モナド界隈

2019年12月24日 (火)

特別展「人、神、自然」 東京国立博物館

アジア、アフリカ、中南米など世界中の古代文化で生み出された美術工芸品が並ぶ展覧会です。人、神、自然のテーマに沿って古代世界を巡ります。

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支配者を表現した彫像や、権威を象徴する品々が並ぶ第1章。前2300〜1800年頃に制作されたエレクトラム製の「バクトリアの王女」は柔和な表情に人柄が表れているようです。ドレスの細かな装飾も素敵。

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神や精霊をかたどったものや、聖なる儀式に関連する作品を紹介する第2章では、アラバスターを浮き彫りにした女性像が印象に残りました。本展ポスターの左側にインパクトのある目元がちらりと見えていますが、この像は100年頃にアラビア半島南部で制作されたもので、ヘアスタイルは当時の流行を表現しているそう。

古代の人々が自然界をどのように認識していたかを探る第3章では、王家の象徴とされるライオンの杯、鋭い歯をむき出しにして威嚇するジャガランディをデザインした鼻飾り、ヤギの顔をかたどったブレスレットなど、さまざまな動物を模した器や装身具がご覧になれます。

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カタール王族のシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が蒐集したザ・アール・サーニ・コレクション。ユニークな117点にハマります。

人、神、自然 ー ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界 ー
https://www.tnm.jp/
2020年2月9日(日)まで

[店長]

2019年12月17日 (火)

ハプスブルク展 国立西洋美術館

600年にわたって栄華を誇り、ヨーロッパの芸術文化を支えたハプスブルク家のコレクションが上野・国立西洋美術館に来ています。

政略結婚と武力を巧みに用いて王家に多大な財をもたらした神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世にはじまり、68年にわたって在位し今のウィーンを整備した王家最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世まで、欧州の命運を左右したハプスブルク家の歴史と、そのコレクションを紹介する展覧会です。

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ベラスケス、レンブラント、ティントレットなど巨匠の名画が並ぶなか、赤いベルベットで縁取りされたファッショナブルな甲冑や、銀の装飾をほどこしたヤシの実やほら貝の水差し、金とルビーがきらめく水晶のスプーンやフォークなど、本展では特に武具や工芸品に見惚れました。

80を超えるパーツからなる甲冑は、会場に4体あり、その威風堂々とした立ち姿に圧倒されます。武勇に秀で、生涯で27の戦場に立ったというマクシミリアン1世が着用したものはすらりとしていて、背が高くスタイル抜群だったことが伺えます。ほかにカーニバルの槍試合用に使われたという、口をへの字に曲げ困ったような顔がデザインされた兜などもあります。

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透かし模様が見事な金線細工のかごや、神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの肖像を彫刻した宝貝の小箱、イエローダイヤモンドが輝くフリントロック式のピストルなど繊細で贅が尽くされた美品の数々は必見です。

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ハプスブルク展
https://habsburg2019.jp/
2020年1月26日(日)まで

[店長]

2019年11月 6日 (水)

コートールド美術館展 東京都美術館

ロンドン大学付属コートールド美術研究所(The Courtauld Institute of Art)の展示施設、コートールド美術館(Courtauld Gallery)が所蔵する印象派・ポスト印象派の傑作を上野・東京都美術館で観てきました。イギリスの実業家サミュエル・コートールドが1920年代を中心に精力的に収集した作品の数々を、美術研究所で明らかにされた作品の制作背景や時代の状況など大きなパネルで解説し、わかりやすく紹介しています。

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美術館がめったに貸し出さないというマネ最晩年の《フォリー=ベルジェールのバー》は、科学調査によるX線画像から、バーメイドの姿勢や鏡像の位置が制作中にいくども修正されたことがわかっています。パリのミュージック・ホールを照らす丸い室内電球は、19世紀初頭に発明されたもので、1880年前後から長時間点灯するように改良されたそう。

19世紀後半パリのファッショントレンドがみてとれるルノワールの《桟敷席》は、ほれ込んだサミュエル・コートールドが、マネの《フォリー=ベルジェールのバー》と並ぶ最高金額11万ドルで買い付けた作品。

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サミュエル・コートールドが生涯を通してもっとも多く購入したというセザンヌの油彩は10点も展示されています。

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ほかにゴッホ、モネ、ゴーガン、モディリアーニ、ロダンなど、選りすぐりの絵画・彫刻60点とじっくり向き合える展覧会です。

コートールド美術館展 魅惑の印象派
https://courtauld.jp/
2019年12月15日(日)まで

[店長]

2019年9月 8日 (日)

アンティーク着物万華鏡 弥生美術館

大正から昭和の乙女に学ぶアンティーク着物の着こなしを紹介する展覧会です。モナドからほど近い弥生美術館と竹久夢二美術館で合同開催されています。

レトロな着物姿で美人画のような写真を撮るというアートプロジェクト「ロマン写真館」を主催し、30年以上にわたって写真家・荒木経惟氏の作品に登場する着物のスタイリングに携わる岩田ちえ子氏が、コーディネートのワンポイントやアドバイスをそえて、竹久夢二の作品など当時の抒情画にみられる着こなしをアンティーク着物で再現。また同じ着物をつかって雰囲気の違うスタイリングをつくり、帯や半襟の合わせ方によって印象が変わる着物の醍醐味を伝えます。

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麻の葉の文様は、麻の香りが虫除けになることから悪い虫がつかないようにと若い女性の着物によく使われたとか、前にしか飛べないトンボの文様は、勝ち虫として侍にも好まれたとか、着こなしだけでなく、文様の話も興味深い展示です。

夏になると毎年モナドでは、浴衣に合わせたジュエリーをブログ(今年はこちらこちら)でご紹介していますが、アンティーク着物とは着方が違っても柄合わせや色使いが参考になります。

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時代の風俗を描写した吉田秋聲、吉屋信子、菊池寛の文学作品とコラボレーションした展示も見どころです。物語や挿絵をもとに再現されたヒロインの着物姿が楽しめます。

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アンティーク着物万華鏡 - 大正〜昭和の乙女に学ぶ着こなし -
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
2019年9月29日(日)まで

[店長]

2019年7月12日 (金)

モダン・ウーマン 国立西洋美術館

日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した展覧会です。19世紀後半から20世紀初頭、ロシアから独立する前後のフィンランドを生き、同国の近代美術に革新をもたらした7名の女性芸術家たちを紹介。

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フィンランドで最も著名な画家の一人であるヘレン・シャルフべックの《占い師(黄色いドレスの女性)》が、本展イメージポスターに使われています。彼女がフランスから美術雑誌やモード誌を取り寄せ、雑誌の付録にあった型紙でドレスを作ったり、ギャラリー・ラファイエットで衣服を注文するほどファッションに敏感だったというお話はこのブログでご紹介しましたが、描かれている女性もお洒落でしなやかな印象です。

取り上げられている7人の中でもっとも若い世代を代表するエルガ・セーセマンは1940年代にデビュー。緑の帽子と黒い手袋をつけた女性が一人、タバコとカクテルを楽しむ《カフェにて》では、強く近代的な女性をイメージさせます。

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常に自らの芸術を刷新し、革新的な色彩表現を追求し続けたエレン・ステレフの《自画像》。

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木版画も多く手がけたエレン・ステレフは、一枚の版木に複数の色をつけ、すべての色を一度に刷るという独自の手法を用いています。

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新しい時代を切り開いてきた女性たちに出会える機会です。

モダン・ウーマン フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
2019年9月23日(月・祝)まで

[店長]

2019年6月 2日 (日)

クリムト展 東京都美術館

いま上野界隈を騒がせている「クリムト展」に行ってきました。19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトの作品、日本では過去最大級となる油彩画25点以上が観られます。

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とにかく、たくさんの女性が登場する本展。鮮やかな黄色を背景にカラフルなドレスを着た《オイゲニア・プリマフェージの肖像》、すっきりとしたモノトーンで描かれた《白い服の女》、毛皮や市松模様のドレスがモダンな《女ともだちⅠ(姉妹たち)》など実に多彩です。

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生命の円環をテーマにした《女の三世代》、原寸大で複製された壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の展示には圧倒されます。

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クリムトのデザインを参考に弟ゲオルクが制作した鍛金のレリーフ《踊り子》も必見です。家具の装飾として制作されたもので、妖艶なドレスをまとった立ち姿の女性が描かれた作品。彫金師として活躍していたゲオルクは、クリムトのデザインを元に彼の作品を飾る額縁も制作しています。

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赤い色鉛筆を使って描かれた《左向きに立つ裸婦》や《うずくまる二人の女性》、公に発表するのは当時ご法度とされた性的な描写の《横たわる恋人たち》など、クリムトは生涯で数千点ものドローイングを残したそうです。

戦火で焼失してしまい、現存するクリムトのスケッチブックは3冊のみですが、そのうちの1冊が展示されています。

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《ユディトⅠ》や《鬼火》の素描が残された小さな手帳サイズの《赤いスケッチブック》。これを模したメモ帳が、会場最後にあるショップで売られています。

クリムト展 ウィーンと日本1900
https://klimt2019.jp/
2019年7月10日(水)まで

[店長]

2019年4月 9日 (火)

林忠正 - ジャポニスムを支えたパリの美術商 国立西洋美術館

明治初期にフランス・パリで日本美術商として活躍した、林忠正の功績を紹介する展覧会です。国立西洋美術館でル・コルビュジエ展と同時開催している企画展で、同じチケットでどちらもご覧になれます。

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日本の美術や工芸品がヨーロッパで人気を博していたころ、1878年パリ万博博覧会に際し通訳として渡仏した氏は、そのままパリに留まり日本美術を扱う店を構えます。作品の背景や日本文化を豊富な知識で紹介することで、美術愛好家やアーティストたちの信頼を得て交友関係を培っていっそうです。友人たちと交わした多くの書簡が残されており、同じくジャポニスムの立役者として知られる美術商ジークフリート・ビングとの交流などを知ることができます。

日本に西洋絵画を展示する美術館を建設したいとの考えから、モネ、ドガ、ピサロらと作品を交換。蒐集した500から600の西洋美術を日本に持ち帰ったそうですが、残念ながら美術館建設は実現せず、コレクションのほとんどが売りに出されたそうです。大量の日本美術を国外に流出させたという文脈で批判的に語られたこともあったそうですが、19世紀西洋での日本ブームを支え、浮世絵人気を定着させた人物として再評価されています。

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林忠正 - ジャポニスムを支えたパリの美術商
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019hayashi.html
2019年5月19日(日)まで

[店長]

2019年4月 7日 (日)

ル・コルビュジエ 絵画から建築へ - ピュリスムの時代 国立西洋美術館

上野・国立西洋美術館の開館60周年を記念して開催されている展覧会です。同館の設計者であり、近代建築の三大巨匠の一人に数えられるル・コルビュジエの若き頃、故郷スイスを離れ、フランス・パリで活動をし始めた約10年間にフォーカスしています。

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1918年末より、画家アメデ・オザンファンと共に、機械文明の進歩に対応した「構築と総合」の芸術を唱えるピュリスム(純粋主義)の運動を推進。絵画制作に取り組む中で、1920年代パリの美術界で出会った芸術家たちとの交流が、新しい建築の創造に繋がっていきます。

オザンファンに油彩の技法を教わり、ピュリスムの画家として駆け出した頃の静物画から、当初は対峙していたキュビスムに共感し、制作された後期の油彩画《多数のオブジェのある静物》に至るまで、大きく展開する造形思考の変化は見どころです。

交流のあったパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックの絵画や、アンリ・ローレンスの彫刻も展示されており、フェルナン・レジェ本人から譲り受け自宅に飾っていた《横顔のあるコンポジション》は、その様子を撮影したブラッサイの写真と合わせて観ることができます。

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2016年にユネスコ世界文化遺産に登録された同館の話も聞ける音声ガイドを借りての鑑賞がお勧めです。

ル・コルビュジエ 絵画から建築へ - ピュリスムの時代
https://lecorbusier2019.jp/
2019年5月19日(日)まで

[店長]

2018年12月16日 (日)

ムンク展 東京都美術館

エドヴァルド・ムンクの画業60年を振り返る大回顧展です。

盗まれても盗まれても元の美術館に戻ってくる代表作《叫び》のテンペラ・油彩画をはじめ、家族や自身を描いた初期の頃のポートレート、愛や嫉妬、孤独や絶望など感情を強烈に描いた木版画、故郷オスロの自然を描いた風景画、明るい色で表現された晩年の油彩画まで、多彩なムンク作品100点が並びます。

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暗闇に浮かぶリトグラフの自画像から始まる本展。1882年19歳のときに初めて自画像を描いたそうですが、生涯で手がけた自画像は80点を超えます。

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こちらは、展覧会の最後を飾る晩年のムンク。写真や映画が好きで、コダックカメラや映画用のカメラも持っていたそうです。自画像の元にした貴重な自撮り写真も観られます。

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新しい技法や表現を探求し、代表作を世間に広めるためムンクは同じ主題を繰り返し製作したそうです。また自分の作品を「子どもたち」と呼び、手元にも多く残したそう。

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これまで目にする機会の少なかった風景画や、美しい色使いの油彩画でムンクのイメージが変わります。

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展覧会ショップに並ぶユニークなコラボ商品も見逃せません。頬に手を添えて悶えるピカチュウや、叫びがうごめくアヤメ(Ayamé)のソックスもあります。

ムンク展 - 共鳴する魂の叫び
https://munch2018.jp/
2019年1月20日(日)まで

[店長]

2018年12月11日 (火)

日本を変えた千の技術博 国立科学博物館

西洋の技術が日本に導入された明治から現代までの、暮らしや社会を大きく変えてきた科学や技術の貴重な遺産が上野・国立博物館に集められています。

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日本初の家庭電化製品は、1894年に製造された電球付き電気扇風機。ですが、当時ほとんどの家庭に電気は通じてなくコンセントがなかったそうです。

下の写真の長い棒は、全長1メートル、重さ5キログラムもある耐久電熱投げ込み湯沸器。お風呂の湯沸かし用で、使う人も重労働だと思いますが、戦後の燃料不足の時は人気だったそうです。写真左のお釜のようなものは洗濯機。電気を使わない手回し式で、エコのはしりといったところでしょうか。

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西洋医学を取り入れた製法の化粧水は明治の頃から開発されていましたが、大正時代になると女性の職種が増え、それと共に多くの化粧品や洗顔クリームが登場。また高価な絹の代わりにナイロン素材が開発され、おしゃれに欠かせないストッキングや靴下が女性のファッションを華やかにしていきます。

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ほかにも1.2インチの液晶画面がついた世界初のテレビウォッチ、100年も前に走っていた電気自動車ミルバーン、当時の乗用車と同じくらいの価格で重さが25キログラムもある電子式卓上計算機など、幅広い分野の“凄い技術”が観られます。

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さまざまな研究秘話や、当時のエピソードがわかりやすく解説されていて、大人から子どもまで楽しめる展覧会です。

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明治150年記念 日本を変えた千の技術博
http://meiji150.exhn.jp/
2019年3月3日(日)まで

[店長]

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