスターを浮き彫りにした女性像が印象に残りました。本展ポスターの左側にインパクトのある目元がちらりと見えていますが、この像は100年頃にアラビア半島南部で制作されたもので、ヘアスタイルは当時の流行を表現しているそう。

古代の人々が自然界をどのように認識していたかを探る第3章では、王家の象徴とされるライオンの杯、鋭い歯をむき出しにして威嚇するジャガランディをデザインした鼻飾り、ヤギの顔をかたどったブレスレットなど、さまざまな動物を模した器や装身具がご覧になれます。

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カタール王族のシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が蒐集したザ・アール・サーニ・コレクション。ユニークな117点にハマります。

人、神、自然 ー ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界 ー
https://www.tnm.jp/
2020年2月9日(日)まで

[店長]

2019年12月17日 (火)

ハプスブルク展 国立西洋美術館

600年にわたって栄華を誇り、ヨーロッパの芸術文化を支えたハプスブルク家のコレクションが上野・国立西洋美術館に来ています。

政略結婚と武力を巧みに用いて王家に多大な財をもたらした神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世にはじまり、68年にわたって在位し今のウィーンを整備した王家最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世まで、欧州の命運を左右したハプスブルク家の歴史と、そのコレクションを紹介する展覧会です。

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ベラスケス、レンブラント、ティントレットなど巨匠の名画が並ぶなか、赤いベルベットで縁取りされたファッショナブルな甲冑や、銀の装飾をほどこしたヤシの実やほら貝の水差し、金とルビーがきらめく水晶のスプーンやフォークなど、本展では特に武具や工芸品に見惚れました。

80を超えるパーツからなる甲冑は、会場に4体あり、その威風堂々とした立ち姿に圧倒されます。武勇に秀で、生涯で27の戦場に立ったというマクシミリアン1世が着用したものはすらりとしていて、背が高くスタイル抜群だったことが伺えます。ほかにカーニバルの槍試合用に使われたという、口をへの字に曲げ困ったような顔がデザインされた兜などもあります。

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透かし模様が見事な金線細工のかごや、神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの肖像を彫刻した宝貝の小箱、イエローダイヤモンドが輝くフリントロック式のピストルなど繊細で贅が尽くされた美品の数々は必見です。

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ハプスブルク展
https://habsburg2019.jp/
2020年1月26日(日)まで

[店長]

2019年11月 6日 (水)

コートールド美術館展 東京都美術館

ロンドン大学付属コートールド美術研究所(The Courtauld Institute of Art)の展示施設、コートールド美術館(Courtauld Gallery)が所蔵する印象派・ポスト印象派の傑作を上野・東京都美術館で観てきました。イギリスの実業家サミュエル・コートールドが1920年代を中心に精力的に収集した作品の数々を、美術研究所で明らかにされた作品の制作背景や時代の状況など大きなパネルで解説し、わかりやすく紹介しています。

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美術館がめったに貸し出さないというマネ最晩年の《フォリー=ベルジェールのバー》は、科学調査によるX線画像から、バーメイドの姿勢や鏡像の位置が制作中にいくども修正されたことがわかっています。パリのミュージック・ホールを照らす丸い室内電球は、19世紀初頭に発明されたもので、1880年前後から長時間点灯するように改良されたそう。

19世紀後半パリのファッショントレンドがみてとれるルノワールの《桟敷席》は、ほれ込んだサミュエル・コートールドが、マネの《フォリー=ベルジェールのバー》と並ぶ最高金額11万ドルで買い付けた作品。

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サミュエル・コートールドが生涯を通してもっとも多く購入したというセザンヌの油彩は10点も展示されています。

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ほかにゴッホ、モネ、ゴーガン、モディリアーニ、ロダンなど、選りすぐりの絵画・彫刻60点とじっくり向き合える展覧会です。

コートールド美術館展 魅惑の印象派
https://courtauld.jp/
2019年12月15日(日)まで

[店長]

2019年9月 8日 (日)

アンティーク着物万華鏡 弥生美術館

大正から昭和の乙女に学ぶアンティーク着物の着こなしを紹介する展覧会です。モナドからほど近い弥生美術館と竹久夢二美術館で合同開催されています。

レトロな着物姿で美人画のような写真を撮るというアートプロジェクト「ロマン写真館」を主催し、30年以上にわたって写真家・荒木経惟氏の作品に登場する着物のスタイリングに携わる岩田ちえ子氏が、コーディネートのワンポイントやアドバイスをそえて、竹久夢二の作品など当時の抒情画にみられる着こなしをアンティーク着物で再現。また同じ着物をつかって雰囲気の違うスタイリングをつくり、帯や半襟の合わせ方によって印象が変わる着物の醍醐味を伝えます。

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麻の葉の文様は、麻の香りが虫除けになることから悪い虫がつかないようにと若い女性の着物によく使われたとか、前にしか飛べないトンボの文様は、勝ち虫として侍にも好まれたとか、着こなしだけでなく、文様の話も興味深い展示です。

夏になると毎年モナドでは、浴衣に合わせたジュエリーをブログ(今年はこちらこちら)でご紹介していますが、アンティーク着物とは着方が違っても柄合わせや色使いが参考になります。

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時代の風俗を描写した吉田秋聲、吉屋信子、菊池寛の文学作品とコラボレーションした展示も見どころです。物語や挿絵をもとに再現されたヒロインの着物姿が楽しめます。

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アンティーク着物万華鏡 - 大正〜昭和の乙女に学ぶ着こなし -
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
2019年9月29日(日)まで

[店長]

2019年7月12日 (金)

モダン・ウーマン 国立西洋美術館

日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した展覧会です。19世紀後半から20世紀初頭、ロシアから独立する前後のフィンランドを生き、同国の近代美術に革新をもたらした7名の女性芸術家たちを紹介。

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フィンランドで最も著名な画家の一人であるヘレン・シャルフべックの《占い師(黄色いドレスの女性)》が、本展イメージポスターに使われています。彼女がフランスから美術雑誌やモード誌を取り寄せ、雑誌の付録にあった型紙でドレスを作ったり、ギャラリー・ラファイエットで衣服を注文するほどファッションに敏感だったというお話はこのブログでご紹介しましたが、描かれている女性もお洒落でしなやかな印象です。

取り上げられている7人の中でもっとも若い世代を代表するエルガ・セーセマンは1940年代にデビュー。緑の帽子と黒い手袋をつけた女性が一人、タバコとカクテルを楽しむ《カフェにて》では、強く近代的な女性をイメージさせます。

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常に自らの芸術を刷新し、革新的な色彩表現を追求し続けたエレン・ステレフの《自画像》。

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木版画も多く手がけたエレン・ステレフは、一枚の版木に複数の色をつけ、すべての色を一度に刷るという独自の手法を用いています。

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新しい時代を切り開いてきた女性たちに出会える機会です。

モダン・ウーマン フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
2019年9月23日(月・祝)まで

[店長]

2019年6月 2日 (日)

クリムト展 東京都美術館

いま上野界隈を騒がせている「クリムト展」に行ってきました。19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトの作品、日本では過去最大級となる油彩画25点以上が観られます。

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とにかく、たくさんの女性が登場する本展。鮮やかな黄色を背景にカラフルなドレスを着た《オイゲニア・プリマフェージの肖像》、すっきりとしたモノトーンで描かれた《白い服の女》、毛皮や市松模様のドレスがモダンな《女ともだちⅠ(姉妹たち)》など実に多彩です。

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生命の円環をテーマにした《女の三世代》、原寸大で複製された壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の展示には圧倒されます。

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クリムトのデザインを参考に弟ゲオルクが制作した鍛金のレリーフ《踊り子》も必見です。家具の装飾として制作されたもので、妖艶なドレスをまとった立ち姿の女性が描かれた作品。彫金師として活躍していたゲオルクは、クリムトのデザインを元に彼の作品を飾る額縁も制作しています。

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赤い色鉛筆を使って描かれた《左向きに立つ裸婦》や《うずくまる二人の女性》、公に発表するのは当時ご法度とされた性的な描写の《横たわる恋人たち》など、クリムトは生涯で数千点ものドローイングを残したそうです。

戦火で焼失してしまい、現存するクリムトのスケッチブックは3冊のみですが、そのうちの1冊が展示されています。

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《ユディトⅠ》や《鬼火》の素描が残された小さな手帳サイズの《赤いスケッチブック》。これを模したメモ帳が、会場最後にあるショップで売られています。

クリムト展 ウィーンと日本1900
https://klimt2019.jp/
2019年7月10日(水)まで

[店長]

2019年4月 9日 (火)

林忠正 - ジャポニスムを支えたパリの美術商 国立西洋美術館

明治初期にフランス・パリで日本美術商として活躍した、林忠正の功績を紹介する展覧会です。国立西洋美術館でル・コルビュジエ展と同時開催している企画展で、同じチケットでどちらもご覧になれます。

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日本の美術や工芸品がヨーロッパで人気を博していたころ、1878年パリ万博博覧会に際し通訳として渡仏した氏は、そのままパリに留まり日本美術を扱う店を構えます。作品の背景や日本文化を豊富な知識で紹介することで、美術愛好家やアーティストたちの信頼を得て交友関係を培っていっそうです。友人たちと交わした多くの書簡が残されており、同じくジャポニスムの立役者として知られる美術商ジークフリート・ビングとの交流などを知ることができます。

日本に西洋絵画を展示する美術館を建設したいとの考えから、モネ、ドガ、ピサロらと作品を交換。蒐集した500から600の西洋美術を日本に持ち帰ったそうですが、残念ながら美術館建設は実現せず、コレクションのほとんどが売りに出されたそうです。大量の日本美術を国外に流出させたという文脈で批判的に語られたこともあったそうですが、19世紀西洋での日本ブームを支え、浮世絵人気を定着させた人物として再評価されています。

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林忠正 - ジャポニスムを支えたパリの美術商
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019hayashi.html
2019年5月19日(日)まで

[店長]

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